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成育科ブログ

2016.07.29

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しばらく前になりますが、6月に千葉県柏市の麗澤大学で開催された 日本人口学会第68回大会の企画セッション でご一緒させていただいた 「『子育て』という政治~少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか? (角川SSC新書) 」 の著者である猪熊弘子さんの発表スライドをいただいたのでダイジェスト版としてご紹介させていただきます。
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今回のセッションでは「子育て支援・保育環境における地域格差と出生率」と題してご発表されました。以下、猪熊さんのスライドをご紹介しながらダイジェストして行きたいと思います。
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まずお話しは以前話題になった 「保育園落ちた日本死ね!」 からお話しが始まります。
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自治体毎に待機児童数が公表されており、多い自治体・少ない自治体が当然ありますが、実はこの「待機児童の定義」そのものが自治体毎で異なっているのだそうです。横浜市で2013年4月の時点で待機児童数がゼロになったと発表され、これはかなり話題になりました。しかし、それにはマジックがあり、様々な除外規定が存在することから、本当に「ゼロ」になっているわけではないのだそうです。この辺の詳細は「『子育て』という政治~少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか? (角川SSC新書) 」 に詳しく書かれています。ただ、実質上は「ゼロ」ではないにしろ、横浜市は待機児童解消のために市長さんが中心となって精力的に取り組まれていることもまた猪熊さんの著書では紹介されていました。
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一方で、地方では子どもが少なく、待機児童ゼロが当たり前の地域もあるのだそうで、確かに青森県内でも同じような状況の地域があることは耳にします。
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保育所の不足は「保活」と言う形でお母さん達の新たな負担となっていきます。「就活」「婚活」と「○括」と名の付くものは、とかく「勝ち組・負け組」を生み出しがちです。赤ちゃんが生まれて育休も終えて、そろそろ復職と言う「普通」が実現できれば、それは今の時代「勝ち組」なようです。赤ちゃんを生み育てるのに「勝ち組」も「負け組」もないはずですが、今はそういう時代のようです。
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そう言えば、 共働きファミリーの仕事と子育て両立バイブル と言う本を読んだことがありますが、これなどはまさに「勝ち組」になるためのマニュアル本のように感じました。なんで子育てするだけなのにこんなことまでしなければ行けないんだろう?と言うのが率直な感想でした。きっと社会の中で何かが根本的に間違っているのでしょうね。
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そして一方で後半は保育の「質」に話題が移ります。これは待機児童解消への取り組みとも密接に関連しています。待機児童が多いからと言っても、保育は人が行うものですから、当然、人的なスキルを要します。また、さまざまな規制緩和もやって良いものと悪いものがあるのでしょう。保育所の急速な整備が結果として保育の「質」を危うくしている点に対して警鐘を鳴らされています。
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さらに保育の「質」は面積の話にも及びます。0歳児ひとりあたりの面積は、認可施設では3.3㎡以上と国が定めています。しかし、待機児童の多い地域ではこれを緩和してもよいとの通達が厚生労働省から出されていて、首都圏では2.5㎡以下でも認められているそうです。ちなみにスウェーデンの基準は7㎡だそうで、7㎡と言えばNICU1床分の面積基準と一緒です!
そう言えば、先日の 「一人飲み」アンケート2015~日本周産期・新生児学会in富山 その5 でもご紹介しましたが、医療法施行規則によると、入院患者さんの病室面積は個室だと6.3㎡、2人以上の部屋だと4.3㎡が必要とされていますが、小児のみの病室の面積はその2/3で良いことになっています。大部屋で4.3㎡の2/3と言うと2.9㎡ですので、畳で言えば1.6畳程度と言うことになります。日本では赤ちゃんとか子どもに対する人員やスペースの確保を徹底的なまでに削ることが当然となっているように思えてしまいます。
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「子どもの権利が守られる保育」を!

