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成育科ブログ

2015.10.08

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が22回目でした。今回も母乳育児の話題の続きです。前回の最後に「母乳の効果なども含めてすべて確率論でしかない」と述べました。今回はその続編で、母乳栄養の効果は個人個人で言えば確かに「確率論」かも知れません。しかし、これが大きな集団になると「確実」に一定の効果が得られます。青森県は「短命県返上」をスローガンとしていますが、それならば県全体として母乳育児支援を進めるのがその第一歩ではないかと言うのが今回のお話しです。

第22回目 (Custom)

以下、本文です。

今回は母乳育児の健康面への効果に関して述べてみたいと思います。母乳にはさまざまな効果があり、例えば免疫面では各種の感染症に対する罹患率を下げる効果があります。表に示すような感染症では人工乳で育てられている赤ちゃんに比べて、その罹患率を最大で数分の一にすることが知られています。

人間の体は、体内に病原体などが入り込むと白血球が反応して病原体を攻撃しますが、授乳中のお母さんの場合、同時にその病原体の情報が乳腺細胞に伝えられることで、その病原体に対する抵抗力を含む母乳が分泌されます。この他にも母乳中の様々な成分が直接病原体を攻撃したり、赤ちゃん自身の免疫機能を高める作用も知られています。まさに、お母さんの体が「盾」となり、母乳を介して赤ちゃんを守るような仕組みになっているのです。この他、母乳で育てられたお子さんは成人期になってからの肥満や糖尿病の発生率が下がることや、メタボリックシンドロームになる確率が低いことも知られています。

また、母乳育児はお母さんの健康にも効果があることが知られています。授乳中に女性ホルモンの値が下がることで卵巣がんや子宮体がん、閉経前の乳がんの発生率が低下します。また骨粗鬆症や関節リウマチの発症頻度が下がることも知られています。この他、生活習慣病としては授乳期間が長いほど糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、心血管系疾患の罹患率が下がるとも言われています。

ただ、母乳のこうした効果もあくまで罹患率を下げる作用があるというだけで、その効果が保障されているわけではありません。せいぜい人工乳と最大数倍程度の差ですから、実際に赤ちゃんを育てているお母さんたちから見ると、その効果は実感できない程度かと思います。ですので、よく「うちの子は人工乳だけで育てたけれど風邪なんか一度もひいたことがない」とか、逆に「うちは母乳で育てたのにしょっちゅう気管支炎で入退院ばかりで・・・」というお母さんがいるのも当然のことなのです。母乳育児の効果と言っても、個人レベルで言えば、その効果はあくまで「確率論」でしかありません。

それでは母乳育児の効果など取るに足らないのでしょうか?

それは個人レベルと県などの大きな集団とでは大きく話が異なります。県単位の大きな集団で母乳育児支援が進められ、母乳育児が可能なお母さんが増えると、上述したような感染症は県全体としては「確実」に減少します。こうした母乳の効果は米国を中心とした大規模な疫学研究によってその効果が科学的に証明されています。つまり、母乳育児のリスク軽減効果は個人レベルでは実感困難かも知れませんが、大きな集団になるとその効果は「確実」になると言うことなのです。

近年、本県ではがん死亡率全国最下位などの汚名を晴らすべく「短命県返上」をスローガンに県民の健康増進を図るための施策が広く行われています。母乳育児が本県内で広がることができれば、赤ちゃんの感染症を減らすだけではなく、大人になった時のメタボ対策や、お母さんたち女性に特有のがん罹患率低下や健康増進効果などが期待できます。青森県全体として「短命県返上」に取り組むのなら、これだけ効果の「確実」な母乳育児支援も推し進めてはどうかと思いますがいかがでしょうか?

2015.09.10

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が21回目でした。今回も前回に引き続き母乳育児の話題を取り上げました。母乳育児では、よく「母乳にこだわる」という表現が使われますが、今回はどうして「母乳にこだわる」という表現になってしまうのか、その理由を考えてみました。

第21回目 (Custom)

以下、本文です。

母乳育児に対して、よく「母乳にこだわる」という表現が使われます。今回はどうして「母乳にこだわる」という表現になってしまうのか、その理由を考えてみたいと思います。

まず、母乳分泌の仕組みを知っておく必要があります。母乳分泌には「プロラクチン」というホルモンが欠かせません。このホルモンは脳の下の方にある脳下垂体から分泌され、母乳を分泌させる作用があります。プロラクチンは妊娠中から血中濃度が上昇しますが、妊娠中には母乳はほとんど出ません。それは胎盤からプロラクチンの作用を抑える別のホルモンが出ているからです。赤ちゃんが生まれると一緒に胎盤も出てくるので、そこで初めて母乳分泌が始まります。しかし胎盤からのホルモンの値が下がるのには数日間かかります。お産直後からすぐにたくさんの母乳が出ないのはこのためです。

