ここから本文です

成育科ブログ

早産児の人工呼吸管理Part5

2014.05.22

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

今回はこれまで述べてきたコンセプトを実現するためにはどんな人工呼吸器・呼吸モードが適しているかに関して考えてみたいと思います。

新生児人工呼吸器は自発トリガーのないIMVからSIMV、PTV、PSV、PAVへと自発呼吸による呼吸努力の軽減と自発呼吸への追随性の向上によって進化してきました。しかし、これらの機能はいずれも自発呼吸を前提としており、無呼吸時には単なる強制換気でしかありません。つまり新生児人工呼吸器における最新機能を活かすには自発呼吸が必要であり、無呼吸時には適切なバックアップが働くことが重要となります。これは単なるバックアップと言うより、不安定なFRCを回復させ、Hering-Breuer反射の再ドライブにより自発呼吸を再開させる肺リクルートメント機能として重要な意義を持ちます。さらに、低すぎるPEEPが肺障害の原因となり不必要な酸素投与にもつながることから、肺保護の観点からも適切な肺リクルートメント機能によるFRCの維持こそが早産児の人工呼吸管理における「キモ」と言っても過言ではないと思います。
スライド1 (Custom)
例えば自発モードがPSVでバックアップ換気圧がPSV圧より高ければ、自発呼吸比率が高いほど平均気道内圧は下がることになります。しかし、無呼吸が多いとその逆になります。理想的な人工呼吸器とは、自発呼吸が維持されている時には低い圧で、無呼吸時あるいはFRCが低下している時には適切な肺リクルートメントによって自発呼吸を再び促すことのできる機能を持った機種と考えます。

一般的な人工呼吸器でも無呼吸モードを搭載している機種が多々ありますが、その多くは一定の無呼吸時間の後に無呼吸モードに切り替わり、自発呼吸が検知されると再び自発モードに切り替わると言うものです。一見、それで何の問題もないように思えますが、早産児の場合、それだけでは落とし穴にはまります。例えば自発モードがPSVの場合、無呼吸検知と自発呼吸のトリガは共通していることが多いので、体重の小さい早産児だからトリガ感度を鋭敏にしようとすればするほど、ちょっとしたノイズを自発呼吸と誤認識する可能性が高まります。また、単に無呼吸時間を設定するだけでは、自発呼吸の誤認識から再度無呼吸時間をやり直しになりますので、その間にSpO2はどんどん低下して行ってしまいます。これが、このタイプの無呼吸モードの限界と言えるでしょう。
スライド2 (Custom)

成人領域でも汎用されるサーボiのオートモードはこの点でちょっと面白い機能です。他機種と同様に無呼吸時間を設定するのですが、その無呼吸時間とは自発呼吸が10回連続した時点で初めて有効となり、それより少ない自発呼吸回数の場合には、ある式によって定められた規則によって無呼吸時間を短縮させていきます。このモードはまだ使ったことはありませんが、最初に知った時には「コロンブスの卵」のような感動を覚えました。早産児の呼吸管理において有効な自発呼吸があるのか?本当に無呼吸なのか?を認識するのは、技術的にはかなり難しい部分があるのではないかと思います。その点で、このモードはその限界をよく知った上で、その限界を補うためによく考えられていると思います。
スライド5 (Custom)
スライド6 (Custom)

ハミングXのSIMV+PSVはとてもユニークで、SIMVモードなのに無呼吸時のバックアップ機能を有します。仮に換気回数15回/分のSIMV+PSVの場合、設定された無呼吸時間を経過すると、別設定されたBU換気回数(例えば25回/分)による強制換気が行われます。強制換気の最大吸気圧はSIMVと同一ですが、回数の増えた強制換気は肺リクルートメント効果を期待できると思います。
スライド7 (Custom)

またSLE5000のPSVもとてもユニークです。通常、PSVと言うと、無呼吸時にも呼気のターミネーションによって吸気時間が可変となりますが、SLE5000のPSVでは自発呼吸を検知しなかった場合には最大吸気時間を守ります。この特徴を活かせば、PSVの最大吸気時間を長めに設定しておくことによって自発呼吸がある時には吸気時間の短いPSVで、無呼吸の場合には長い吸気時間によって、やはり肺リクルートメント効果が期待できます。
スライド8 (Custom)

