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成育科ブログ

2020.02.15

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この週末は山口県新生児研究会にお招きいただき「青森県における新生児医療の集約化~その成果と今後の課題」と題してお話しさせていただきました。

東海道新幹線ではなかなか見ることの叶わなかった富士山の勇姿を今回は間近で眺めることができました。
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実は山口県も今回が人生初上陸となります。到着した 山口宇部空港にはヤシの木が。なんか南国な感じでした。
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会場の新山口駅前に到着。真っ青な空と風が爽やかでした。
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今回は、最初に青森県の周産期医療の背景と集約化の実際に関してお話しして、次に今後の新生児医療の方向性に大きな影響を持つ少子化の進行と医師の働き方改革の話題に関してお話しした後、最後に成育科としての現在の状況などをご紹介させていただきました。
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特に出生数に関して青森県と山口県を比べると、2000年頃までは青森県の方が少し出生数が多かったぐらいでしたが、2000年を過ぎてからは青森県の出生数がどんどん減っていって、2000年当時に13000人ほどの出生数があったのが、今やその6割にまで減ってしまいました。
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1995年の出生数を基準に、全国と各都道府県の出生数の推移を比べてみると、やはり宮城を除く東北5県と山梨県がその中に混ざって急減しており、山口県はそれよりも減少は急激ではないですが、2010年を過ぎたあたりから他の県も出生数が急減し始めているのが分かります。おそらく東北以外の地域でも出生数の減少が少し遅れて急下降してくるのだと思います。
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医師の働き方改革に関しては、これは昨年11月の鹿児島での日本新生児成育学会「新生児科医師の勤務状況と医師育成・供給に関 する調査―働き方改革対策の観点からの再考察」として発表しましたが、ここで新生児科医師の長時間労働は今さら言うまでもないのですが、その中でも特に時間外勤務時間の長い北海道・東北地方と中国・四国地方では女性医師の平均年齢が他の地域よりも低い傾向にありました。このことは、長時間労働が求められるほど、働くことのできる医師が限定され続け、医師不足がさらに進行する悪循環に陥っている可能性があることを示唆しているのではないかと言うこともご紹介しました。
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医療の集約化はそれぞれの地域において様々な事情がありますので簡単には語れないとは思いますが、これから本格的な少子化の波が押し寄せることは間違いなく、またそこに働き方改革や女性医師のキャリアなどの諸問題も重なり、あたかも多項連立方程式の様相を呈しています。ここで最適解を探ることが今を支える私たちの世代の役割なのではないかと言うことをお伝えしました。
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研究会と懇親会終了後に座長を務めていただいた山口大学小児科の長谷川俊史教授と、山口大学の高橋一雅先生、山口県立総合医療センターの長谷川恵子先生とご一緒に。少しでも今後のお役に立てばと思います。長谷川先生、ならびに山口県の諸先生、ありがとうございました。
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(文責 成育科 網塚 貴介)

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2019.12.24

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11月23日(土)の船戸先生による生命倫理のご講演の前座的にあおもり母乳の会学習会で「少子化対策に欠けていた視点とその処方箋」と題してお話しさせていただきました。この内容は6月のあきた母乳育児をささえる会学習会で2時間ほどお話しさせていただいた内容を半分ぐらいに圧縮した感じになりました。

今日、出生数86万人に急減、初の90万人割れ 19年推計と言うニュースが飛び込んできたところでもありますので、そろそろここで先日の内容をまとめてアップしておきたいと思います。まずは当日のスライドの抜粋を一気にアップしてしまいます。きっと過去最多の枚数かと思います。

