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成育科ブログ

2015.06.01

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5月31日(日)に 青森県重症心身障害児(者)を守る会 の研修会が青森市内のアピオあおもりで開催され、そのシンポジウムで「障がいを持つお子さんへの支援の現状と課題~特に周産期医療の観点から~」と題して講演させていただきました。
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今回のシンポジウムは元はと言えば、今年3月5日(木)の東奥日報に 「医療措置必要な我が子どう育てていけば・・・」「受け入れ施設なく 母苦悩」 の記事が掲載されたことがきっかけとなり、 社会福祉法人 全国重症心身障害児(者)を守る会青森支部 の方々からお声がけいただいて実現した企画です。この記事にも登場した kamekai 代表の石田さんも一緒にシンポジストとしてお話しして下さいました。

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今回のシンポジウムでは、最初に青森県の周産期医療の大枠をご紹介し、その後にNICUから退院された後の問題点などに関してお話しさせていただきました。6月に入りそろそろ人口動態統計の公表も秒読みですが、小さく生まれた赤ちゃん達がほとんど救命されるようになった現在、次の課題は医療あるいは医療政策が「助けっ放し」になっていないか?と言う点です。そんな観点からあれこれお話しさせていただきました。

このスライドは神奈川県立こども医療センターの豊島先生のブログ「 がんばれ!!小さき生命(いのち)たちよ 」から拝借したものです。
「溺れそうな命を船(NICU)で救ってもらったが海図をもたさず海(社会)に放り出された?」との表現はまさしく現状を言い表しています。今回の石田さんのご発表の内容がまさにそれでした。
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NICU卒業生のお子さん達の問題は本当に多種多様です。発達もひとりひとり千差万別。障がいがある場合も、その種類と程度が様々に組み合わさり、さらに年齢ごとにも直面する問題が異なります。中でも特に在宅医療を行われているお子さんの場合、レスパイト体制の不備がしばしば問題となります。下の図は 平成26年度小児等在宅医療連携拠点事業 の資料からの引用です。2013年12月に日本小児科学会が行ったアンケートでは「急性期病床を使って医療的ケアを必要とする重症⼼⾝障害児(重症児)のレスパイトを目的とした短期⼊所または⼊院を⾏っているか?」との質問に対し、yesと答えたのは37%に留まっていたとのことでした。
短期入所の現状 (Custom)

この理由には様々な要因があるとは思いますが、大きい要因としては以前、東奥日報連載や朝日新聞のオピニオン欄でも述べたように、入院中のお子さんの付添問題なのではないかと思います。

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レスパイトと言うことは親が休めなければならないわけですが、そもそも日本の保険診療で取られている小児に対する看護体制自体が実質上、入院中に親の付き添いを前提に作られている以上、上記のアンケートのように急性期病床を使ってのレスパイトなどで容易にきるわけがありません。

当院の正面玄関には下のような表示があります。しかし、当院の小児科病棟も例外ではありません。小児、特に乳幼児のお子さんが入院するには親御さんの付き添いは必須なのが実情です。
こんな掲示が (Custom)
ただし当院の場合、これも以前、ご紹介したように親の付き添いなしの病床をわずかながら確保しているので、こうした取り組みがしっかりした制度として確立される必要があるのではないかと考えています。

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現状の問題点を解決するにはどのようにして行ったら良いのか?答えはそれほど簡単ではありません。様々な障害が複合的に組み合わさっているお子さん達は、しかも家庭事情・経済的事情、さらには地域によるリソースの違いも含めるとまさに条件は千差万別です。
どうしていったらいいのでしょう?1 (Custom)
ただその第一歩として、今すぐにでもできることは、NICUから退院する時の親御さんへの情報提供をもっとしっかりしていくこと、そのためには今までよりももっと福祉・教育も含めて連携を強化していく必要があります。ただ、連携という言葉ほど「言うは易く行うは難し」なものはないとも日々感じます。
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以上、あれこれややとりとめもなくお話ししてきましたが、考えてみると、例えばちょっとだけ早く生まれても保育園に入った途端、風邪をもらっては入退院を繰り返し、そのたびにお母さんが付き添っていたら勤め先に居づらくなって辞めてしまった、これだってある意味、広い意味では障がいなのかも知れません。

