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成育科ブログ

早産児の人工呼吸管理Part1

2014.05.18

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先月、名古屋第一赤十字病院で新生児の人工呼吸管理に関して講演させていただきましたが、その時のスライドをホームページ用にまとめたので、これから随時アップしていきたいと思います。
今日はその第一部、Part1です。

スライド1 (Custom)
早産児の呼吸管理を考える時、まず成人との違いを抑えておく必要があります。NICUで働くようになったばかりの頃、指先にパルスオキシメータのセンサーを巻き、息を止めてどこまで下げることができるかやってみた方も多いかも知れません。これ、健康な成人が90%以下になるまで息を止めているのはかなり苦しいはずで、それまでに結構な時間もかかるはずです。でもいつも診察している早産児の赤ちゃん達は無呼吸になるとあっという間にSpO2が下がってしまいます。でもひとたび息を吹き返せばあっと言う間に元の値まで戻ってしまいます。これは機能的残気量が回復するからですね。早産児と成人の違いの一つはここにあります。

スライド2 (Custom)
あらためて言うまでもありませんが、呼吸とは「換気」と「酸素化」の両者を意味します。

スライド3 (Custom)
換気、すなわちCO2の拡散は肺胞と肺動脈血のCO2分圧較差によって行われます。

スライド4 (Custom)
一方、酸素化、酸素分子の拡散は両者の酸素分圧較差に加え、拡散面積が重要な役割を持ちます。この拡散面積とは肺の中では平均肺容量のことを意味します。

スライド5 (Custom)
では、この平均肺容量とは何か?と言うと、この図のようによく見る肺活量の図の中では、安静呼吸時における機能的残気量(FRC)や大きく息を吸った際の換気量までを含めた、図中のピンク色の部分の面積の平均値に相当します。時間による積分値の平均値と言い換えることができるかと思います。

スライド6 (Custom)
ただ、よく見るこの図で注意しなければならないのは、実は機能的残気量(FRC)は一定ではないと言うことです。FRCが不十分な時と言うのは肺胞が十分開いていないと言うことを意味します。酸素化は静脈血が右心室から肺動脈に運ばれ、肺胞を通る際に行われますが、ここで肺胞の開きが十分でない場合、血液は十分酸素化されることができず、静脈血がふたたび動脈を通して全身に運ばれることになります。つまり肺内シャントが生じてしまいます。

スライド7 (Custom)
それではどのような時にFRCが低下するのでしょう?典型的な無呼吸の場合、自発呼吸が消失してSpO2も下降するのが一般的ですが、

スライド8 (Custom)
自発呼吸が保たれているのにSpO2が低下してしまう状態もよくみる光景です。
スライド9 (Custom)
これは人工呼吸管理中でも同様です。

スライド10 (Custom)
この図では、SpO2低下の前に、食道内圧(=胸腔内圧)が上昇する一方で肺容量が低下している所見を認めます。何か起こっているかと言えば、赤ちゃんが人工呼吸器の圧に打ち勝って、自分で息を吐き出していると考えられます。

スライド11 (Custom)
FRCが低下する機序はこれだけではないでしょうけれども、いずれにしても早産児ではFRCはかなり不安定であると言うことは理解しておく必要があると思います。FRCの維持は自発呼吸の維持にも重要な役割を果たしており、この詳細は後日あらためてアップしたいと思います。

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