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まずは日本の総出生数と合計特殊出生率の推移から。このグラフが将来予測をする上での全ての「鍵」となります。
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合計特殊出生率は「加速度」みたいなもので、夫婦2人で子どもが2名でほぼ人口が均衡する水準である人口置換水準を大幅に割り込む状態が続くと、出生数減少・総人口の減少もどんどん勢いが増していくことになります。
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次に少子化進行の社会的・経済的背景に関して少しまとめてみました。
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本来であれば第3次ベビーブームの親世代となるはずだった団塊ジュニアからそれに続く就職氷河期と、この世代はおそらくは子育て以前に家庭を持つどころではなかった人たちがかなりの割合に上ったと言うことなのでしょう。
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日本は女性の労働力率がM字型であることが知られていますが、この「鍋の底」が近年どんどん浅くなっており、これが「女性の社会進出」と捉えられているようです。
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しかし、その内実を雇用形態で分けてみると、M字カーブの「鍋の底」を浅くしているのは出産を過ぎてからの非正規雇用の増加によって支えられていることが分かります。一方、正規雇用は一括雇用の段階でいったん上昇しますが、その後は下降線にあり、これは妊娠・出産・子育て期を経て、どんどん正規雇用から脱落している結果を見ているのだと思います。
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次に、育児と仕事の両立で立ちはだかる壁に関して。
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医療的ケア児は近年どんどん増加中で、そのお母さん達が仕事を続けるのが困難な様子は日常的に目にしています。
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以前、地元紙である東奥日報で連載をしていた頃、「東奥日報連載14回目 子の障がいと母の就労」と言うタイトルで紹介したことがあります。
「この子を育てながら私は働き続けることができるのでしょうか?」
この問いに答えることができずして少子化問題を語ることはできないのではないかと思います。
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入院すると親の付き添いを余儀なくされる場面は多々あります。必要な部分はあるとしても、長期入院の場合など、親への負担があまりにも過度な場合も多々あります。なにより、親の付き添いが「なかったこと」になっていること自体が問題と考えています。
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保育園問題もなかなか難しい問題です。早産児など、NICUから退院して間もないようなお子さんを保育園に預けたいと相談されることは度々あります。
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一方、子どものことで仕事が継続できず退職してしまった場合の試算がこちらになります。母親が仕事を続けられないことは、今の共働き時代では世帯としての経済問題となってしまいますし、これがシングルマザーでは一気に貧困問題にまで陥ってしまいます。
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以上をまとめると、結局のところ、子どもが増えない最大の原因は子育て世代を取り巻く「不安定さ」になるように考えています。
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そして、少子化対策していると言いながら、実のところは子どものことで困っていても全然助けてくれないと言うのが少子化が止まらない最大の原因なのではないかと考えています。
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結局のところ、現代の日本社会で子どもを持とうとすると、それはリスクになってしまっていて、言い方を変えると、少子化の進行とは子育て世代による人生のリスクマネジメントの結果なのではないかと考えています。
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ここで少し日本における雇用環境に関してまとめておきます。
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日本の雇用形態は主にメンバーシップ型雇用が多いと言われています。
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しかし、この雇用形態で子育て中の女性が同じトラックで競争しようとすると、もはや女性の方は障害物競走みたいになってしまっているので、これはやる気もなくなるのは当然でしょう。
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空間的・時間的に無制限もしくはプライベートを排除して働けることを「能力」に置き換えて評価される社会であるがゆえに、子育て中の女性は本来の能力を問われることなくその競争からどんどん退場させられ、結果として男性中心の片肺飛行になっているのがこれまでの日本社会と言えるのではないかと思います。
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かくして、様々な女性のキャリアは、今話題の「食品ロス」さながらに無駄に棄てられてしまっていると言うように言えるのではないでしょうか?
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昔から「銃後の守り」という言葉があります。一家の中に家庭を守る存在(=かつての専業主婦)がいてこそ、夫はこれもかつての高度成長期に「24時間働けますか?」とばかりにモーレツ社員として働いていた時代がありましたが、とっくの昔に共働き世代が逆転してしまっている今、夫も妻も一緒に同じように働くことにはそもそも無理があるように思います。
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本来であれば、人が生きて行く中での生老病死には必ず「ケア」が必要となります。男女問わず、この総量はリスクも含めれば全ての人がスタート時点では同じのはずです。この「ケア」に対するコストがこれまでの経済政策の中でパラメータとして見積もられなかったことこそが、経済成長を目指しながら、結果として少子化から経済縮小を余儀なくされる未来を迎えることになってしまった原因なのではないかと思います。
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以上を一言で言ってしまうとこんな感じになるかと思います。
「男は仕事、女は家庭」
「子どもは家族の責任で育てる」
言えば言うほど子どもも人口も減っていく!
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ただ、そうは言うものの「子どもの権利」はやはり最優先に考える必要があります。
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そう言いながら、入院中の看護体制とか保育園の基準とか、その辺はまるで無頓着なところもあったりします。これもまた「子どもは親が育てるもの」と言う哲学が諸制度の根底に流れているからなのでしょう。
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それではこれからどのようにしていけばいいのでしょうか?
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その大前提となるのが「子どもを社会で育てる」と言う考え方に変えていくと言うことに尽きるように思います。「子どもを社会で育てる」とは以下の3つあるように思います。
1)子育てで母親や家族を困らせない仕組み作り
2)育児を母親だけに押しつけない社会の仕組み作り
3)子育て上で生じた不利益を親に負わせないルール作り
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1)の母親や家族を困らせない仕組み作りのためには、まず考え方として、子どもを持てばそれは当然いろんなことが起こりうるわけなので、子育てにおいては誰もがある日突然弱者になり得ると言うこと、を前提とする必要があると思います。その前提の上で、「誰も子どものことで困らせない」仕組み、それはきっと究極的には「保険」のような仕組みが必要なのではないかと考えています。
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育児を母親だけに押しつけないためには、父親が家庭で戦力となる必要があります。これは、一つの考え方として、例えば、病院は看護師さんなど女性が働く最たる場ではないかと思いますし、医師の世界で言えば、小児科・産婦人科などは近年女性医師がどんどん増えています。ここで、夫が企業勤務、妻が看護師とします。夫は長時間労働で家庭のことをする暇もなく日々仕事に明け暮れる、方や妻の看護師は家事育児の負担をせざるを得ない。ここで個別ではなくマクロの視点に立ってみると、組織として社員に長時間労働をさせている企業は、産休・育休を取得する職員がたくさんいる組織に比べて、子育てに関する負担が組織単位で少なくて済むことになってしまいます。しかし、「子どもを社会で育てる」と言う考え方に立てば、長時間労働をさせている企業は社会全体に対して子育て負担と言う点で「ただ乗り(フリーライド)」していると言えるかと思います。こうした考え方を、例えば税制などに取り入れたりすることで、結果として男女が等しく働けるようになる社会が形成されるのではないかと期待しています。
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さらに、子育てしていく上でどうしても親でなければならない局面h当然あるはずなので、その時には、仮にそこで休んでも子育てに関する休職に関して不利益を与えない仕組みと言うのも今後検討されるべき課題なのではないかと考えています。
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そして、部下が妊娠したけどどうしよう、ではなく、素直に皆で心から祝福できる社会こそが正常な姿なのではないかと思います。
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(文責 成育科 網塚 貴介)