これが今回の猪熊さんのご発表の主旨だったように感じました。さきほど「何かが根本的に間違っている」と書きましたが、その「何か」とは、子どもに関わる制度を設計する時、「子どもの権利」が全く考慮の外にあると言う点ではないかと感じました。これは新生児医療・小児医医療そして障害児をめぐる諸制度にも共通する点です。さもなければ、GCUでの「一人飲み」など起こるわけがありません。これだって「何か」が間違っているのは明白です。
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人口学会の当日には猪熊さんの「『子育て』という政治~少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか? (角川SSC新書) 」 を持参し、サインもいただきました。なんとか猪熊さんの訴えが社会に届くことを願ってやみません。猪熊さん、貴重なご発表をありがとうございました。
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関連リンク:
保育園落ちた日本死ね!!!(2016年2月15日) 
「保育園見つからず退職。悔しい」調査で浮かぶ過酷な保活(The Huffington Post 2016年7月28日)

(文責 成育科 網塚 貴介)

2016.06.16

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先週末に千葉県柏市の麗澤大学で開催された 日本人口学会第68回大会 に参加してきたことをご紹介しましたが、午後からの「人口政策の成り立ちを考える ~ Linking Past to Present ~」と題した公開シンポジウムで、一番興味深かった藤田 菜々子先生(名古屋市立大学)」による「戦間期スウェーデンにおける人口減少の危機とミュルダール」のご発表をちょっとだけご紹介します。
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ミュルダールは1930年代のスウェーデンにおける人口減少問題で活躍された経済学者で、実は一人の学者ではなく、夫:グンナー・ミュルダールと妻:アルヴァ・ミュルダールのご夫婦で研究をされていました。以前からスウェーデンの歴史・経済には興味があって、今回ご発表された藤田先生が執筆された「 ミュルダールの経済学―福祉国家から福祉世界へ 」はしばらく前にかじり読みしたことがありました。
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1930年代のスウェーデンは大恐慌の影響で失業率が高く、出生率の低下や移民として他国へ移住する人の増加による人口減少に悩まされていました。こうした時代背景の中でミュルダール夫妻が様々な論を展開していきます。

保守派は国力の維持向上のため人口増加を求める一方で伝統的な家族的・男女役割分担を求めます。一方、人口減少によって生活水準が上がると人口減少を歓迎する人たち(新マルサス主義)もいたそうです。ミュルダールは出生率低下の原因は個人ではなく社会構造にあると考え、出生率の低下は、主として女性の労働市場進出によって生活水準を上げられる状況にあるのに、出産・育児によりそれが不可能になる構造があるから生じていると考えます。この辺の背景や議論はまさに今の日本と酷似していると感じる点です。
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出生率の低下に対し、新マルサス主義では人口減少を歓迎していましたが、ミュルダールは人口減少は中長期的には総需要の減退に結びつき、失業・貧困をもたらすと考えました。これは後にケインズが発表する「人口減退の若干の経済的帰結」の中でも同様のことが述べられており、経済政策としてはケインズにも先んじていたのだそうです。
本著の方によれば「人口政策は、個人の自由と言う民主主義の規範を損ねることなく、私的態度にどう影響を与えるかとという視点から論じなければならない。<中略>「個人の生活スタイルを強制的に過去に戻すことはできないのであり、「家族は国家への服従ということではなく、自らの幸福のために子どもを持つべき」と記されています。
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そして、政策提言としては、消費の社会化、中でも出産・育児に関わる消費の社会化を主張し、すべての子ども・家族へ無料の公共サービスを提供することを求めました。ミュルダールは基本的に現物給付へのこだわりが強かったそうです。そして、これらの中心となっている考えは、「育児は国家全体の責任であり、両親のみの責任ではない(本著より引用)」と言うものでした。
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かなり大雑把なダイジェストではありますが、あらゆる議論が今の日本の議論とそっくりそのままであることに驚きを禁じ得ません。しかも、他国の話ではあっても、歴史的に今の日本と同じような議論がなされていた国があり、それを克服した歴史もまたあるにも関わらず、全く同じ議論をやり直ししているのがあまりにも愚かしくも感じました。