今の社会は「夜昼なく休むことなく働き続けられる人材」のみが一人前扱いされる社会のような気がします。それ以外の状態、例えば親の介護や自分自身の病気など、そんなことがあった途端に退場を強いられている、そんな社会になってはいないでしょうか?そんな風に考えてみると「休むことなく働き続けられる人材」以外は皆、何らかの障がいを持っているのと同じような状況に社会自体がさせているのではないか?そう考えると障がいとは「社会が作り出している」ものなのではないかとさえ感じています。まただからこその少子化なのではないかと言う点は、以前の東奥日報の連載でも述べさせていただいた通りです。

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今回の研修会には守る会の皆さん以外にも、県内各地から障がい児(者)にかかわる各方面の方達も参加して下さいました。多くの赤ちゃん達を救命できるようになった今、何らかの障がいを持ちながらも安心して成長していける世の中に一歩でも近づけるように私たちに何ができるかをこれからも考え続けて行きたいと思っています。

2015.05.30

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5月30日(金)に 青森県立盲学校 を見学させていただきました。
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青森盲学校 は当院から歩いても行けるぐらいの距離なのですが、これまでなかなかお邪魔する機会がありませんでした。
青森盲学校 (Custom)
青森県立盲学校には ロービジョンセンター が併設されており、見えにくさで困っている方への支援活動もされています。超低出生体重児のお子さん達は視覚認知が弱いお子さんが比較的多いので、3歳健診の発達検査で視覚認知の問題が疑われるようなお子さんの場合、これまでもかなりお世話になっています。
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盲学校の中を見学させていただくと、盲学校ならではの様々な学習用器材がありました。下の写真は視力障害のある方の見え方を体験できる眼鏡です。
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これらは視力障害のある方用の玩具様々なツールです。オセロはひとつひとつのセルを回転させると色が変わるのですが、裏表で白黒だけではなく、緑も必要なので回転させて3通りに表示されます。
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これは盲人用そろばんです。通常のそろばんのように簡単には動かないようになっているのだそうで、受験などの公式の試験にも持ち込みが可能なものなのだそうです。
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これらは調理器ですが、まな板は片面が白、裏面が黒になっていて、例えば白い大根を切る時には黒い面を、色の明らかな野菜を切る時には白い面を使うのだそうです。ご飯用のお椀やしゃもじも黒くなっていて、白いご飯粒の量とか残りが具合が見やすくなっています。
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これは弱視の生徒さん用の机です。どうしても顔を机に近づけて見ることが多いため、平らな机では姿勢が辛くなってくるので、傾けているのだそうです。
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教科書も通常のものよりも文字が何倍か大きくなっていて読みやすくなっています。
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これは拡大読書器と言って、さらに文字を拡大して読むための装置です。
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これは点字用のタイプライターです。
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こちらは国語辞典ですが、全て点字で書かれており、ここに並んでいるだけで一冊分なのだそうです。
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今後もNICUからの卒業生がお世話になると思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。青森県立盲学校の諸先生、お忙しいところありがとうございました。

2015.05.22

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東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週月曜日が16回目でした。今回は早産で早生まれによる「飛び級」問題に関して述べてみました。

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以下、連載本文です。

県病NICU(新生児集中治療室)卒業生の中にも、この春から小学校に入学したお子さんがたくさんいます。小さく生まれたお子さんたちの就学について、いつも頭を悩ませられるのが「早生まれ」の問題です。もっと正確に言えば、「早産出生により年度をまたいでしまったため、本来よりも1年早く就学しなければならなくなった」お子さんたちのことです。

「そんなにたくさんはいないのでは?」と思われるかも知れませんが、出生体重が1000㌘未満の超低出生体重児のお子さんたちは、予定日よりも数か月は早く生まれてくるので、年度をまたいで生まれることは決して珍しくありません。

