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成育科ブログ

2017.03.01

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昨日夕方にATVの「 わっち!! 」で医療的ケア児の特集が放送されました。今回の特集は県内で医療的ケアを要するお子さんを育てているご家族が「私たちの現状を知ってほしい」との願いから取材に応じて下さり実現したものです。医療的ケア児とそのご家族への支援体制が整っていない現状と支援に向けた課題、県内での状況についてお伝えして下さいました。

以下、画面のキャプチャ画像をお示しします。
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お子さんが医療的ケアを要すると、お子さんの預け先はほぼ皆無に近く、お母さんが働くことはまず不可能となります。お子さんを保育園に預けられないと言うことは、これはお母さんの就労の問題を越え、実はお子さん自身の発達の問題にまで影響します。医療的ケア児の場合、就学まで全く集団生活を経験することがない場合も十分にあり得ます。それ以前の問題として、こどもは実生活の様々な場面からの刺激を通して成長していく存在です。

しかし、現状は医療的ケア児の人数すら把握できていません。まずは、現在実施中の医療的ケア児に関する調査の結果を待って、今後の施策に活かして欲しいと思います。

ちなみに、昨年6月3日に厚生労働省・内閣府・文科省の連名で 医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について と言う通知が出されました。今回の特集内にもあったように、医療的ケア児の問題はこれまでの行政の枠組みのどこにもあてはまらない問題であることから、その上で省庁を越えて連携することでしっかり支援しましょうと言う主旨の通知です。こうした通知が出されたことも、社会的認知が進んできた証なのでしょう。今回のようにマスメディアで取り上げられることが追い風となって欲しいと願うばかりです。

医療的ケア児通知 (Custom)

(文責 成育科 網塚 貴介)

(クリックすると東奥日報連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」のバックナンバーへリンクします)

(クリックすると東奥日報連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」のバックナンバーへリンクします)

(クリックするとリクルートページにリンクします)

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2016.09.17

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9月17日の報道特集で「医療ケアが必要な子を育て働くこと」をテーマにした特集が放送されました。
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まず、障害児を育てる母親の就労率は5%にすぎない現状が紹介されます。
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その背景として、特に医療的ケア児を預かることのできる保育施設がないことが挙げられ、その先駆けとして日本初の障害児専門の保育施設である ヘレン の取り組みが紹介されました。
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そこには小池新都知事も視察に来られていて、「お母さんも働けて、収入も上がって」と仰って下さっていました。
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ヘレン代表の駒崎さんも、お子さんに障害があってお母さんが働けなくなると貧困に陥る可能性にまで言及して下さっていました。
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一方、医療的ケア児が他のお子さんと一緒に哺育されることは、そのお子さんの成長にもつながり、逆に健常なお子さんにとっても貴重な体験となること、と言うよりも人としての優しさを学ぶ機会ともなり得ることもお子さんのお父さんの言葉としても語られていました。
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本来であれば医療的ケア児も健常なお子さん達と一緒に生活することが望ましいけれども、一方で、現在の枠組みの中ではヘレンのように障害児を専門にあずかる施設にならざるを得ないジレンマがヘレンの園長先生からも語られていました。「将来的にはヘレンがなくなるのが理想的」と言う言葉は、こうした先駆的な取り組みをされている方の言葉としてはとても重いものだと感じます。
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そして、ここからは神奈川こども医療センターの豊島先生と星野先生の登場です。お二人とも口を揃えて、NICUから退院後の社会資源が乏しい中で救命にだけ取り組むことへの問いかけがされていました。
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これまでこのブログでも、また 東奥日報の連載 でも障がいや医療的ケア児のお母さんの就労問題に関しては何度も取り上げてきました。テレビ等のメディアでも医療的ケア児のことを取り上げたものはありましたが、今回ほど明確に「医療ケアが必要な子を育て働くこと」を前面に押し出した特集は記憶にありません。と言うよりも、障害児や医療的ケア児への支援のあり方を考える学会ですら、ここまで「医療的ケア児を育てて働くこと」に対して明確されたものはあまり見た記憶がありません。それほど、ある意味医療従事者の問題意識を超えるほどに実に画期的な放送だったと感じました。今回の特集からさらに大きく支援が拡充されていくことを願ってやみません。

以下、ご参考までにこれまでの記事をまとめておきます。
2016.04.20 東奥日報明鏡欄に医療的ケア児のお母さんからの投稿が

2016.05.18 東奥日報連載32回目 医療的ケア児のお母さんからの投稿を巡って

2016.06.08 メディカルデイケアとは?~横浜・ケアハウス輝きの杜

2016.06.23 東奥日報連載33回目 医療的ケア児への支援 前編

2016.07.22 公明党大阪府議会議員団の皆さんによるNICU・成育科視察

2016.07.28 東奥日報連載34回目 医療的ケア児支援 後編~それぞれの思いのリレー

2015.11.22 「続・赤ちゃんを救え〜助けられるようになった小さな命」

2015.10.14 小児在宅医療シンポジウム~母親の就労の観点から

神奈川県立こども医療センターの豊島先生のブログではこの番組の動画ページも紹介されています。
報道特集(2016年9月17日)で放送:「医療的ケアとともに生きるこどもと家族のサポートのあり方」