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2019.07.15

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先月6月1日(土)に第11回あきた母乳育児をささえる会学習会にお招きいただき「知ってほしい、赤ちゃんのこと ~少子化対策に欠けていた視点とその処方箋」と題して、なぜ日本の少子化対策がことごとく失敗してしまったのかについて小児科医からの目線でお話しさせていただきました。その時の内容の少しまとめてみたいと思います。
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本題に入る前に人口に関する基礎的事項と少子化に至る社会的背景に関してまとめてみました。
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以上を踏まえた上で「どうして合計特殊出生率は上がらない?」と言う本題に関して考えてみます。
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小児・新生児医療に関わっていると仕事柄どうしても、子育て中にいろんな理由で「困っている」お母さんやご家族からのお話を聞くことになります。少なくともお母さんの仕事との両立と言う観点から言えば、お子さんの病気や入院など突発的なことが起こった時のセーフティーネットは極めて脆弱と感じます。こうした突発的な状況を「有事」とすれば、いわゆる「少子化対策」と言われるもののほとんどは「平時」の対策に偏っているように感じます。まして、「保育園に入れない」などと言う事態は、この綱渡りすら叶わずに手前の崖の前で立ちすくんでいるような状況でしょう。
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結論から言ってしまえば、どうして合計特殊出生率は上がらないのか?と問われれば、その答えを一言で言えば「子育て中に困っていても助けてくれないから」なのではないかと思います。つまり、日本の合計特殊出生率がいつまで経っても上がってこないのは、子どもを持たないことが人生を生きていく上でのリスクマネジメントになってしまった結果なのではないでしょうか?
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ここまでをまとめると、こどもが増えない原因はこの不安定さにあるのではないか?そして、この不安定さに応えることこそが最大の対策になるのはないかと思います。
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ただ、問題はそれほど簡単ではないようにも思います。

