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成育科ブログ

2014.10.23

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東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週が5回目です。今回は低出生体重児の出生数がどのくらい増加しているのかを解説してみました。ちょっと数字ばかりになってしまったので読みにくかったかも知れません。少子化なのに低出生体重児の出生数が増加している理由は次回以降に述べてみたいと思います。

5回目 (Custom)

以下、5回目の原稿です。

前回ご紹介した巨人・村田選手のお子さんが生まれたのが2006年。実は出生体重1000g未満の超低出生体重児の全国の年間出生数はこの年がピークで、3460人もの小さな赤ちゃんが生まれました。15年前の1991年は2361人でしたので、15年間で46.5%も増加したことになります。
ちなみに出生体重1.5kg未満の極低出生体重児は6659人から8373人へ25.7%増、2500g未満の低出生体重児は79688人から104559人へ31.2%増でした。
一方、この15年間の総出生数は1223245人から1092674人と-10.7%も減りました。総出生数が減っているのに低出生体重児は実数として増加しているわけですから低出生体重児で出生する率は実数以上に上昇しており、低出生体重児の出生率は15年ほどで1.5倍にも上昇したことになります。
さらにこの傾向は特に東京で顕著でした。地方では低出生体重児の出生数の増加は総出生数の減少で多少相殺されていました。しかし東京だけは以前から合計特殊出生率が他地域に比して極端に低く(2006年の東京都の合計特殊出生率は1.02、全国は1.32)、言ってみれば少子化が「完成」しており、総出生数はむしろ人口増に伴い微増していました。
このため低出生体重児の出生率上昇がそのまま実数として反映されてしまった形となり、全国でも真っ先にNICUの病床不足が深刻化したものと考えられます。「たらい回し」と言われる事件が東京で発生したことは、こうしたデータで振り返ってみると必然であったと言えるかも知れません。
わが国の出生数は「団塊の世代」を最初のピークとし、その後1970年代前半に第二次ベビーブーム(団塊ジュニア世代)を迎えます。団塊ジュニア世代の出生数は年間200万人以上で現在の約2倍の出生数があったことになります。しかし近年の低出生体重児の出生数は団塊ジュニア世代を超えるほどで、特に1000g未満の赤ちゃんは当時の2倍以上の出生数となっており、その推移はあたかも「第3次ベビーブーム」の様相を呈しています。
小さな赤ちゃんを受け入れる新生児の医療体制は平成6年の厚生労働科学研究の結果から、人口100万人あたり1万人の出生があり、それに対してNICU病床数は20床あれば足りるとの結果を根拠に整備されてきました。しかしこの2006年当時、この医療体制ではNICUの病床数としては完全に足りなくなってしまっていました。こうした「たらい回し」事件を発端に新生児医療体制が見直されることとなり、NICUの必要病床数は出生1万人あたり30床必要と算出され、近年、全国的にNICUの病床数整備が進んでいるところです。

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

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2014.06.05

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昨日、平成25年の人口動態統計が発表されました。今回は乳児死亡率が良い方から3位、新生児死亡率が4位、周産期死亡率が3位と、各指標とも大幅に改善しました。かつては悪い方からそんな順位ばかりだったことを思うと、常々こうした指標は単年では評価できないと言い続けてはきましたが、地域医療としての実力が向上していることは間違いないと思います。以下に今回の各死亡率と都道府県順位を示します。
各死亡率順位 (Custom) (2)
(注:昨夜アップした時点で神奈川県の各死亡率に間違いがありましたので修正しています。大変申し訳ございませんでした。)

地元の東奥日報でも今朝の朝刊で大きく取り上げていただきました。
東奥日報記事1 (Custom)
今回の記事では特に当科での神奈川県立こども医療センターへの国内留学による人材育成の成果を大きく取り上げて下さいました。当科での人材育成に関しては「高知県周産期医療人材育成プログラム講演会」で紹介させていただいたいますので是非ご覧下さい。
東奥日報記事2 (Custom)
Web版の記事はこちらでもご覧いただけます。
10数年前は全国ワースト…青森県の乳児死亡率が大幅改善、13年はベスト3に