産後、赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸った時(これを吸啜(きゅうてつ)と言います)、プロラクチンの血中濃度は一時的に急上昇します。逆に吸啜刺激がないと、プロラクチンの血中濃度は1週間ほどで妊娠前の値まで急降下すると言われます。短い間隔で何度も授乳を行い、赤ちゃんに頻繁におっぱいを吸ってもらうことによって、プロラクチンの下降を抑え、その値を維持させているのです。

一方、この間におっぱいの方にも変化が起きています。お産の後、継続的に何度も吸啜刺激を受けプロラクチン値が維持されることによって、母乳を分泌させる乳腺細胞が、プロラクチンの作用を受けやすいように変化していくのです。お産から2週間も過ぎると、授乳回数の多いお母さんでもプロラクチンは低下しますが、お母さんのおっぱいの方が変化することで、低い値でも母乳が分泌できるのです。

以上をまとめると、母乳の分泌には赤ちゃんが頻回にお母さんのおっぱいを吸啜する必要があるということになります。
しかしここで、生後まもなくから人工乳をどんどん飲ませるとどうなるでしょうか?

生まれたばかりの赤ちゃんの胃袋は、そもそもそれほど多くの乳汁を飲めるようにはなっていません。赤ちゃんの胃袋の内容量は生後1日目で6㍉㍑、3日目でも25㍉㍑程度です。人工乳は母乳に比べて消化が遅く「腹持ちがいい」ため、人工乳をたくさん飲まされた赤ちゃんはお母さんのおっぱいをあまり吸ってくれなくなります。つまり、人工乳をどんどん飲ませることは、母乳を出なくしているのと同じことと言えます。逆に母乳はとても消化がいいので、赤ちゃんはおなかが減って泣く感覚が短くなります。これが「おっぱいが少ないのではないか?」という誤解を生む原因にもなりますが、本当は赤ちゃんに数多く吸啜してもらうためにうまくできているとも言えるのです。

ここで最初の話に戻します。なるべく人工乳を加えず赤ちゃんに何度も吸啜の機会を与えることが、こうした仕組みを理解していない人から見ると「母乳にこだわる」ように見えるのでしょう。しかし、お母さんが「母乳で育てたい」という希望があるなら、人工乳をたっぷり飲ませながらでは、その希望には応えられないということになります。

ただし、これには個人差があります。いくら吸啜させても母乳の量が増えないお母さんもいれば、どんどん人工乳を飲ませてもいつの間にか母乳だけになっているお母さんもいます。母乳育児を語る上で難しいのは、こうした個人差の大きさであり、さらに言えば、母乳の効果なども含めてすべて確率論でしかないという点です。この辺のお話は、また次回以降にしたいと思います。

2015.08.06

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が20回目でした。今回から何回かにわたって母乳育児の話題を取り上げて行きたいと思います。

第20回目 (Custom)

以下、本文です。

今回から何回かにわたって母乳育児の話題を紹介したいと思います。

赤ちゃんを母乳で育てることのメリットは、特に欧米を中心に膨大な科学的データが集積され、感染症に対する免疫効果や知能の発達に良いというデータもあります。こうした母乳育児の重要性を多くの方に知ってもらいたいと思うのですが、一方で、「母乳がなかなか出ない母親もいるのに追い詰めることになりはしないのか?」と言う懸念も度々耳にします。確かに母乳育児の重要性を発信・推進する側としては、こうした指摘に対して重々配慮していく必要があると考えています。

ただ、ここで重要なのは、母乳育児の重要性を誰に知ってほしいのか?という点です。

そもそもお母さんたちの多くは、いまさら母乳育児の大切さなど、他人から言われなくても十分知っているはずです。そして、できれば母乳で育てたいという希望を持っていて、その理由だって「ただ母乳で育てたいから」それで十分です。お母さんたちに母乳育児のメリットを第三者がことさら強調する必要などなく、むしろ「大きなお世話」と言うものでしょう。必要なのは母乳育児がうまくいくための正しい情報と支援です。

それでは、実際に母乳育児をしている方を取り巻く環境はどうでしょうか?お母さんたちに日々接していると、母乳育児を続けることに困難さを感じる場面が多々あります。特に早期に職場復帰されたお母さんにとって、母乳育児の継続は多くの場合かなりの困難をともない、諦めている方が多いのが実情です。

これまでも述べてきたように、働くお母さんが増えています。早産児のお子さんを保育所に預けると、「保育所で母乳を与えるのは無理」と言われるとよく耳にします。早産児は免疫能が未熟なので、早期の集団生活による感染のリスクを考えると、母乳を続けられるのに越したことはありません。にもかかわらず、現状では保育所で母乳を与えたいというのはぜいたくな要求となっているようです。