過去の県病入院例で調べてみると、超低出生体重児全体の約28%のお子さんが年度をまたいだ、いわゆる「飛び級」となっていました。年度をまたいだ早生まれは超低出生体重児に限らず、ちょっとだけ早く生まれたお子さんたちでも多かれ少なかれ存在します。

仮に順調に発達していても、本来は1学年下で入学するはずだったお子さんたちです。実はわが家の娘も、年度末近くの早生まれで体格も小さめで、ランドセルに背負われているような後ろ姿を毎日はらはらしながら眺めていたものです。ましてや早産で生まれ、しかも本来よりも1学年早く新入学を迎えたら、ご家族の心配はいかほどかと思います。

日本には、小学校の入学を遅らせる「就学猶予」と呼ばれる制度があります。これは「病弱その他やむを得ない事由のため就学困難と認められる場合に就学を猶予」する制度で、学校教育法第18条に規定されています。かつては、障害や経済的事情で学校に通えない子供たちを対象にした制度でしたが、特別支援教育の充実によりその対象者を減らしてきました。

低出生体重児もその対象になり得るのですが、一方でいくつかの問題もあります。

例えば、保育所では本来就学すべき年齢のお子さんを預かることはできないので、就学猶予しても適した集団生活の場の確保が難しい場合があり得ます。就学前の1年間、どこにも行き場のない「自宅浪人」なのでは発達上も好ましくありません。

全国的にみると、就学猶予の実績はないわけではありません。しかし、その実数は決して多くなく、青森県内での実績もほとんどありません。仮に就学猶予したとして、そのことが就学後に何らかの差別やその他の不利益をもたらす可能性を就学前の段階で見通すこともまた困難ですので、安易にお勧めもできないとも考えています。

こうした事情もあり、筆者がこれまで担当したお子さんたちで実際に就学猶予をしたお子さんはいません。今後もよほどご両親の希望と諸条件がそろわない限り、就学猶予に向けて動くことはないのかなと思います。

「飛び級」問題について、現状ではこれと言った有効な打開策はなく、それぞれのお子さんができるだけ安心して就学できるよう、例えば定期的に発達の評価を行い、その中でその子の得意なこと、不得意なことを明らかにしていきながら、必要な支援や就学準備のお手伝いをしていくしかないと考えています。

元はと言えば、社会制度が生み出した問題なのですから、本来は制度が変わることで解決されるべきではないかとも思います。例えば出生証明書には赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいた期間である「妊娠週数」の記載欄があります。出生証明書は公文書ですので、この記載事項を元に出産予定日通りの学年でも問題なく就学できるような法整備がなされないものか?と日々の診療の中で感じているところです。

2015.03.06

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3月5日(木)に「医療措置必要な我が子 どう育てていけば・・・」「受け入れ施設なく 母苦悩」と題した記事が掲載されました。当院のNICUを退院されたお子さんのお母さん達を現状を取材して下さった記事です。
先日の小児病棟入院中の付き添いに限らず、お子さんが病気や障がいを持った場合のお母さん達の肉体的・精神的負担は計り知れないものがあります。これまでの東奥日報の連載でも述べてきましたが、これに加えて近年は経済的問題も重くのしかかります。これまでの連載でも、女性が働き続ける理由は単なる「女性の社会進出」で片付けられるようなものではなく、夫婦二人が働くことが収入面でも、またあるいはどちらかがリストラされた場合に世帯として無収入にならないためにも、そうした必要に迫られて「働かざるを得ない」状況であることを述べてきました。
それはお子さんに障がいがあっても同じことです。しかし、健常児であれば当たり前の保育所も医療ケアを要するお子さんとなると突然、そのハードルは上がります。
そろそろ小児医療も福祉も子どもに関わる全ての制度が、かつての専業主婦を前提としたものから、共働きを前提とした制度へ大きく舵を切り直さなければならない時期にさしかかっているのではないかと考えています。
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