(文責 成育科 網塚 貴介)

2016.06.21

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周産期医学6月号 の特集「 周産期領域の新しい検査法 」で「即時画像表示機能つきポータブルX線撮影システム」の有用性に関して解説しました。
周産期医学6月号 (Custom)

内容的には昨年7月に福岡で開催された 第51回日本周産期・新生児学会のランチョンセミナーでお話しさせていただいた「より低侵襲かつ安全なX線撮影を目指して~フラットパネルの新生児急性期医療への効果」のダイジェスト版みたいな感じです。
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フラットパネルの有用性として

1)従来のX線撮影における問題点とその解決
2)ポータブル撮影の侵襲低減
3)安全なカテーテル等挿入のために
4)透視の代替え手段として

に関して述べました。

まとめのところでも述べましたが、このシステムを導入してみて分かったことは「今までいかに経験則による盲目的な処置を行ってきたのか!」と言うことです。こうしたシステムが今後はNICUの施設基準に盛り込まれるべきなのではないかとさえ感じています。

(文責 成育科 網塚 貴介)

2016.06.16

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先週末に千葉県柏市の麗澤大学で開催された 日本人口学会第68回大会 に参加してきたことをご紹介しましたが、午後からの「人口政策の成り立ちを考える ~ Linking Past to Present ~」と題した公開シンポジウムで、一番興味深かった藤田 菜々子先生(名古屋市立大学)」による「戦間期スウェーデンにおける人口減少の危機とミュルダール」のご発表をちょっとだけご紹介します。
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ミュルダールは1930年代のスウェーデンにおける人口減少問題で活躍された経済学者で、実は一人の学者ではなく、夫:グンナー・ミュルダールと妻:アルヴァ・ミュルダールのご夫婦で研究をされていました。以前からスウェーデンの歴史・経済には興味があって、今回ご発表された藤田先生が執筆された「 ミュルダールの経済学―福祉国家から福祉世界へ 」はしばらく前にかじり読みしたことがありました。
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1930年代のスウェーデンは大恐慌の影響で失業率が高く、出生率の低下や移民として他国へ移住する人の増加による人口減少に悩まされていました。こうした時代背景の中でミュルダール夫妻が様々な論を展開していきます。

保守派は国力の維持向上のため人口増加を求める一方で伝統的な家族的・男女役割分担を求めます。一方、人口減少によって生活水準が上がると人口減少を歓迎する人たち(新マルサス主義)もいたそうです。ミュルダールは出生率低下の原因は個人ではなく社会構造にあると考え、出生率の低下は、主として女性の労働市場進出によって生活水準を上げられる状況にあるのに、出産・育児によりそれが不可能になる構造があるから生じていると考えます。この辺の背景や議論はまさに今の日本と酷似していると感じる点です。
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出生率の低下に対し、新マルサス主義では人口減少を歓迎していましたが、ミュルダールは人口減少は中長期的には総需要の減退に結びつき、失業・貧困をもたらすと考えました。これは後にケインズが発表する「人口減退の若干の経済的帰結」の中でも同様のことが述べられており、経済政策としてはケインズにも先んじていたのだそうです。
本著の方によれば「人口政策は、個人の自由と言う民主主義の規範を損ねることなく、私的態度にどう影響を与えるかとという視点から論じなければならない。<中略>「個人の生活スタイルを強制的に過去に戻すことはできないのであり、「家族は国家への服従ということではなく、自らの幸福のために子どもを持つべき」と記されています。
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そして、政策提言としては、消費の社会化、中でも出産・育児に関わる消費の社会化を主張し、すべての子ども・家族へ無料の公共サービスを提供することを求めました。ミュルダールは基本的に現物給付へのこだわりが強かったそうです。そして、これらの中心となっている考えは、「育児は国家全体の責任であり、両親のみの責任ではない(本著より引用)」と言うものでした。
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かなり大雑把なダイジェストではありますが、あらゆる議論が今の日本の議論とそっくりそのままであることに驚きを禁じ得ません。しかも、他国の話ではあっても、歴史的に今の日本と同じような議論がなされていた国があり、それを克服した歴史もまたあるにも関わらず、全く同じ議論をやり直ししているのがあまりにも愚かしくも感じました。

今回のご発表をお聞きしていて、しばらく前に話題となったベストセラー 水野和夫氏「資本主義の終焉と歴史の危機」 のことを思い出しました。

当時のスウェーデンと今の日本との違いは経済のグローバル化なのではないかと思います。水野氏によると資本主義に「死期」が迫っており、それを示すのが利子率の低下なのだそうです。資本主義とは利潤を得て資本を増殖させることを基本的性質としていることから、利潤率が極端に低いと言うことは、すでに資本主義が資本主義として機能していないことを示すのだそうです。 資本主義とは「周辺」たるフロンティアの拡大により「中心」が利潤を上げて資本が自己増殖するシステムと定義されています。「もっと先へ」と「空間」の拡大を続けてきましたが、発展途上国の実物経済による「地理的・物的空間」ではもはや高い利潤率を上げることができなくなり、ここで「電子・金融空間」と言う新たな「空間」を作りだし延命を図ったと言います。この過程の中で新たな「周辺」として、今度は国内にも、例えば米国で言えばサブプライム層や日本で言えば非正規社員を出現させたと言うことのようです。しかし、このような「フロンティア=狩り場」も限界を迎えてきていると言うのが水野氏の論と理解しています。