今回のご発表をお聞きしていて、しばらく前に話題となったベストセラー 水野和夫氏「資本主義の終焉と歴史の危機」 のことを思い出しました。

当時のスウェーデンと今の日本との違いは経済のグローバル化なのではないかと思います。水野氏によると資本主義に「死期」が迫っており、それを示すのが利子率の低下なのだそうです。資本主義とは利潤を得て資本を増殖させることを基本的性質としていることから、利潤率が極端に低いと言うことは、すでに資本主義が資本主義として機能していないことを示すのだそうです。 資本主義とは「周辺」たるフロンティアの拡大により「中心」が利潤を上げて資本が自己増殖するシステムと定義されています。「もっと先へ」と「空間」の拡大を続けてきましたが、発展途上国の実物経済による「地理的・物的空間」ではもはや高い利潤率を上げることができなくなり、ここで「電子・金融空間」と言う新たな「空間」を作りだし延命を図ったと言います。この過程の中で新たな「周辺」として、今度は国内にも、例えば米国で言えばサブプライム層や日本で言えば非正規社員を出現させたと言うことのようです。しかし、このような「フロンティア=狩り場」も限界を迎えてきていると言うのが水野氏の論と理解しています。

水野氏の本を読んだ感想で「 資本主義の終焉と歴史の危機」を読んで 狩猟型から農耕型へ 」を書きましたが、「フロンティア=狩り場」が限界に達した今、結局はミュルダールのような考え方にまた戻らざるを得ないのではないかと言うのが経済も人口も素人の独り言です。

現代日本でもっともっと注目されるべき経済学者だと感じました。演者であり著者である藤田 菜々子先生のますますのご活躍を祈っております。

(文責 成育科 網塚 貴介)

2016.06.13

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先週末は千葉県柏市の麗澤大学で開催された 日本人口学会第68回大会 に初めて参加してきました。
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今回の発表は「性と健康を考える女性専門家の会」の早乙女智子先生からのお声がけで実現しました。発表前夜のお食事処でのツーショットです。
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ここのお店に飾ってあった「本当は何がしたい?」と書かれた色紙が妙に印象的でした。
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会場の麗澤大学に到着です。
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企画セッション前に発表者と企画者・助言者の先生方の集合写真です。
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今回の演者にはなんと「 「子育て」という政治 少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか? 」の著者である猪熊弘子先生もいらっしゃいました!この本は一昨年に出版されてすぐに読んだ本なので感激でした!この日のために本も持参し、猪熊先生にはサインしていただきました。
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また同じ発表者である吉田穂波先生はなんと!「 「時間がない」から、なんでもできる! 」の著者であることを当日知りました。この本も以前、読んだことがあり驚きでした。
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今回は初日の朝一番の企画セッション「地域特性や個別環境による出生率格差を考える」で、昨年の 第60回日本新生児成育医学会 少子化シンポジウム でも発表した「少子化の進行にともない低出生体重児出生数はどう変化するか?~人口動態統計による将来簡易推計の試み~」と題して発表させていただきました。
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吉田穂波先生:被災地女性の健康と出産環境
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猪熊弘子先生:子育て支援、保育環境における地域格差と出生率
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早乙女智子先生:生殖補助医療が出生率に果たした役割とその地域格差
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午後からは「人口政策の成り立ちを考える ~ Linking Past to Present ~」と題した公開シンポジウムでした。
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シンポジウムは
1) 近世日本の妊娠・出産管理-「いのち」をめぐるせめぎあい 沢山 美果子先生(岡山大学)
2) フランス家族政策の起源-19 世紀から第 2 次世界大戦まで- 大塩 まゆみ先生(龍谷大学)
3) 戦間期スウェーデンにおける人口減少の危機とミュルダール 藤田 菜々子先生(名古屋市立大学)
4) 戦間期日本における優生‐優境主義の形成と展開 杉田 菜穂先生(大阪市立大学)
といずれも興味深いものばかりでした。
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中でも特に藤田菜々子先生は「 ミュルダールの経済学―福祉国家から福祉世界へ 」の著者であり、この本に書かれている内容こそ、今の日本の少子化対策の根管となるべき内容と以前から思っておりましたので、今回はそのご本人のご講演を聴講することができて一人で勝手に興奮していました。
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この本も持って行って藤田先生にサインしてもらえたらと思っていましたが、大著なので重さに負けてしまいました。
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医学系ではなく人文系の学会への参加はこれが初めてでしたが、初めてとはとても思えないほど、どの演題も非常に興味深く、これからの日本の人口問題に欠かせない論点が満載の学会でした。また早乙女先生のおかげで多くの新たなご縁をいただくこともでき、とても充実した、また刺激的な2日間でした。早乙女智子先生ならびに参加された諸先生、ありがとうございました。

