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成育科ブログ

東奥日報連載23回目 災害時の授乳援助

2015.10.21

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が22回目でした。今回も母乳育児の話題の続きです。今回は災害時の授乳援助に関して述べてみました。
第23回目 (Custom)

以下、本文です。

日本は、飲み水や電気、清潔さがまるで「空気」のように存在する世界でもまれな国です。その点で言えば、「世界で最も人工乳(ミルク)栄養を安全に与えられる国」と言っても過言ではないでしょう。

しかし、一度災害が起こると「当たり前」が損なわれる場合があります。東日本大震災のような大災害はまれとしても、停電が起きただけで、マンションでは断水することがあり、オール電化住宅では熱源も使えません。

表は、災害時の赤ちゃんに必要な物品をまとめたものです。人工乳で育てる場合、たくさんの物品が必要になります。

まずは大量の水。ミネラル分の少ない軟水でなければならないので、ペットボトルの水でも適さないものがあります。

また災害時は、ほ乳瓶、特に人工乳首の部分を清潔に保つことが難しくなります。仮に消毒薬があったとしても、十分な洗浄ができなければ効果はありません。非常時には、代わりに使い捨ての紙コップが役立ちます。

湯冷ましも必要ですが、雑菌の混入防止のため一度沸騰させたものが必要です。適温に温めただけのお湯ではだめなのです。
清潔さが保たれないと、授乳期の乳児は簡単に細菌性腸炎を起こしてしまいます。災害時では生命の危機に直結します。その意味で、授乳期の乳児は災害時で最も弱い存在と言えるでしょう。加えて、災害時の備蓄として粉ミルクだけ用意していても、大量の水と熱源がないと役に立たないということを強調したいと思います。

それでは、母乳で育てるお母さんに対する望ましい支援とは、どのようなものでしょうか?

災害時は、ショックや不安のため、母乳の分泌量が少なくなることがあります。しかし、人工乳が必要と考えるのは早計です。
母乳分泌量が減ったからと言って、すぐに赤ちゃんに人工乳を飲ませると、逆に母乳分泌量が減少してしまいます。災害時には感染症もまん延しやすく、このような環境でこそ、母乳に含まれる感染防御因子が赤ちゃんを守る大きな役割を果たします。

多くの場合、精神的ストレスで母乳分泌量が減少するのは一時的であることが多く、むしろ重要なのは、授乳中のお母さんたちへの支援と配慮です。具体的には、飲み物や食べ物や毛布などの提供と、少しでも安心できる環境づくりでしょう。

周囲への事情説明も大切です?母乳分泌量の減少は一時的であることを伝え、頻回授乳を続けること。仮にお母さんたちが十分な水分や食料を得られていなくても、数週間ならそれまでと変わらない栄養分の母乳が分泌されることも伝える必要があります。

避難所では、プライバシーの確保も重要な課題です。人混みの中で授乳しても目立たない授乳用の衣服を用意しておくのも有効です。災害時だからこそ、母乳育児が継続できるような温かい支援が必要なのです。

表に示したように、人工乳の赤ちゃんに比べ、母乳だけで育てられる赤ちゃんに必要な物品はわずかです。母乳育児をするお母さんの比率が高い方が、結果として、人工乳栄養児への支援も重点的に行いやすくなります。その点から言うと、母乳育児支援は、災害対策としての側面もあるのです。

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