水野氏の本を読んだ感想で「 資本主義の終焉と歴史の危機」を読んで 狩猟型から農耕型へ 」を書きましたが、「フロンティア=狩り場」が限界に達した今、結局はミュルダールのような考え方にまた戻らざるを得ないのではないかと言うのが経済も人口も素人の独り言です。

現代日本でもっともっと注目されるべき経済学者だと感じました。演者であり著者である藤田 菜々子先生のますますのご活躍を祈っております。

(文責 成育科 網塚 貴介)

2016.05.21

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新生児医療連絡会30周年記念誌 に続いて、おもに元新生児科医の先生達がNICU退院後の赤ちゃん達を支援されている「 赤ちゃん成育ネットワーク 」の会報が届きました。こちらにも「NICU便り」として寄稿させていただいたのでご紹介させていただきます。
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本文中でも述べましたが、「成育科」とは言ってもまだまだ手探り状態・暗中模索と言うところですので、先人の諸先生からいろいろと教えていただければと思っています。

(クリックすると拡大表示されます)

(クリックすると拡大表示されます)

以下、本文です。

平成16年11月に当院に総合周産期母子医療センターが開設され、昨年の11月で開設からちょうど丸10年を迎えました。
青森県は乳児死亡率が戦前から全国最低レベルで、2001年に当院にNICUが設置されて以降、県内全体でこれを改善しようと言う気運が盛り上がり、総合周産期母子医療センター開設を機に県内の超低出生体重児の当院への集約化が始まりました。救命率の向上に伴うNICUの病床不足に際しては、状態が安定した児を地域周産期センターへの後搬送によって受け入れていただくなどの施設間連携も徐々に形成されました。現在では県内で出生するほぼ全ての超低出生体重児が当院へ集約され、またその退院先も自宅退院は全体の約4割にとどまり、残り6割は地域周産期センターへ後搬送されています。こうした県全体の取り組みの成果として、昭和後半から常にワースト5位に低迷した周産期死亡率の5年平均値は直近の平成22~26年では上から9位と、遂に上位群の仲間入りを果たしました。
一方、超低出生体重児の救命率が向上するなかで消化管穿孔や脳室内出血などの重篤な合併症の発生率は決して満足行くものではありませんでした。こうした合併症を減じるため、平成23年以降は神奈川県立こども医療センターへの国内留学・研修により治療方針を全面的に見直しました。その結果、治療成績は大幅に改善し、新生児臨床研究ネットワーク(NRN)の2011年の成績では粗死亡率で全国77施設中トップの成績となり、さらに2013~2014年には、超低出生体重児58例中、死亡、重度脳室内出血、在宅酸素がともに2年連続ゼロと言うレベルにまで至りました。
この10年間、本当に色んなことがありました。かつての医師派遣元であった札幌医科大学小児科からの医師引き上げによる医師不足の時期は本当にいつ潰れてもおかしくありませんでした。現在の当院NICUがあるのは多くの出会いの中での「奇跡」としか言いようがありません。
青森県の新生児医療は当院が県外から医師派遣を受けていたため、結果として診療によって得られたはずの経験知を県内に還元できず霧散させてしまいました。他県を見渡しても、総合周産期母子医療センターへの医師派遣を県外大学に依存する地域の多くは現在も人材育成でご苦労されているところが多いのではないでしょうか?地域医療の発展には、患者さんと医師の動きを一致させ中核施設での研修を県内の医療に還元すること、そして自らの弱みを客観的に認識し常に進化し続ける姿勢の両者が不可欠であると、この10年で学びました。
しかし、課題はまだ山積しています。本県の新生児医療はこれまで極めて高かった乳児死亡率の改善を目指して政策医療の一環として整備されてきました。しかし、NICUから退院した児に対する支援はまだまだ手薄です。政策医療として行ってきた医療は結果的に「助けっ放し」になってしまっているとさえ感じています。
新生児期から発生する後障害は極めて多岐に渡り、その支援体制の構築もまた一筋縄ではいかないことを日々痛感しています。もはや、新生児医療の片手間でできる仕事ではないと考え、2016年度からは新生児科から独立し「成育科」を立ち上げることとなりました。
個人的には、これを機に新生児医療を離れ、今後は「成育科」に専念し、NICU退院後のフォローアップを中心とした様々な支援体制の構築に力を注いでいきたいと考えております。とは言うものの、ほとんど手探りの状態でもあり、「赤ちゃん成育ネットワーク」の諸先生からのご助言をいただければと思っております。今後ともご指導の程を何卒よろしくお願い申し上げます。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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