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成育科ブログ

2016.12.04

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先週末は 第61回日本新生児成育医学会 に参加するため大阪に行ってきました。学会前日は来年2月の 第19回新生児呼吸療法モニタリングフォーラム で「新生児医療におけるデザイン 製品〜環境〜運用 」と題した企画セッションの打ち合わせで、学会場から歩いてすぐのところにあるパラマウントベッドさんに行ってきました。
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会社の中にはNICU設計のためのスタジオがあって、実物の保育器やシーリングペンダントを使ってのシミュレーションができるようになっています。
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また、今回の学会会期中は保育器内の音が赤ちゃんにどのように聞こえているかを体験することのできる企画もありました。実際に保育器内の音を聞いてみましたが、周囲の音もさることながら、保育器に直接接している車輪の固定音などが意外に大きいなどの発見がありました。
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信州フォーラムの企画セッションの方も「どうやって医療者の思いを形にするか?」という視点で、「デザインするためのデザイン」をテーマにしていこうと考えています。こちらの方はまた信州フォーラムが近くなりましたらご案内したいと思います。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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2016.11.24

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が38回目でした。今回は出生直後のカンガルーケアの話題を取り上げてみました。まずはご覧いただければと思います。

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以下、本文です。

「カンガルーケア」という言葉をご存じでしょうか?
一般的には、NICU(新生児集中治療室)に入院中の赤ちゃんを、主に両親が胸の上に抱っこして直接肌と肌を合わせるケアの総称です。
NICUに限らず、分娩室で生後間もない赤ちゃんがお母さんと肌と肌を合わせるのもカンガルーケアに含まれ、こちらは正確な用語としては「早期母子接触(early skin-to-skin contact)」と呼ばれます。
生後間もなくからのカンガルーケアは、母乳分泌促進や、母子の不安軽減に効果があるとされています。WHO(世界保健機関)や米国小児科学会のガイドラインでも、健常な新生児は出生早期から母の胸でカンガルーケアすることが勧められています。
一方で、日本国内では出生直後のカンガルーケアの最中に呼吸が止まったりして、赤ちゃんが亡くなったり、重篤な後遺症を残したりする事故があり、マスメディアでも取り上げられています。
一部にはカンガルーケアと呼べないようなものまで含まれていて、一括りにできない部分もありますが、最大の問題は赤ちゃんの状態が急変した時、スタッフが誰もいない場合が多いという点です。
例えば、出産が終わって「はい、赤ちゃんですよ~」とお母さんの胸の上に赤ちゃんを乗せた後、次のお産に向かったり、他の患者さんからの呼び出しでスタッフが不在になるような状況です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、生後6時間から半日ぐらいまでは、子宮内環境から出て外の世界で自力で呼吸をして生きていくための適応過程にあり、元気に生まれてきたとしても不安定な時期です。
生後間もなくから状態が急変する先天性の疾患が隠れている場合もあります。近年は超音波検査による胎児診断が進んでいますが、見つけられる疾患はまだごく一部にとどまります。
生後早期の赤ちゃんの急変は、カンガルーケアをしなくても発生します。ケアをした場合としなかった場合の赤ちゃんの急変の可能性を調べた全国調査もありますが、確率に差がないことが明らかになっています。つまり、カンガルーケア自体が危険なのではなく、問題はスタッフの不在にあると言えます。
そもそも、カンガルーケアが本来の効果を発揮するには、お母さんが安心できる環境で行うことがとても大切です。言葉にしなくても、「スタッフみんなで見守っていますよ」というメッセージが伝わってはじめて、お母さんは心から安心してわが子を抱けるのです。逆に、スタッフも誰もいない不安な中では、形だけのものになってしまいます。
スタッフがそばにいることは、赤ちゃんの観察にとどまらず、カンガルーケア本来の意味からも必要なことで、つまり、「カンガルーケアを行ったか」よりも「信頼できる人がちゃんとそばにいたか」「赤ちゃんを観察していたか」が重要だということです。
そうしたことから、2009年、国内の有志の医師たちが、カンガルーケアガイドラインを作成しました。そこでは、家族への十分な事前説明と、機械を用いたモニタリングおよび新生児蘇生に熟練した医療者による観察など、安全性を確保した上での実施を勧めています。
しかし、医療スタッフはいつも多忙で、そこまでの対応がなかなかできないのも事実です。次回はその背景についてご紹介したいと思います。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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2016.11.18