もっと根深い問題として、そもそもお母さん、と言うよりも女性が働く上での社会環境があるように思います。それは「ケア」に関わる問題です。「ケア」とは、子育てに限らず、家事全般や介護その他、人が生まれてから死んでいくまで、すなわち生老病死に伴って生じる「人の手による世話」全般を指します。かつての高度経済成長時代では、夫が仕事、妻が「ケア」をそれぞれ性別分業することで多くの家庭が成り立っていました。当時の主たる稼ぎ頭であった夫の給与には専業主婦が従事する「ケア」の中におそらくは込み込みになっていたのだと思いますが、「女性の社会進出」ならぬ「女性が働かざるを得ない」社会となってしまった今、この「ケア代」が宙ぶらりんになってしまい、それがどこにも計上されなくなったと言う構図があるようです。この「ケア」という概念は、アン=マリー・スローター氏による「仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント」で紹介されています。
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昔から、「銃後の守り」と言うことばがあります。これこそが「ケア」そのものなのではないかと思います。そもそも、誰かひとりが時間的・空間的に無限定的に働いていれば、その人は家族のケアに関わることができないので、他の誰かが担うことになります。しかし、生老病死、人生を生きていく上で、育児・介護・病気等々、人生におけるケアの総和はそもそもスタート時点では男女とも同じはずであり、この「ケア」にかかるコストを何らかの形で計上して行く必要があるのでしょう。
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現在でもこの「ケア」の主たる担い手が女性であることが社会としての暗黙の了解となっています。今年の春に東京大学名誉教授の上野千鶴子さんが東京大学の入学式の祝辞で、現在も残る男女差別に言及して大きな反響を呼びました。
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現実に子育てに限らず「ケア」全般を任されながら仕事をする女性からみると、男性は普通にトラックを走っているのに、自分たちは障害物競走をしているようなものです。これではやる気がなくなってしまって当然でしょう。
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上野さんが指摘されたとおり、日本には男女間において統計学的差別が厳然と存在しており、このため「ケア」を担いながら働く女性自身もまたこうした現状下で諦めの気持ちになっていくことを「予言の自己成就」とも呼ばれています。こうした社会病理とも言える背景は、中野円佳氏による「育休世代」のジレンマ~女性活用はなぜ失敗するのか?に詳細に記されています。
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こうした構造の背景には「ケア」を他者に任せた働き手のみが評価されると言う構造があります。しかし、一方で近年は共働き世帯が主となっていることを考え合わせると、例えば夫が「ケア」に全く関与せず無限定的に働いているとすれば、「ケア」の負担は妻の方に大きくかかっていくことになります。これは、妻の勤務先の立場からみると、時短勤務にしなければならなかったり頻繁に休んだりと、勤務先としても負担がかかっていることになります。

ここで例えば、専ら男社会で、女性社員がいても子育て中ではとても勤務継続ができないような職場と、子育て中の女性比率の高い職場があったとします。この二つの職場を比べると、前者は子育てに関しての負担がその組織としてはほとんど負っていない一方、後者の職場は組織としては子育てに関する負担が大きくかかっていることになります。そうすると、社会全体として俯瞰すると、子育てに関する負担をほとんど負わない組織は、子育てに関して理解のある組織に対して「ただ乗り(フリーライド)」していると言うことにならないでしょうか?そうした視点も今後必要となってくるのではないかと思います。
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一方、先進諸国の中でフランスは合計特殊出生率を改善させた国として有名です。「フランスはどう少子化を克服したか」の「はじめに」のところにこのような記載があります。
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日本の場合、この前段のところで思考停止しているように思えてなりません。
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かつての高度経済成長期の幻影から抜けきれず、専業主婦時代の価値観を根本的に見直すことなく小手先の少子化対策を続けている限り合計特殊出生率が上昇する時代を迎えることはないのだと思います。
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ただ、ここで絶対に忘れてならないのは「こどもの権利」です。お母さんが仕事をすることと、こどもが病気をしたときにどうするか?と言うことは、時として母が働く権利とこどもの権利がぶつかる場合があり得ます。しかし、ここでこの両者の権利がぶつかること自体に社会の矛盾が潜んでいると考えることはできないでしょうか?「子どもは社会で育てる」と言う言葉が語られますが、その言葉の真の意味とは、子育てに関する仕事上の不利益を親に対して負わせないことなのではないかと考えています。
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以上、かなり長くなりましたが、秋田の学習会当日は2時間超にもなっており、これでもかなり抜粋してみました。かなり私見ばかりのところもありますので、ご批判は多々あるかと思いますが、小児・新生児医療に関わる者としては、最後の最後のところではこれから社会が変わっていくときに子ども達の権利が守られているかを最終的には注視していかなければならないと思います。
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今年春の東京大学入学式の上野さんの祝辞に始まり、平成が終わり令和の時代の訪れとともに子育てや女性差別問題に関して様々なニュースが飛び込んできています。きっと、あと10年もしないうちに「令和元年が日本の転機だったね」と言われる節目の時代に私たちはいるのではないかと思います。
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(文責 成育科 網塚 貴介)

