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成育科ブログ

東奥日報連載24回目 授乳中の薬剤投与(前編)

2015.11.05

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が24回目でした。今回も母乳育児の話題の続きです。今回は授乳中の薬剤投与に関して述べてみました。

第24回目 (Custom)

 

以下、本文です。

お薬を出しておきますから、服用中はおっぱいを止めてくださいね

授乳中のお母さんが病院を受診すると、このように言われることが度々あると思います。そして、その通りにすると、たった数日間やめただけで、おっぱいの量がすっかり減って、ミルクを足さなければならなくなってしまった、そんな経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。

以前も述べましたが、母乳分泌を維持するには、赤ちゃんがおっぱいを吸う「吸啜(きゅうてつ)」がとても大事です。特に、母乳育児が軌道に乗った頃の母乳分泌は、乳房内の母乳が「」になっていることが重要となります。逆に、乳房内に母乳の「飲み残し」があると、分泌量はどんどん減ってしまいます。このため、たとえ数日間とはいっても、赤ちゃんに授乳させることができない時期があると、母乳の分泌量は急速に減少します。

投薬中で授乳ができない間でも、お母さん自身でしっかり母乳を搾ることができれば、分泌量を維持することは可能です。しかし、急にしなさいと言われても、簡単にできるものではありません。母乳育児を確立させるのは大変ですが、壊すのはとても簡単なのです。

ただ、病院の先生が言うことにもそれなりの根拠があります。すべての医薬品には「医薬品添付文書」といって、詳しい情報が掲載されたお薬の「注意書き」があります。そして約7割の薬には、内服中は授乳を中止するように書かれています。

それでは、本当にこうした薬を飲んでいる間、授乳をやめなければならないのでしょうか?

確かに、投与中に絶対に授乳を避けなければならない薬は存在します。抗がん剤や麻薬、検査等に用いる放射性物質です。この他にも、授乳を避けた方が望ましいものはありますが、一方で注意書きに「本剤投与中には授乳を避けること」と書かれていても、「科学的」に考えてみれば授乳可能な薬は、実はたくさんあります。

実際に授乳可能な薬かどうかと、注意書きの記載内容とが一致するとは限らないのです。なぜこのような矛盾が生じてしまうのでしょうか?

NICU(新生児集中治療室)では、赤ちゃんにさまざまな薬を使って治療しますが、実は私たちが使っている薬の多くは、注意書き上は「小児・新生児への投与の安全性が確立していない(使用経験が少ない)」と書かれています。「使用経験が少ない」と書かれた薬の中には、何十年も前から発売されていて、小児の治療薬として欠かせない存在となっている薬もたくさんあります。

新しい薬が厚生労働省から認可される前には、必ず実際の患者さんに使って安全性が確認される仕組みになっています。ところが、多くの薬剤が開発・発売される中、小児や新生児に対してまで治験を行わずに認可されている場合がほとんどなのです。そうした薬でも、年月を経て少しずつ小児や新生児への治療薬として確立されます。ただ、それが何十年臨床現場で使い続けられていても、新たな治験を行わない限り、注意書きが改訂されることはありません。

これは授乳中のお母さんたちへの投薬に関しても同じことが言えます。授乳中のお母さんへの影響に関して、治験が行われることはまずありません。動物実験で、薬が乳汁中に微量でも検出されることが証明されただけで、注意書きには「授乳を避けること」と記載されてしまいます。しかし、そのような記載のある薬でも、赤ちゃんへの影響は無視して良いものの方がむしろ多いのです。すでに、そうした情報は「科学的根拠」のもと、分厚い1冊の本にまとめられていたり、ネット上に公開されたりしています。

次回は、どうすれば薬剤を投与中のお母さんたちでも授乳を続けられるかについてお話ししたいと思います。

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