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成育科ブログ

2014.09.04

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東奥日報夕刊の連載も3回目になりました。今回は「NICUってどんなところ?」と言うタイトルでNICUの紹介的な内容にしてみました。

「コウノドリ」と言う漫画がモーニングで連載していて、名前だけは以前から知っていたのですが、先日、出張の際にKindleでまとめ買いして新幹線で1巻から4巻まで一気読みしてしまいました。でもこの漫画は新幹線で読んではいけません。きっと隣の人にはiPad見ながら泣いている変なおやじとしか映らなかったことでしょう。そのストーリーが感動的なのはその通りですが、それにも増して産科・周産期医療の現場に対しての描写と記述が極めて精緻かつ臨場感に溢れています。私たちのように周産期医療に関わっている人間ならある意味「日常的」な光景ですが、恐らくは基礎知識のない方達にとってはまさに「非日常」、衝撃なのではないかと思います。

今回3回目となるこの連載では「いつ誰が当事者になるか分からない」ことをその根底のテーマとして考えていますが、その点でもこの「コウノドリ」はそれをもっともっとリアルな形で示してくれているのだと感じていました。

「コウノドリ」では6月からNICU編がスタートしましたが、その冒頭で主人公の鴻鳥先生が「NICUは赤ちゃんを育てる場所なんです」と語るこの言葉こそ、今回の「NICUってどんなところ?」と言うお題にぴったりと考え講談社にお願いしてその部分の掲載許可をいただきました。
NICU編4

「コウノドリ」のNICU編は先週が最終回でしたが、その最後に鴻鳥先生が「赤ちゃんと一緒に両親も成長させる場所なのかもしれませんね」と語ります。それが今回の原稿の締めくくりと一致してしまったことにさらに驚いてしまいました。「パクリ疑惑」を持たれそうですが、本当にこれは偶然のことです。
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以上、ちょっと余談ばかりになってしまいました。

「コウノドリ」ほどの影響力はありませんが、周産期医療をもっと広く知っていただくため、またこれからも地道に続けて行きたいと思っています。「コウノドリ」の今後も楽しみにしています。

以下、連載3回目です。

「コウノドリ」という漫画をご存じでしょうか? 「産婦人科医でジャズピアニスト」という異色の主人公が登場する医療漫画で、週刊「モーニング」(講談社)で2012年から連載されています。
 周産期医療の中で私たちが日々直面する患者さんとそのご家族の葛藤が丹念に描かれ、6月からはNICU編が始まりました。その初回で、主人公が小さな赤ちゃんを産んだお母さんに「NICUは赤ちゃんの病気を治す場所ではありません。赤ちゃんを育てる場所なんです」と語ります。
 NICUには厳密な施設基準があります。清潔な環境(クリーンルーム)であること、一定以上の面積を要することと、赤ちゃんのベッド代わりである保育器をはじめとした集中治療に要する様々な医療機器の設置が必要です。
 赤ちゃんを見守るスタッフも重要で、看護師さんは赤ちゃん3人に対して常時1人以上配置されていなければなりません。夜間も同じ体制なので、たくさんの看護師さんが必要です。医師もNICUだけの専任医師による24時間体制が必要です。新生児専門の医師はとても少なく、県病でさえ専任医師5人のみで24時間体制を組んでいます。
 こうして書いていくと、まるで無機質な器械だらけの空間を想像されるかもしれません。確かに見た目は器械だらけの病室ですが、NICUはただ治療だけを行う場所ではありません。
 例えば1000㌘未満で生まれた赤ちゃんは、数カ月から長ければ半年近く入院することもあります。この長い入院期間に赤ちゃんたちは文字通り「育って」いくのです。
 NICUに赤ちゃんが入院することになったご家族は、それまでそんなことは夢にも思っていなかった方たちばかりです。いつもの朝を迎え、いつも通りにかかりつけの産科に妊婦検診に行ったら、突然「緊急に入院が必要です」と言われ、そのまま県病まで救急車で搬送され、その当日に赤ちゃんが早産で生まれてくる、そんな経過の方も珍しくありません。それまでの妊娠経過で何の問題もなく出産予定日を迎えても、出産時に突然仮死状態になることもあります。無事に生まれたと思ったら先天性の疾患が見つかる場合だってあります。妊婦検診で疑われる場合もありますが、そうでない場合の方が圧倒的に多いのが現実です。
 赤ちゃんのご両親にしてみれば心の準備も何もないのが当たり前で、その現実を受け入れるまでに時間がかかることも少なくありません。その経過は百人百様、同じ人などいません。しかし、その長い入院期間の中で赤ちゃんが、次々と襲いかかるハードルを一つ一つ乗り越え、時にはつまずき、それでも少しずつ「育って」いく中で、その現実を家族として乗り越え、赤ちゃんとの絆を育んでいく、その場所こそがNICUなのです。冒頭に「赤ちゃんを育てる場所」と書きましたが、その意味では「家族を育てる場所」と言えるのかもしれません。
 赤ちゃんが生まれると、普通は母子が一緒にいるのは当たり前のことですが、その当たり前がかなわなかったご家族に対し、不安や葛藤を受け止めるお手伝いをする責任が、全ての周産期医療従事者にはあります。しかし、私たちが支える以前に、厳しい条件の中でも育っていく赤ちゃんたちの生命のたくましさこそが、「家族を育てて」いくのだと感じています。

 