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2019.06.02

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先日もご紹介しましたが、6月1日(土)に第11回あきた母乳育児をささえる会学習会にお招きいただき「知ってほしい、赤ちゃんのこと ~少子化対策に欠けていた視点とその処方箋」と題してお話しさせていただきました。これは、3年半ほど前に秋田県周産期・新生児研究会で少子化が新生児医療に及ぼす影響に関して講演させていただいた時のその続編をと言うことでお声がけいただきました。秋田県は青森県と並んで出生数減少が最も激しい県と言うこともあり、母乳育児を支える会としてのお話としてはちょっと異色かも知れませんが、日本の少子化対策がなぜことごとく失敗してしまったのかについて小児科医からの目線でお話ししました。

青森に新幹線が来てからすっかりご無沙汰で久しぶりの特急「つがる」です。
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あ秋田駅に到着するとなまはげと「マサル」がお出迎えしてくれます。
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秋田駅前です。青森駅前よりはるかに栄えています。やっぱり新幹線の駅が一緒なのがいいのでしょうか・・・(T-T)
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会場は反対側の駅ビル?です。こちらの建物もとても立派でした。
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今回は50人以上とかなりたくさんの方が聞きに来て下さいました。
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これは男女の労働率の図ですね。いわゆる女性の労働率の「M字カーブ」と言われるものです。
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今回の学習会ではこの少子化問題をなんと2時間以上お話しさせていただきました。
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今回なんとしてもお話ししたかったのがこれです。今回のお話しはとにかく量が多いので、内容に関しては後日このブログにアップして行きたいと思います。
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学習会終了後、あきた母乳育児を支える会の皆さんとご一緒させていただきました。
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本場のきりたんぽです!
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日本の少子化問題は東奥日報の連載をお引き受けしていたころからずっと関心のあるテーマで、今回のお話しをいただいてからさらにいろんな本を読み漁りました。このような機会をいただけたことは本当にありがたいことだと感じました。あきた母乳育児を支える会の皆さん、ありがとうございました。
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※2019年12月24日追記:少子化対策に欠けていた視点とその処方箋~あおもり母乳の会

 

(文責 成育科 網塚 貴介)