また、職場にも問題があります。母乳育児を続けるには、お母さんたちは職場でも数時間おきに搾乳をしなければ胸が張ってしまったり、結果として母乳の出が悪くなったりしてしまいます。しぼった母乳を後で赤ちゃんに飲ませるなら冷凍庫・冷蔵庫も必要です。しかし、多くの場合、お母さんたちはトイレで搾乳しては、保存する場所もなくそのまま捨てているそうです。これもまたよく耳にする話です。

保育所にしても職場にしても、そう簡単に理想的な環境が実現するとは思いません。特に保育所はぎりぎりの人員で運営されているところも多いので、一方的なことばかりは言えません。

それでは母乳育児の重要性は誰に対して伝えられるべきなのでしょうか? それはお母さんたちを支えるべき「社会」に対してではないかと思うのです。

正しい情報と支援さえ得ることができれば、ほとんどのお母さんは母乳で赤ちゃんを育てられると言われています。問題は、「母乳がなかなか出ない母親もいるのに追い詰めることになりはしないのか?」という言葉の陰に隠され、結果として母乳育児支援自体が社会からタブー視され、そのことによってお母さんたちへの支援がないがしろにされてしまっている現状にあるのではないかと感じています。

こうした、一見、思いやりがあるように見える社会としてのタブー視こそが、現実には母乳育児がうまくいかずに傷つくお母さんを増やしているということに、気づくべきではないでしょうか。母乳育児の重要性を知らなければならないのは、お母さんではなく、社会そのものではないかと思うのです。

2015.07.09

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が19回目でした。 前回の小児医療費助成の自治体間格差問題 に引き続き、今回も小児医療費問題を取り上げてみました。

前回は青森県の多くの市町村における小児医療費助成の不備に関して述べましたが、今回は小児医療費の無料化が「コンビニ受診」を引き起こしかねない点に関して言及してみました。

本文でも述べていますが、結局は限られた予算をどのように配分するか?と言う点に関する「理念」の問題なのではないかと考えています。いずれにしても、本県の多くの自治体ではそもそもの小児医療費助成に対する予算規模が小さすぎますので、その見直しが先決であると言う点に関しては前回と同様ではあります。

第19回目 (Custom)

以下、本文です。

前回は、本県の小児医療費補助が他県より手薄になっている現状を紹介しました。

一方、小児医療費の無料化は別の側面でしばしば問題視されます。安易に時間外受診する「コンビニ受診」の増加です。無料化が夜間・休日の受診数増加につながる可能性を考えると、問題は簡単ではありません。

青森県は小児科医が極めて足りません。夜間輪番制が組まれている地域もありますが、重症の入院患者を診療しながらの夜間の外来診療は、かなりの負担です。人口の少ない地域では、そもそも小児科医が数人以下のため、輪番どころかいつ呼び出されるか分かりません。

コンビニ受診は、こうしたギリギリの状況で維持されている「小児医療の質」そのものを下げてしまう恐れがあります。この問題は「患者さん対医師」の構図が強調されがちですが、実は限られた医療資源の適正利用を妨げるという点では、「患者さん同士」の問題がその本質と言えるでしょう。

ただ、世間的に問題視されるコンビニ受診ですが、その受診が本当に「コンビニ受診」なのかどうかの線引きは、これもまた難しいものがあります。

初めての赤ちゃんが生まれた親は、本当に些細なことが気になってしまうものです。小児科医である筆者ですら、最初の子どもが生まれた当時は、ちょっとした風邪で鼻づまりを起こすと、そのまま息が止まってしまうのではないかと心配で寝られませんでした。専門医にしてこんなものですので、医学的知識のない方たちが心配になっても不思議ではありません。

些細な症状から大事に至ることもまれではなく、結果論からコンビニ受診と断じることは好ましくないでしょう。しかし一方で、誰が見ても明らかな「コンビニ受診」が存在するのも事実です。

こうした背景から、特に夜間・休日の受診に対して、一定額を徴収するべきだという意見も耳にします。ただ、早産児の中には頻繁に風邪を引いたり、肺炎・気管支炎に繰り返し罹患し続けるお子さんも少なくありません。定額徴収が導入された場合、このような家庭では、親の所得によっては負担が大きくなりすぎて、本当に必要な時に受診できなくなる可能性も危惧されます。

それでは小児医療費の負担軽減と「コンビニ受診」の抑制と言う、この相反する二つの課題はどうしたら解決できるのでしょうか?

