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成育科ブログ

東奥日報連載40回目~小児医療費助成続編・青森県と全国

2017.01.19

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が40回目でした。今回は以前ご紹介した小児医療費助成の問題の続編です。
東奥日報連載18回目 小児医療費助成の自治体間格差問題 
東奥日報連載19回目 青森県の小児医療費助成問題その2

本文でも述べたように、1年半前にこの連載原稿を書いていた頃は青森県の小児医療費助成が全国的にみてどのような位置づけにあるのか分かりませんでした。しかし今回、こうしたデータを目の当たりにして「これは公表するしかない」と考え、今回ご紹介することにしました。公表するにしてもしないにしても事実は事実です。まずは、こうした客観的な情報を踏まえた上で議論がなされることを期待します。

第40回目 (Custom)

都道府県別の小児医療費助成(3歳未満)の所得制限状況(平成27年12月時点、クリックすると拡大表示されます)

都道府県別の小児医療費助成(3歳未満)の所得制限状況(平成27年12月時点、クリックすると拡大表示されます)

以下、本文です。

「RSウイルス」をご存じですか? ちょうど今頃の時期に流行する呼吸器感染の原因となるウイルスで、この連載で1年半ほど前に小児医療費の問題を取り上げたときにも紹介しました。乳幼児期にかかることが多く、中でも早産児のお子さんは生命に関わるほど重症化することがあります。
このウイルスの重症化を防ぐための注射があって、流行期には毎月注射する必要があるのですが、かなり高額で、医療費の自己負担分を仮に2割とすると、窓口負担は1回あたり3~5万円にもなります。
青森県では小児医療費助成に所得制限が設けられている自治体が多く、その制限ラインもかなり低いため、経済的理由から注射を打ちたくても打てない患者さんがいる実態をご紹介しました。
当時は他県の状況が分かりませんでしたが、最近になって、この注射を扱っている製薬会社が、全国の各自治体の小児医療費助成に関するデータを持っていることが分かりました。今回はそのデータを分析して紹介したいと思います。
下のグラフは、全国の3歳未満の子どもに対する小児医療費助成の状況をまとめたものです。
助成の基準設定は各市町村に任されているので、まず全国の各市町村の所得制限の有無を調べ、制限がある場合は、扶養家族を1人とした場合の制限額ごとに色分けし、各都道府県の総出生数に対する割合として示しました。
全国47都道府県のうち、33都府県は所得制限がなく、グラフでは白い帯となっています。
所得制限がある場合は、300万円未満を最低ラインとして赤色で示し、100万円刻みで高くなるに従って色が薄くなるようにしました。
こうしてみると、300万円未満の所得制限は青森県以外に存在せず、しかも本県ではそれが6割超を占めています。400万円未満の設定があるのが、岩手県、宮城県、茨城県の3県で、それでも割合は3割程度です。お隣の秋田県も過半数で所得制限がありますが、最低ラインでも約498万円です。
本県の小児医療費助成における所得制限ラインの低さは明白です。本県の中では手厚いとされる青森市も制限ラインが約570万円と県内では高めですが、それでも全国的にみれば標準もしくはそれ以下にすぎません。
1年半前にこの問題を取り上げたときには、これほど本県の状況が悪いとは思っていなかったので、今回のデータは正直ショックでした。皆さんも同じ思いではないでしょうか?
小児医療費の無料化に関しては、コンビニ受診の問題や、本県の小児科医不足もあるので、単に無料化がいいとは思いません。しかし、必要な医療を受けたくても親の所得によって受けられないお子さんが存在していることも事実です。
小児医療費助成の議論では「親の負担軽減」と「子どもが医療を受ける権利」に混乱があるように思います。少なくとも親の所得によって「子どもが医療を受ける権利」が侵害されてはならないはずであり、例えば医療費が高額になる方を優先して助成するなど、子どもの医療費助成には、ある意味「保険」的な性格が求められるのではないかと思います。
今回ご紹介した全国的な位置づけも含めて、今後、小児医療費助成に関してさらに議論が深まることを期待しています。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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