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成育科ブログ

2014.08.21

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東奥日報夕刊の連載2回目です。今回は産まれてきた赤ちゃんがどのくらいの確率でNICUに入院するのか?と言うあたりを中心に述べてみました。一般的にNICUに入院する赤ちゃんは33人に1人と言われていますが、軽症児を含めると実は1割以上の赤ちゃん達が入院しています。青森県周産期医療協議会で毎年出しているハイリスク新生児の統計でも、入院している赤ちゃんの割合は年々増加傾向です。今回の原稿に際して、ちょうど先月あった ビールの会 で全員に配布された“木陰の物語”の冊子に書かれていた一節が目にとまりました。

その人が
何かをしたからではない。

かといって、
何も努力をしなかったから
というのでもない。

理由などなく、
ただそういう現実だから、
そこから
スタートするしかない
巡り合わせの人がある。

本文中でも述べましたが、この一節はまさにNICUに入院している赤ちゃん達とそのご家族の状況そのものです。

入院の可能性は誰にでもある

前回の第1回目でも述べた「周産期医療は人ごとではないのだ」と言うことを、これからの連載でも言い続けていきたいと考えています。多くの方に「人ごとではない」と知ってもらうことから、周産期医療のその先にある結果的に何らかの後遺症を持つことになったお子さん達に対しても、その想いを拡げてもらえることを願いながら連載を続けて行ければと思っています。

以下は、今回引用させていただいた“木陰の物語”届ける!プロジェクトのFacebookページのリンクです。是非、こちらもご覧いただければと思います。

(画像をクリックすると“木陰の物語”届ける!プロジェクトのFacebookページにリンクします)

(画像をクリックすると“木陰の物語”届ける!プロジェクトのFacebookページにリンクします)

以下、2回目の原稿です。

先日、ある会合でファミリーセラピストの団士郎さんが被災地支援の一環として始められた「〝木陰の物語〟届ける!プロジェクト」の活動として、「木陰の物語 ─Side by Side─」と言う小冊子が配られました。この中で、あるお子さんが児童相談所で経験したことの回想を元に団士郎さんが書いた「貝殻」と言う物語の冒頭部分が目にとまりました。

その人が
何かをしたからではない。

かといって、
何も努力をしなかったから
というのでもない。

理由などなく、
ただそういう現実だから、
そこから
スタートするしかない
巡り合わせの人がある。

この一節は「いつ誰が当事者になるか分からない」と言う一点において、まさしく私たちが診療している赤ちゃんたちとそのご家族の状況と重なります。
「NICU」という言葉をご存じでしょうか?一頃、大都市圏で急変した妊婦さんの受け入れ先がなかなか見つからず、その原因がNICU不足にあるとメディアで取り上げられた時期がありましたので耳にしたことがあるかも知れません。NICUとは「新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit)」の略称で、産まれたばかりの赤ちゃんたちに何らかの問題があった場合に入院し治療するところです。
NICUに入院する原因は大きく分けて3通りあります。1番目が予定日よりも早く産まれる早産児または低出生体重児、一般的には未熟児とも呼ばれます。2番目は分娩(ぶんべん)時に仮死状態や呼吸障害などの症状が見られた赤ちゃん、3番目は生まれつきに何らかの病気を持って生まれてくる赤ちゃんです。
ではどのくらいの割合で赤ちゃんはNICUに入院するのでしょうか?厚生労働省科学研究によると、NICUには33人に1人が入院するとのデータがありますが、これはあくまで集中治療を要する赤ちゃんの割合なので、比較的軽症な赤ちゃんも含めればもっと多くの赤ちゃんが入院します。青森県では毎年ハイリスク新生児調査を行っており、その集計では平成23年には年間9531人の出生に対して、何らかの医療を要する赤ちゃんが1173人と、約12.3%もの赤ちゃんが入院したとされています。
一般的に全出生のうち2500g未満の赤ちゃんの出生率は約9.5%で、さらに双子以上の多胎では約75%が2500g未満で出生し、約1割は1500g未満で出生します。また、出生体重に関係なく生まれつき心臓に疾患のある先天性心疾患の赤ちゃんは100人に1人出生すると言われています。
近年、NICUに入院しなければならない赤ちゃんが増えてきています。一方、日本では少子化の進行が将来の国の基盤を揺るがしかねないとして大問題となってきています。少子化がこれだけ進行しているのにNICUが足りないとは不思議な気がしませんか?その理由はこれからの連載の中で詳しくお話ししていきたいと思います。

(この画像は当該ページに限って東奥日報社が利用を許諾したものです)

(この画像は当該ページに限って東奥日報社が利用を許諾したものです)

2014.08.04

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今月から東奥日報夕刊で「 知ってほしい 赤ちゃんのこと 」と題して連載をるすことになりました。今回はその第1回目です。

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以下、本文です。

みなさん、はじめまして。私は青森県立中央病院新生児科の網塚貴介と申します。今回から毎月第1・3週月曜日の夕刊で「知ってほしい 赤ちゃんのこと」と題して連載させていただくことになりました。この連載では、私たちが勤務している周産期医療の現場のことや赤ちゃんやご家族を取り巻く社会的環境のこと、さらに日常の外来でお母さん達によく質問されることの多い育児上の疑問点など少々雑多になるかも知れませんが、赤ちゃんに関して多くの方に「知ってほしい」ことをご紹介したいと思います。
周産期医療と言うとあまり聞き慣れない方も多いかと思います。「周産期」とは定義上「妊娠22週から生後満7日未満までの期間」を指しますが、一般的に周産期医療と言うと、妊娠中に生じる合併症や早産、分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態に対処する医療分野です。また救急医療や地域医療などと異なって、日常生活ではその存在を意識することのない医療分野なのではないかと思います。
妊娠が分かって出産が近づくと「どうか元気に生まれてきて下さい」と安産祈願したり、赤ちゃんが生まれると「どうか元気に育ちますように」とお宮参りに行ったりしますよね。実は人生を通して「死」に最も近いのが誕生の時であり、古来からこうした「神頼み」が定着していることも、赤ちゃんが生まれ育つ過程の中で様々なリスクが存在しているからに他なりません。事実、周産期センターに入院された赤ちゃん達にも、時には亡くなられたり、のちの成長の過程で何らかの後遺症を残す赤ちゃんは決して少なくはありません。
妊娠出産が心配になってしまいそうなことばかり書き連ねていますが、ここで「だから妊婦さん達に心構えを」なんて言うつもりはありません。むしろ当事者になるかも知れない人よりも、年代的にも完全に他人事と感じている方達にこそ、赤ちゃんが産まれてくる時のリスクは意外に高いのだということを知って欲しいと思うのです。なぜなら、それはごく身近な人、例えばご自身の娘さんや職場の部下にいつ起こるかも知れず、何も知らないことが時に取り返しのつかない事態を招いたり、消えない心の傷を負わせたりするかも知れないからなのです。
妊娠・出産を控えたお母さん達が多くのリスクと不安の中にいることをできるだけ多くの方に知ってもらいたい、そしてそのことで社会全体が少しでも優しくなれば、そんな思いを込めてこれからの連載を進めて行ければと思います。それではまた次回お会いしましょう。

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