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成育科ブログ

東奥日報連載34回目 医療的ケア児支援 後編~それぞれの思いのリレー

2016.07.28

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が34回目でした。 今回も前回・前々回に引き続いて、東奥日報明鏡欄に医療的ケア児のお母さんからの投稿が(2016年4月20日) の明鏡欄への投稿に関連して、前回ご紹介した横浜市の 能見台こどもクリニック の小林拓也先生が取り組まれている「メディカルデイケア」をどのようにしたら拡げることができるのか?に関して述べてみました。

実は、今回の原稿に関してはちょっとした裏話があります。

先日、青森市内で青森県小児科医会が開催されたのですが、そこで医会の会長である 河内小児科内科クリニック の河内暁一先生から小児在宅医療に関して少話題提供して欲しいとのお話しがあり、そこで横浜市の能見台こどもクリニック の小林拓也先生が取り組まれている「メディカルデイケア」に関して「今は青森県では補助がないのでおそらく難しいと思いますが仮にこのデイケア事業に対する収益が黒字化できるようになれば、参加して下さる先生はいらっしゃいますか?」と言う形でご紹介させていただきました。

すると、それからしばらくして、青森市内の開業の先生からお電話があり「もし収益面での心配がなくなるなら協力したい」とのご連絡が入りました。既に原稿締め切りは過ぎてはいましたが、それでもまだ修正可能なギリギリのタイミングでしたので、急きょ、この原稿中に「財政的問題さえ解決できればデイケアに協力したいと言う、県内のクリニックの先生もいらっしゃいます」との一文を加えることができました。

この一文を加えることができたことは、連載記事としても大きな意味があったと思いますし、また先日の大阪の議員さん達にも、ご協力いただけるクリニックの先生が実際にいらっしゃることをお示しすることができた点でもその意義は大きかったように思います。

いろんな意味で、人と人とが絶妙なタイミングでつながってリレーのようになった、個人的にはとても感慨深い回となりました。これを気に少しでも事態が好転していくことを願っています。

第34回目 (Custom)

以下、本文です。

前回は、横浜市の小児科診療所「能見台(のうけんだい)こどもクリニック」にある「メディカルデイケア」の施設を紹介しました。
この施設には、重症心身障害児のお子さんたちが日中預けられており、医療機関なので治療も可能で、体調を崩しやすい医療的ケア児の預け先として、とても優れています。しかし、医療的ケアを要する重症心身障害児のお母さんが、安心して働けるようになるための全ての答えになっているわけではありません。それはなぜでしょうか?
この施設の小林拓也院長先生に聞くと、「結果的に働けているお母さんはいるけれども、就労支援と銘打つのは個人のクリニックには荷が重すぎます」とのお返事でした。
この施設の医師は小林先生お一人なので、就労支援を銘打つと休むことさえできなくなります。実際にほとんど休みのない生活だそうで、裏を返すと母親の就労支援は、それだけハードルが高いと言えます。
そして、さらに重大な問題があります。
この施設には、これまでにも多くの見学者がおり、自施設でも取り入れようと試みた先生が何人もいたそうですが、多くが途中で断念されています。
理由は、国が現在定めているデイケアの報酬だけでは人件費を賄えず、赤字になってしまうからです。辛うじて続けられている施設でも、他の事業の黒字分で穴埋めしているのが実情です。小林先生の施設では、国の定める報酬に上乗せした補助を横浜市が出しているため、安定した運営ができています。つまり、行政からの支援なしに重症心身障害児のデイケア施設の維持は極めて困難なのです。実際に財政的問題さえ解決できればデイケアに協力したいという、県内のクリニックの先生もいらっしゃいます。
医療的ケアを要する重症心身障害児のお母さんが安心して働くためには、まず、デイケア施設への経済的支援が不可欠であること。そして、支援によって施設数の裾野を広げ、ある程度の規模を持ったネットワークを構築することが、お子さんの預け先の安定的供給に必要なのでしょう。
さらに、これまでの障害児への支援策は、家族の負担軽減を目的とはしていながら、「どこまで軽減できたか?」の評価もなければ、地域ごとの比較すら困難な状態にあります。障害児支援の充実度指標の一つとして、障害児の母親の就業率あるいは失業率が評価されるべきと考えます。
一方で、障害児・病児を持つ母親が働くことへの抵抗感を持つ方もいらっしゃるかもしれません。子どもを育てるのは親の努め、子どもの具合が悪い時に母親がそばにいるのは当然。確かにそうかもしれませんが、そこで思考停止してしまっていないでしょうか?
「わが子には保育園や幼稚園という選択肢すらありません。仕事をすることは不可能になり、経済的に苦しくなります。医学は進歩しているのに、福祉や制度は見直されず古いまま。その負担は全て家族が背負う現状です。共働きで子育てをしたいです」(一部略)
先日の明鏡欄に投稿されたお母さんの言葉です。夜間に何度も痰の吸引を行い、続けて何時間も寝ることもできない生活をしているのでしょう。それでも働きたいと訴える、その覚悟は並大抵のことではありません。障害があっても家族そろって暮らしたいからこそ、在宅医療を選択しているのです。
その思いを「親の努め」と一蹴してよいのでしょうか? 昔ながらの価値観でお母さんたちを縛り付けるのは、もうやめるべきではないか? それが成熟した社会のあり方ではないかと思うのです。
現在、政府は「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げています。障害児のお母さんの就労問題は、このスローガンの根幹に関わる問題でもあります。その解決に本腰を入れられるか否かが、「女性が輝く社会」の本気度を示す試金石となり得るのではないかと思います。

小児在宅1 (Custom)
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女性が輝く社会 (Custom)

(文責 成育科 網塚 貴介)

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