(文責 成育科 網塚 貴介)

2015.10.29

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先週末に盛岡で開催された第60回日本新生児成育医学会の2日目には「少子化の進行が及ぼす新生児医療体制への影響は?~何が起こる?何をしなければならないか?」と題したシンポジウムが開催されました。このシンポジウムは 今年7月の日本周産期新生児学会で予告編 とも言えるポスター発表をしましたが、今回の学会ではThe Team TOHOKUとして企画・立案に関わっていたこともあり、このシンポジウムを提案させていただきました。

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まずトップバッターとして「少子化の進行にともない低出生体重児出生数はどう変化するか?~人口動態統計による将来簡易推計の試み~」と題して、この問題の概略に関してお話しさせていただきました。
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人口動態予測と言うのは実は非常に正確に予測することが可能と言われています。なぜなら既に生まれてしまっている人達がいるからで、これからどうなるかは実はこれまでの我が国の出生数の推移のこのグラフから全部分かってしまうと言っても過言ではありません。
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まず、「少子化なのになぜNICUが足りないのか?」と言うのが素朴な疑問として湧き上がってくると思います。
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過去の低出生体重児の出生数を母親の年齢別にみてみると、低出生体重児が最も多く、しかもNICU不足が社会問題となっていた2008年の頃、実は35歳以上のお母さんから生まれる低出生体重児は既に減少局面にありました。2003年から2008年にかけて低出生体重児出生総数が増えたのは35歳以上のお母さん達から生まれた低出生体重児の増加に寄ることが分かります。
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これは以前もこのブログ( 極低出生体重児の母親年齢を多い順に並べると?≫回答 )でご紹介しましたが、母親の年齢別出生数の年次推移のグラフです。母親の年齢別出生数は2000年から2005年にかけて、20代後半が30代前半に、20代前半が30代後半に、さらに20歳未満が40歳以上にそれぞれほぼ同時期に追い抜かされされています。
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これをもっと詳しく見ると、ほぼ2003年から2004年にかけて追い抜かされているのことが分かります。
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それでは2500g未満の低出生体重児ではどうなっているかと言えば、この「追い越し」のタイミングが若干早まっており2002年前後で追い越していることが分かります。さらに、直近の2013年には20代後半と30代後半の出生数が急接近しています。
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それでは極低出生体重児ではどうなっているかと言うと、低出生体重児での傾向を「前倒し」させたたような傾向となっており、さきほどの「追い越し」タイミングが1990年代後半までさかのぼります。さらに2008年頃には30代後半が20代後半を追い抜き、最近では40台が20台前半をも追い抜いてしまっていることから、現在の順位は、1位:30台前半、2位:30台後半、3位:20台後半、4位:40台、5位:20台前半、6位:20歳未満と言うことになります。
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以上をまとめると、以下のことが分かります。
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それではこれからどうなっていくのか?と言うことなのですが、これもこれまでのことを考えてみれば意外に予想は簡単です。
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全出生数の95%以上は20歳から40歳までのお母さん達から生まれています。この20歳から40歳の女性人口がこの青枠に相当しますが、この女性人口から現在の出生数があります。
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じゃあ、20年後にどうなるかと言うと、この青枠が右に20年分移動することになります。青枠を左右で比べてみると「右肩下がりの三角形」が消失していることが分かります。先ほど、低出生体重児出生数の増加は30代以上のお母さん達から生まれる分の数が増加しているからと書きましたが、その年代のお母さん達の絶対数が20年後には既に進んできた少子化の影響で減少してしまうのです。
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2013年現在の各女性年齢別人口あたりに低出生体重児が生まれる率を表にしたものです。
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一方、向こう20年間のお母さんになる世代の女性は既に生まれていますので、2013年から5年ずつ経っていくと、各年齢の枠が5年ごとに右下に移動することになります。
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そこで、上の二つの表をかけ算すると低出生体重児出生数は20年後まではある程度予測可能と言うことができるのです。
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実際に計算してみると、恐らく10年後には平成初期の水準にまで低出生体重児出生数は減少するとの試算になります。
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ここにさらに大きな問題があります。
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過去20年間の都道府県別出生数の減少率を高い順に並べてみると、宮城を除く東北5県が並び、一方、最も合計特殊出生率の低い東京都のみが増加していることが分かります。
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つまり、低出生体重児出生数の減少率は地方ほどその数がどんどん減っていき、一方、東京都を中心とした首都圏あるいは大都市圏はしばらくその減少に気がつかないどころか、しばらくはNICU不足が続くものと予想されます。
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少子化の進行が新生児医療になんの影響も与えないわけがありません。今後は特に地方ほど低出生体重児出生数の減少が顕著となり、このことは地方における症例不足による人材育成に大きな陰を落とすことになるでしょう。これまでは「NICUが足りない」と言って、いわば拡大路線できたわけですが、今後は規模の縮小を言う局面を迎えます。しかし、経験症例数の減少は診療成績の悪化をきたす可能性を高めます。これまで世界最高水準を誇ってきた我が国の新生児医療ですが、世界トップレベルの新生児死亡率を維持させるためにはかなり知恵を絞らなければならないと考えています。古来より領土拡大のための戦よりも「撤退戦」の方が難しいと言われますが、これからの世代の方達にはこうした厳しい時代を行く抜く知恵をもって欲しいと願って、この発表をさせていただきました。
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続いて、東京都の代表として東大の高橋先生にご発表いただきました。やはり東京都はいまだNICU不足・人材不足が顕著とのことでした。
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その一方で、過疎地域の代表として島根県立中央病院の加藤先生のご発表では、「すでに始まっている未来」とも言うべき現状をご報告いただきました。
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最後に岩手医科大学の松本先生からはこれからどうして行ったら良いのか?に関する提言をしていただきました。
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「首都圏はベッドが足りない、新生児科医も足りない」、「地方は症例数が不足し人材育成が困難」と言う構図なので、地方から首都圏に研修に行けるようなシステムが必要なのですが、ところが地方にはそもそも医師不足と言う「基礎疾患」のような状態があります。このジレンマをどこかで乗り越えて行かないとこれから起こる問題の解決にはつながらないのではないかと考えています。