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2016.07.29

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しばらく前になりますが、6月に千葉県柏市の麗澤大学で開催された 日本人口学会第68回大会の企画セッション でご一緒させていただいた 「『子育て』という政治~少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか? (角川SSC新書) 」 の著者である猪熊弘子さんの発表スライドをいただいたのでダイジェスト版としてご紹介させていただきます。
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今回のセッションでは「子育て支援・保育環境における地域格差と出生率」と題してご発表されました。以下、猪熊さんのスライドをご紹介しながらダイジェストして行きたいと思います。
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まずお話しは以前話題になった 「保育園落ちた日本死ね!」 からお話しが始まります。
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自治体毎に待機児童数が公表されており、多い自治体・少ない自治体が当然ありますが、実はこの「待機児童の定義」そのものが自治体毎で異なっているのだそうです。横浜市で2013年4月の時点で待機児童数がゼロになったと発表され、これはかなり話題になりました。しかし、それにはマジックがあり、様々な除外規定が存在することから、本当に「ゼロ」になっているわけではないのだそうです。この辺の詳細は「『子育て』という政治~少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか? (角川SSC新書) 」 に詳しく書かれています。ただ、実質上は「ゼロ」ではないにしろ、横浜市は待機児童解消のために市長さんが中心となって精力的に取り組まれていることもまた猪熊さんの著書では紹介されていました。
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一方で、地方では子どもが少なく、待機児童ゼロが当たり前の地域もあるのだそうで、確かに青森県内でも同じような状況の地域があることは耳にします。
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保育所の不足は「保活」と言う形でお母さん達の新たな負担となっていきます。「就活」「婚活」と「○括」と名の付くものは、とかく「勝ち組・負け組」を生み出しがちです。赤ちゃんが生まれて育休も終えて、そろそろ復職と言う「普通」が実現できれば、それは今の時代「勝ち組」なようです。赤ちゃんを生み育てるのに「勝ち組」も「負け組」もないはずですが、今はそういう時代のようです。
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そう言えば、 共働きファミリーの仕事と子育て両立バイブル と言う本を読んだことがありますが、これなどはまさに「勝ち組」になるためのマニュアル本のように感じました。なんで子育てするだけなのにこんなことまでしなければ行けないんだろう?と言うのが率直な感想でした。きっと社会の中で何かが根本的に間違っているのでしょうね。
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そして一方で後半は保育の「質」に話題が移ります。これは待機児童解消への取り組みとも密接に関連しています。待機児童が多いからと言っても、保育は人が行うものですから、当然、人的なスキルを要します。また、さまざまな規制緩和もやって良いものと悪いものがあるのでしょう。保育所の急速な整備が結果として保育の「質」を危うくしている点に対して警鐘を鳴らされています。
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さらに保育の「質」は面積の話にも及びます。0歳児ひとりあたりの面積は、認可施設では3.3㎡以上と国が定めています。しかし、待機児童の多い地域ではこれを緩和してもよいとの通達が厚生労働省から出されていて、首都圏では2.5㎡以下でも認められているそうです。ちなみにスウェーデンの基準は7㎡だそうで、7㎡と言えばNICU1床分の面積基準と一緒です!
そう言えば、先日の 「一人飲み」アンケート2015~日本周産期・新生児学会in富山 その5 でもご紹介しましたが、医療法施行規則によると、入院患者さんの病室面積は個室だと6.3㎡、2人以上の部屋だと4.3㎡が必要とされていますが、小児のみの病室の面積はその2/3で良いことになっています。大部屋で4.3㎡の2/3と言うと2.9㎡ですので、畳で言えば1.6畳程度と言うことになります。日本では赤ちゃんとか子どもに対する人員やスペースの確保を徹底的なまでに削ることが当然となっているように思えてしまいます。
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「子どもの権利が守られる保育」を!

これが今回の猪熊さんのご発表の主旨だったように感じました。さきほど「何かが根本的に間違っている」と書きましたが、その「何か」とは、子どもに関わる制度を設計する時、「子どもの権利」が全く考慮の外にあると言う点ではないかと感じました。これは新生児医療・小児医医療そして障害児をめぐる諸制度にも共通する点です。さもなければ、GCUでの「一人飲み」など起こるわけがありません。これだって「何か」が間違っているのは明白です。
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人口学会の当日には猪熊さんの「『子育て』という政治~少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか? (角川SSC新書) 」 を持参し、サインもいただきました。なんとか猪熊さんの訴えが社会に届くことを願ってやみません。猪熊さん、貴重なご発表をありがとうございました。
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関連リンク:
保育園落ちた日本死ね!!!(2016年2月15日) 
「保育園見つからず退職。悔しい」調査で浮かぶ過酷な保活(The Huffington Post 2016年7月28日)

(文責 成育科 網塚 貴介)

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ブログ更新情報

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医療的ケア児コーディネーターフォローアップ「遠隔」研修会
(画像をクリックするとご案内のPDFファイルが表示されます)
2020.05.19
発達凸凹共育会「はぐとも」とセミナーのご紹介
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2020.05.03
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2020.05.01
遠隔講義が始まりました(その1)~青森中央学院大学編
(画像をクリックすると第45回ハイリスク児フォローアップ研究会のご案内ページにリンクします)
2020.03.09
第45回ハイリスク児フォローアップ研究会 in 青森~中止のお知らせ
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2020.02.15
山口県新生児研究会で新生児医療の集約化に関して講演させていただきました
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2020.02.05
新生児のフォローアップと支援~日本新生児看護学会in鹿児島
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2020.01.05
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人生初山梨上陸!山梨周産期医療懇話会~Intact Survivalとは?
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2019.11.24
船戸先生による生命倫理のご講演

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