こうした施設としての人材育成や診療の質の向上が県全体の人口動態統計指標に直接的に影響を及ぼすことができることは青森県のような地方の医療ならではの醍醐味なのではないかとも感じています。周産期医療に限らず、地方で医療を行うことの魅力を医学生や研修医にも伝えていくことができればと思っています。

ちなみに今回のデータから平成25年までの5年平均値を各指標に関してまとめてみました。周産期死亡率はついに5年平均値でも上から16番目にまで達することができました。しかし乳児死亡率・新生児死亡率は下位に位置しています。まだまだ課題はありますので、また地道にやっていきたいと考えています。(クリックすると拡大表示されます)
平成25年版周産期死亡率5年平均値 (Medium)

平成25年版乳児死亡率5年平均値 (Medium) (2)

平成25年版新生児死亡率5年平均値 (Medium) (2)

2014.02.18

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毎年6月上旬に前年の人口動態統計が公表されますが、そう言えばこれまで毎年更新してきていた各都道府県別乳児死亡率等5年平均値の順位表の更新を忘れていました。この表は上の方が死亡率が低く、下の方が死亡率が高い都道府県となっています。青森県は一頃に比べると若干改善傾向ではありますが上位には遠く及びません。まだまだ改善の余地は多そうです。各地域でもご活用いただければと思います。ますは今更ではありますがアップさせていただきます。
(各死亡率の表はクリックすると拡大表示されます)

2013.09.07

2013.07.21

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新刊で「 ルポ 産ませない社会 (小林美希著、河出書房新社)」と言う本を読みました。

以下、著者のホームページからの抜粋と本文からの引用です。

「産めない」のではない。 社会が「産ませない」のだ。

子育てを未だに「女性」だけに押し続ける現実を問う、痛切なルポ。

国は子育てに関する財政出動を嫌う。
保育所の増設は費用が嵩むため、育児休業の拡充に逃げる。
保育所を増設しても、規制緩和といって市場開放する。
民間企業は、利益を優先し、保育の質の劣化を招く。
そして、良い保育が消失されつつある。

まるで、「子どもが心配なら家で(母親が)みろ」と言わんばかりの環境が整ってはいないか。――

   

以下は本文からの引用です。

◆今、私たちは、人の営みとしてごく自然なことである、次世代を育んでいくということを、あまりにも社会から遠ざけられている。

◆国は子育てに関する財政出動を 嫌う。保育所の増設は費用が嵩むため、育児休業の拡充に逃げる。保育所を増設しても、規制緩和といって民間開放する。民間企業は、利益を出すために人件費の高いベテランを雇わず~

◆晩産化となる理由には労働や社会の環境問題がある。これを無視して医学的な適齢期に子どもだけ産めるはずがない。

◆母親となった女性は労働市場からの退場を余儀なくされ、ますます孤立していく。これはもはや、子どもが欲しいと思っても、「産めない」のではなく、社会が「産ませない」と言わなければならない状況だ。

◆学卒時に75.4%の女性が正社員だったにもかかわらず、結婚時の正社員比率は66.3%へ低下。出産1年前では41.4%となり、出産1年後には21.3%に落ち込むことから、就職してから珊瑚1年までの間に、5割もの正社員が辞めていることが分かった。

◆第一子の妊娠が分かったときの就業状態と第一子出産後の就業継続率を見ると、東京都区部・政令市では63.5%から28.8%、大都市周辺では66.4%から24.9%に落ち込む一方で、非人口集中地区では73%から37.8%と、就業継続率だけ見ると都市部より高い。

◆妊娠を望む時期に非正社員であると、就業継続は更に困難になる。

◆第一子妊娠前に非正社員だった場合に、育児休業を利用して就業継続した割合は、結婚や出産の年が2005~09年のケースで、たった4%に過ぎない。妊娠を望む時期に非正社員であると、就業継続は更に困難になる。

 妊娠・出産・子育てのリスクを個々の女性に全て負わせる現状を放置して少子化など改善する訳がありません。現在はこどもを持たないことが女性にとって唯一のリスクマネジメントとなってしまっていると言っても良いのかも知れません。少子化の改善は女性の幸せの結果として得られるものであり、決してそれ自体を目的として都合良く得られるものではないのだと思います。

同じ著者の著作で「 ルポ 職場流産 雇用崩壊後の妊娠・出産・育児 」と言う本もあります。こちらも追って読みたいと思います。

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