これから起こるかもしれないことで最も避けなければならないのは、特に地方において経験不足による診療水準の悪化です。このシンポジウムがこれからの我が国の新生児医療を見直すきっかけとなることを願っています。座長の和田先生がこのシンポジウムが終わった後、「このシンポジウムはこれらも続ける必要がありますね」と言ってくれたので、とても心強く感じました。

2015.09.16

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先日、「 極低出生体重児の母親年齢を多い順に並べると? 」と言う問題を出しましたが、その答えです。

先日の図中の赤枠の中である1991年以降だけを拡大したのが下の図です。母親の年齢別出生数は2000年から2005年にかけて、20代後半が30代前半に、20代前半が30代後半に、さらに20歳未満が40歳以上にそれぞれほぼ同時期に追い抜かされされていると書きましたが、もっと詳しく見ると、ほぼ2003年から2004年にかけて追い抜かされているのことが分かります。
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それでは2500g未満の低出生体重児ではどうなっているかと言えば、この「追い越し」のタイミングが若干早まっており2002年前後で追い越していることが分かります。さらに、直近の2013年には20代後半と30代後半の出生数が急接近しています。
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上の図を5年ごとに棒グラフ上にしたものが下の図になります。この図は今年5月の 東北大学新生児科指導医教育セミナー での講演で、今後低出生体重児の出生数が減少するであろうことを示すために使ったものです。
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それでは極低出生体重児ではどうなっているかと言うと、低出生体重児での傾向を「前倒し」させたたような傾向となっており、さきほどの「追い越し」タイミングが1990年代後半までさかのぼります。さらに2008年頃には30代後半が20代後半を追い抜き、最近では40台が20台前半をも追い抜いてしまっていることから、現在の順位は、1位:30台前半、2位:30台後半、3位:20台後半、4位:40台、5位:20台前半、6位:20歳未満と言うことになります。
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皆さんの予想は当たっていたでしょうか?結構意外な結果だったのではないかと言う気もします。ひょっとすると、小児科専門医試験や新生児専門医試験に出題されても良いぐらいの問題なような気もしています。

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