行政サービスとしての小児医療費に対する補助は経済的に困っている患者さんのご家族へ重点的に投じられるべきものであり、その意味では保険的な性格が求められます。本来のあるべき姿は親の収入にかかわらず子供達が適切な医療を受けることができるようにすることですから、限られた予算をどのように配分するかに関する理念を明確化することが、この相反する二つの課題を解くための鍵になるのではないかと思います。

いずれにしても、県内の多くの市部ではそれ以前の問題として小児医療費補助に対する予算規模があまりに小さすぎます。その前提として「親の所得によって子どもの医療を受ける権利が侵害されてはならない」という、県内全体のコンセンサス(合意)が必要なのではないかと思います。

2015.06.18

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東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週月曜日が18回目でした。
今回は小児医療費助成の自治体間格差問題を取り上げてみました。
青森県は乳幼児医療費助成制度が自治体間でかなりの差はあるものの全般的にみれば非常にpoorです。本文中に示した扶養家族が1名の場合の所得制限額272万円と言うのは、この制度自体における最低基準額に相当します。青森市以外の市部が全てこの水準なのですから県全体でみると全国でも最低レベルなのではないでしょうか?本文中にも書きましたが、パリビズマブ投与に際して医療費のことをこと細かく説明しなければならないことを県外の先生方にお話しするとかなり驚かれます。
「親の所得によって子どもが適切な医療を受けられない社会」
これが青森県の現状です。あらゆる制度で子どもの立場・権利からの視点が抜け落ちている気がします。

ご参考までに本文中にある当科で調査した自己負担額のスライドをお示しします。
自己負担額の現状 (Custom)
助成を受けられなかった家庭 (Custom)

第18回目 (Custom)

以下、連載18回目本文です。

今回は本県の小児医療費の問題がテーマです。小児の医療費は一般的に成人に比べて高額になりにくい分野です。治療期間が長くなる「小児慢性特定疾患」に該当する場合は、医療費の大部分が無料になるなど、医療費が抑えられる制度もあります。しかし近年、子ども向けの高額な薬剤が登場し、医療費が高額になるケースが出てきています。

皆さんは「RSウイルス」と言うウイルスをご存じでしょうか? このウイルスは秋から春にかけて、特に冬期に流行し、お子さんは2歳までにほぼ100%感染するぐらい、とても一般的なウイルスです。通常は発熱・鼻汁などを伴う上気道炎を発症し、数日で自然に治ります。ただ、このウイルスは早産児の場合、生命にかかわるほど重篤化する場合があります。赤ちゃんはへその緒を介してお母さんから感染症に対する抵抗力となる抗体(これを「移行抗体」と言います)をもらいますが、早産児の場合、この移行抗体量が少ないため、成熟児であれば軽い上気道炎で済むところが、気管支炎や肺炎などの下気道炎まで進展するリスクが上昇します。

これに対して、RSウイルスによる呼吸器感染重篤化予防のための注射があり、早産児の場合、秋から春にかけて毎月1回注射することが望ましいとされています。ところが、この注射は小児に投与する薬剤の中では飛び抜けて高価です。乳児医療の自己負担分を仮に2割とすると、窓口負担は1回あたり3~5万円にもなります。これを毎月投与するわけですから、公的助成でもなければ、どのご家庭でも支払いは難しいでしょう。県病での調査では、この注射を双子のお子さんに1シーズン投与し40万円の自己負担が発生した方がいました。

小児の医療費は、全国的に医療費助成制度により無料化の方向性にあるものの、制度運用は市町村に一任されており、居住地によってその運用は多様です。親の所得に関係なく無料化されている市町村もあれば、一定の所得制限が設けられている市町村もあります。

この所得制限も、かなり低い所得の方のみに設定されているか、ほとんどの家庭が対象となるかによって、まったく状況が違います。青森県の場合、市で所得制限がないのは黒石市とつがる市のみ。その他の市には制限があり、またそのラインが大きく異なります。例えば扶養親族が1人の場合、青森市の所得制限ラインは532万円ですが、その他の市では、青森市の半分以下の272万円ほどとかなり低めです。所得がこのラインを超えると、前述のRSウイルスに対する注射では毎月3~5万円の自己負担が発生してしまいます。

首都圏にお住まいの方が本県の某市へ転居された際、小児医療は無料と思い込んでいたところ、この注射の金額を聞いて転居後の投与継続を断念したというお話もよく耳にします。私たちもこの注射の説明をする際、どこにお住まいで、助成制度の対象になるかどうかの確認を必ず行うようにしていますが、そのような現状を他県の先生に話すと一様に驚かれます。

親の所得によってお子さんの医療に制約がかかってしまう社会は、誰も望まないのではないでしょうか? しかし、本県ではそれがすでに現実のものとなっています。

先日、昨年の人口動態統計が発表されました。本県の出生数は2009年に1万人を割り込んで以降も減少傾向が続き、昨年はついに8853人と9千人をも割り込んでしまいました。以前も述べたように、本県の出生数減少率は全国でも秋田県に次ぎ2番目に高く、この年間で約40%も減っています。人口減少による自治体の存続も危ぶまれる昨今、お子さんの医療費負担すら他県に大きく後れを取っていて良いものなのでしょうか?

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