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成育科ブログ

東奥日報連載10回目 少子化の経済的背景

2015.02.05

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東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週が10回目です。今回は日本の少子化の経済的背景に関して述べてみました。
第10回目 (Custom)

以下、10回目の原稿です。

我が国の少子化のその背景にはさまざまな問題が複雑に絡み合っています。今回はその中でも経済的観点から考察してみたいと思います。

わが国の総出生数と合計特殊出生率は、団塊ジュニア世代を過ぎた1970年代なかば頃から右肩下がりとなり、これが少子化の初期段階でした。一般的に「女性の社会進出」が少子化の原因として、ある意味「枕詞」的に用いられますが、確かに1986年の男女雇用機会均等法制定へと続くこの頃は「女性の社会進出」の影響を受けていた時期と言えるのでしょう。

しかし、1990年台に入ると若い女性を取り巻く環境が一変します。バブル崩壊により雇用環境が悪化し、平均年収も低下します。さらに悪いことに、バブル崩壊と団塊ジュニア世代の大学卒業が重なってしまうのです。

図は大卒者の就職率を示したものですが、かつて80%程あった大卒者の就職率が1990年台に急降下し、95年に60%台へ、2000年には50%台まで落ち込み、いわゆる就職氷河期を迎えます。

結果として、若年者の失業率や未婚率が上昇し、経済的に子どもを産む余裕のない状況が生み出されました。既婚世帯においても、専業主婦世帯より共働き世帯が上回るのがこの頃です。

経済のグローバル化、雇用の規制緩和、金融危機など、バブル崩壊後の様々な変化が、団塊ジュニア世代以下の若年層に押し寄せ、この世代の経済基盤を脆弱化させてしまったことが、結果的に少子化の進行に拍車をかけてしまいました。団塊ジュニア以下の世代がそれ以前の世代と比べて、男女問わず苛酷な社会的環境におかれたことがうかがえます。

これはもはや、単なる「女性の社会進出」と言う言葉だけで片付けることはできないのではないでしょうか? むしろ、所得の低下と雇用の不安定化から、女性が「働かざるを得ない」状況になってしまったのです。

ちなみに青森県は「できちゃった婚」の比率が全国でも指折りに高い県です。この「できちゃった婚」の比率は宮城県を除く東北5県で高いのですが、東北地方は出生数の低下も激しいことを以前ご紹介しました。つまり、東北地方では「できちゃった婚」以外での出生率はとてつもなく低下しているのです。この現象もまた、東北地方の若者の経済的基盤の弱さを示すものなのかも知れません。

バブル崩壊以降の90年代は「失われた10年」とも呼ばれます。これは少子化対策にも当てはまり、団塊ジュニアを中心とした人口の多い世代からの出生数を増やせなかったことこそが、まさに少子化対策における「失われた10年」であり、しかも経済とは異なり、もはや取り返しの付かない10年であったと言えます。

前回、「少子化対策は時間との闘い」と述べましたが、これからの少子化対策はこの「失われた10年」が15年、20年にならないようにするためにも「時間との闘い」なのです。

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