(この画像は当該ページに限って東奥日報社が利用を許諾したものです)

(この画像は当該ページに限って東奥日報社が利用を許諾したものです)

2014.08.21

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東奥日報夕刊の連載2回目です。今回は産まれてきた赤ちゃんがどのくらいの確率でNICUに入院するのか?と言うあたりを中心に述べてみました。一般的にNICUに入院する赤ちゃんは33人に1人と言われていますが、軽症児を含めると実は1割以上の赤ちゃん達が入院しています。青森県周産期医療協議会で毎年出しているハイリスク新生児の統計でも、入院している赤ちゃんの割合は年々増加傾向です。今回の原稿に際して、ちょうど先月あった ビールの会 で全員に配布された“木陰の物語”の冊子に書かれていた一節が目にとまりました。

その人が
何かをしたからではない。

かといって、
何も努力をしなかったから
というのでもない。

理由などなく、
ただそういう現実だから、
そこから
スタートするしかない
巡り合わせの人がある。

本文中でも述べましたが、この一節はまさにNICUに入院している赤ちゃん達とそのご家族の状況そのものです。

入院の可能性は誰にでもある

前回の第1回目でも述べた「周産期医療は人ごとではないのだ」と言うことを、これからの連載でも言い続けていきたいと考えています。多くの方に「人ごとではない」と知ってもらうことから、周産期医療のその先にある結果的に何らかの後遺症を持つことになったお子さん達に対しても、その想いを拡げてもらえることを願いながら連載を続けて行ければと思っています。

以下は、今回引用させていただいた“木陰の物語”届ける!プロジェクトのFacebookページのリンクです。是非、こちらもご覧いただければと思います。

(画像をクリックすると“木陰の物語”届ける!プロジェクトのFacebookページにリンクします)

(画像をクリックすると“木陰の物語”届ける!プロジェクトのFacebookページにリンクします)

以下、2回目の原稿です。

先日、ある会合でファミリーセラピストの団士郎さんが被災地支援の一環として始められた「〝木陰の物語〟届ける!プロジェクト」の活動として、「木陰の物語 ─Side by Side─」と言う小冊子が配られました。この中で、あるお子さんが児童相談所で経験したことの回想を元に団士郎さんが書いた「貝殻」と言う物語の冒頭部分が目にとまりました。

その人が
何かをしたからではない。

かといって、
何も努力をしなかったから
というのでもない。

理由などなく、
ただそういう現実だから、
そこから
スタートするしかない
巡り合わせの人がある。

この一節は「いつ誰が当事者になるか分からない」と言う一点において、まさしく私たちが診療している赤ちゃんたちとそのご家族の状況と重なります。
「NICU」という言葉をご存じでしょうか?一頃、大都市圏で急変した妊婦さんの受け入れ先がなかなか見つからず、その原因がNICU不足にあるとメディアで取り上げられた時期がありましたので耳にしたことがあるかも知れません。NICUとは「新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit)」の略称で、産まれたばかりの赤ちゃんたちに何らかの問題があった場合に入院し治療するところです。
NICUに入院する原因は大きく分けて3通りあります。1番目が予定日よりも早く産まれる早産児または低出生体重児、一般的には未熟児とも呼ばれます。2番目は分娩(ぶんべん)時に仮死状態や呼吸障害などの症状が見られた赤ちゃん、3番目は生まれつきに何らかの病気を持って生まれてくる赤ちゃんです。
ではどのくらいの割合で赤ちゃんはNICUに入院するのでしょうか?厚生労働省科学研究によると、NICUには33人に1人が入院するとのデータがありますが、これはあくまで集中治療を要する赤ちゃんの割合なので、比較的軽症な赤ちゃんも含めればもっと多くの赤ちゃんが入院します。青森県では毎年ハイリスク新生児調査を行っており、その集計では平成23年には年間9531人の出生に対して、何らかの医療を要する赤ちゃんが1173人と、約12.3%もの赤ちゃんが入院したとされています。
一般的に全出生のうち2500g未満の赤ちゃんの出生率は約9.5%で、さらに双子以上の多胎では約75%が2500g未満で出生し、約1割は1500g未満で出生します。また、出生体重に関係なく生まれつき心臓に疾患のある先天性心疾患の赤ちゃんは100人に1人出生すると言われています。
近年、NICUに入院しなければならない赤ちゃんが増えてきています。一方、日本では少子化の進行が将来の国の基盤を揺るがしかねないとして大問題となってきています。少子化がこれだけ進行しているのにNICUが足りないとは不思議な気がしませんか?その理由はこれからの連載の中で詳しくお話ししていきたいと思います。

(この画像は当該ページに限って東奥日報社が利用を許諾したものです)

(この画像は当該ページに限って東奥日報社が利用を許諾したものです)

2014.08.07

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今週の月曜日、8月4日から東奥日報の夕刊で「知ってほしい 赤ちゃんのこと」と題して連載を始めることになりました。
初回となる今回の記事にも書きましたが、周産期医療とは言っても、自分に関係すると思っている人はほとんどいないのではないかと思います。周産期医療のことをより多くの方達に知ってほしいという願いを込めて、これからいつまで続けることができるか分かりませんが頑張って書いて行ければと思っています。このブログでも今後、連載記事を掲載していきたいと思いますので、是非ご覧下さい。

(この画像は当該ページに限って東奥日報社が利用を許諾したものです)

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