最新のBabylogVN500(VN500)にはMMVが搭載されています。このモードは分時換気量を確保するための従圧式換気で、例えばPSとの組み合わせであれば、PSのみで設定分時換気量が維持されていれば強制換気は行われませんが、PSのみで分時換気量が維持できなくなった場合には強制換気が加えられ、無呼吸時にはVGによる強制換気となります。
スライド9 (Custom)
ただし、例えば啼泣等により自発呼吸による分時換気量が設定値よりもかなり上回ってしまった場合、無呼吸時間の設定がないため、一度無呼吸になると分時換気量が設定値を下回るまで強制換気が作動しないと言う状態になります。この点が改善されればかなり有望なのではないかと期待しています。またMMVは肺リクルートメント効果としては、別に無呼吸検知にこだわる必要がないことも示していると言えるのかも知れません。
スライド10 (Custom)

最後にステファニーです。ステファニーのCPAP+PAVでは自発呼吸時にはPAVにより換気し、無呼吸モードが作動するとその後に自発呼吸が回復してもバックアップ換気は予め設定された一定のバックアップ換気時間作動した後、その回数を徐々に減じながら自発呼吸モードに切り替わる機能があります。もしバックアップ換気時間内に自発呼吸が回復した場合には、バックアップ換気は途中からA/Cとなり自発呼吸をトリガします。バックアップ換気時間が終わると自発モード(PAV)に切り替わりますが、バックアップ換気回数をFとした時、F/2、F/3、F/5と回数を徐々に減じていきます。バックアップ換気が単純なON・OFFではないことが大きな利点となっていますが、もう一つの利点はPAVとの組み合わせであると言うのも大きいかも知れません。前述のようにPSVであれば無呼吸検知はトリガ感度と同一にならざるを得ませんがPAVにはトリガ感度がありません。この特徴もまたPAVとバックアップ換気との相性の良さと言えるのかも知れません。
スライド14 (Custom)

ステファニーのCPAP+PAVの設定にはトレンドグラフが役に立ちます。PAVの比率が高い時にはPIPが変動しており、平均気道内圧も低く保たれますが、バックアップ換気の比率が高いと平均気道内圧は高くなります。
PAVTrend1 (Custom)
PAVのgainを下げて、それでも無呼吸が増えなければweaningは成功です。時にはPEEPを上げることでPAV比率が上がり、結果としてPEEPが上がったのに平均気道内圧が下がることさえあり得ます。
PAVTrend2 (Custom)
また、バックアップ換気が不十分なために自発呼吸比率が下がり結果として平均気道内圧が上がってしまっているような場合には、バックアップ換気圧を上げることによって、結果としてPAV比率が上がって平均気道内圧を下げることができる場合もあります。
PAVTrend3 (Custom)

PAVはなかなか使い慣れないと分かりにくいところばかりですが、PAVで培ったこうしたノウハウは、今後のNAVAの導入にも活かされるのではないかと期待しているところです。

ブログ更新情報

先発抑え (Custom)
2017.04.23
阪神小児循環器疾患研究会in兵庫県立尼崎総合医療センター
小児科学会 (Custom)
2017.04.19
「コミュニティ小児医療」とは?
(クリックするとクリニックのホームページへリンクします)
2017.04.18
2017年7月に「あいだクリニック」開院予定!
シンポジウム (Custom) (2)
2017.04.17
第120回日本小児科学会学術集会 in東京
p1
2017.04.13
Family Integrated Care~セミナーレポート
スライドラスト (Custom)
2017.04.05
新年度 ICTとしての新人オリエンテーション研修会
知って欲しい赤ちゃんのこと (Custom)
2017.03.23
東奥日報連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」まとめ①
CIMG5100 (Custom)
2017.03.21
スタッフ向け新生児蘇生法講習会~より実戦で役立つ講習を目指して
最終回 (Custom)
2017.03.16
東奥日報連載最終回~声なき声を聞くために
DSC09351 (Custom)
2017.03.05
周産期学習会~みんなで考えよう!青森県の小児在宅の今、未来
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
2017.03.01
ATV「わっち!!」で医療的ケア児特集
第41回目 (Custom)
2017.02.23
東奥日報連載41回目~広がる優しさと「思い」

カレンダー

2017年4月
« 3月  
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930