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成育科ブログ

東奥日報連載36回目 「一人飲み」㊦~追いつかない法整備

2016.09.15

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が36回目でした。今回は先月の 東奥日報連載35回目 「一人飲み」㊤~新生児医療現場の「悲鳴」 に続きGCUにおける赤ちゃんの「一人飲み」に関して、その背景を述べてみたいと思います。

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以下、本文です。

前回はNICU(新生児集中治療室)の回復期病床で、赤ちゃんが立てかけられた哺乳瓶を「ひとり」で哺乳する「一人飲み」の実態を紹介しました。「一人飲み」は看護師さんの人員配置の不備のため、多忙時にやむなく行われています。それではなぜ、看護師の配置の不備は解消されないのでしょうか?
NICUに入院しているのは小さな赤ちゃんです。看護師さんは医療的なケアだけでなく、哺乳やおしめ交換、着替えなど日常生活のケアも行います。つまり赤ちゃんを「預かる」託児行為をしているのです。しかし、保育所と違って、新生児病棟では一人の看護師が何人までの赤ちゃんを担当してよいという規則は定められていません。
昨年、全国の医療施設に行った調査によると、NICUの回復期病床における夜勤看護師一人あたりの受け持ち患者数は、全国平均で6・5人ほど。多いところでは10人以上の赤ちゃんを受け持っています。
連載12回目で、子どもが入院した時、「建前上」は親の付き添いが不要となっていても、現実には看護師一人あたりの担当患者が多いため、親の付き添いなしの入院が不可能となっている実態をお伝えしました。
これは小児病棟の場合の話で、親御さんが病室で子どもの横に寝泊まりしながら身の回りの世話をすることで、子どもたちの入院生活が成り立っています。
しかし、新生児病棟では基本的に病院側が赤ちゃんを預かっており、NICUはワンフロアに複数の保育器を並べて医者や看護師が頻繁に出入りする体制になっているため、家族が長時間付き添っていられるスペースがほとんどありません。そのため、小児病棟と同じ「看護師のマンパワー不足」という問題に対し、親の付き添いさえできない状況が生まれ、その「ほころび」こそが「一人飲み」と言えるのでしょう。
ここで同じく赤ちゃんを預かる保育所の状況を見てみましょう。
保育所は児童福祉法の児童福祉施設最低基準によって、例えば保育士1人に対し、1歳未満の乳児は3人までと法律で定められています。さらに同法の保育所保育指針には、生後6カ月未満の乳児の授乳は「抱いて微笑みかけたり、優しく言葉をかけたりしながら、ゆったりとした気持ちで行う」ともあります。
残念ながら「一人飲み」を行わざるを得ないような病院では、とてもそのようなことはできません。保育所と病院とではこれほどまでに法整備に違いがあります。
この違いはどこからくるのでしょうか?
それは待機児童の存在です。ご存じの通り、わが国では保育所に入所できない待機児童が大きな社会問題となっています。一方、病院はどうでしょうか。保育所における待機児童は、病院では「患者の受け入れ困難」にあたります。こちらは、全国で一人でも発生すれば大問題です。つまり医療の世界では「患者を受け入れることが最優先課題」という前提条件があるのです。
とは言え、患者さんを受け入れられれば赤ちゃんのケアの質がどうなっても良いわけがありません。全国の医療施設への調査でも、「一人飲み」をやめるためには「何らかの法整備が必要」との声が最多でした。
緊急の受け入れ体制はこれまで通り維持しながらも、一方で赤ちゃんのケアの質に関しても一定の法的基準が求められるべきなのではないかと個人的には考えているところです。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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