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今日は毎年青森県内の周産期医療施設の特に助産師・看護師の皆さんが集まって母体搬送や新生児搬送の際の情報共有などに関して話し合う場となっている周産期関係者連絡会が当院で掲載され、県内各地からたくさんのスタッフの方が参加して下さいました。
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本日のメニューはこんな感じです。
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まずは尾崎センター長からは産科関連のトピックスとして、産科医師不足問題、病床数増床、助産師養成、DMATとの連携などなど多岐に渡った話題を提供して下さいました。
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新生児科の方からは池田先生が特に新生児搬送の現状とドクヘリ搬送上の注意点や、来月開催予定の青森県周生期医療研究会で発表予定の当院からの演題に関しての予告編みたいなお話しがありました。
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続いてはプログラムではグループ討議となっていますが、実際にはワークショップに移ります。
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「搬送の時、実は○○でした」と言うお題で、まず参加者全員に自分で考えられる限りの「○○」な状況を考えつくままに次々と付箋に書き出します。
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今度はそれをグループごとにみんなで分類していきます。そこでできあがった各状況に対してスタッフとしてできることをまとめていきます。
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最後は各グループからまとめた結果を発表してもらうと言うようなことを今回は試してみたようです。
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仕事の都合で最後まで参加できなかったのですが、各グループともそれぞれ色んなディスカッションを通して、お互いに施設の立場は異なりますが、一定の共通課題を見いだすのに少しでもプラスになってくれたらと思います。ご参加下さった皆さん、ありがとうございました。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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2016.11.11

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今日は院内の臨床倫理研修会に青森県立保健大学で特任教授をされている大西基喜先生をお招きして「ヘルスコミュニケーションの倫理的側面」と題してご講演いただきました。
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大西先生は医療倫理で多くの書籍にも関わっておられ、「少子超高齢社会の「幸福」と「正義」―倫理的に考える『医療の論点』」 と言う本があって個人的に持っていますが、この本でも救急車の有料化問題に関してご執筆されています。

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医療現場では日常診療から重篤な状態に至るまで、患者さんと医療者が意識するしないにかかわらず倫理的判断の繰り返しです。またどのような判断を下すかには患者・医療者関係が影響します。そうした問題を考える上でのエピソードや考え方をいくつかご紹介して下さいました。お話しは、医療における意思決定と価値観・パターナリズム、共感の大切さなど多岐に渡り内容全体をご紹介するのはとても難しそうなので、ここでは大西先生がご紹介して下さった書籍等だけご紹介します。それぞれ画像をクリックするとサイトにリンクします。

こちらは医療倫理の歴史上、有名な事例として「命は誰のためにあるのか」と言う重い問いを投げかけたダックス・コワート氏の物語です。以下、サイトからの引用です。

“1973年7月ダックス・コワート(当時25歳、独身)は、テキサス州の故郷で不動産業を営む父親と土地の下見に出かけた。その時、不幸にもプロパンガスの爆発事故に遭い、全身の約65%に大熱傷を負った。父親とともに病院に収容されたが、父親は死亡、ダックスは一命を取りとめた。治療同意書にはダックスに代わって母親がサインし、過酷な治療が始まった。しかし、ダックスは毎日のように治療の中止を望み、死にたい(Please let me die!)と訴え続けた。医師の説得や母親の意向もあり治療が続行されたが、退院時には指全部と両目を失い、無数の傷痕と、ひとりでは何もできない身体だけが残された。”

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こちらは、脊椎腫瘍によって神経系が徐々に破壊されるという死に至る病に冒された文化人類学者が自分と周囲の人々の態度変化を詳細に観察したドキュメンタリーです。自身の障害が顕在化して行くに連れ、例えば子どものように頭を撫でられたとか、使用人に馴れ馴れしく声をかけられたとかなど、そうした実体験が書かれているそうです。そして、障害者の社会復帰を妨げるのは障害そのものではなく、社会が彼らに付与する神話と誤解であるとしているのだそうです。

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こちらは医学研究者であり経済学者でもあるポール・ザック氏が、信頼という感情の科学的裏付けとして我々にも母乳育児で馴染み深いオキシトシンが深く関与していると言う書籍です。ポール・ザック氏はTEDにも登場しており、下の画像をクリックするとTEDの動画にリンクしますので、是非ご覧下さい。

(クリックするとサイトにリンクします)

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(クリックするとTEDの動画サイトへリンクします)

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こちらは医療倫理の総説で大西先生もご執筆されています。

(クリックするとサイトにリンクします)

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お話しは多岐に渡り、とても簡単にまとめられるものではありませんが、とにかく非常に勉強になった研修会でした。大西先生からはまだまだたくさんのことを教わりたいという思いを新たにしました。また是非色んなお話しをお聞きしたいと思います。大西先生、ありがとうございました。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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2016.11.10

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当院の院内広報誌である「ふれあい」で成育科のご紹介をさせていただきました。

(クリックすると拡大表示されます)

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以下、本文です。

当院では平成28年度から総合周産期母子医療センターに新たに「成育科」を新設しました。

「成育科」と言うと聞き慣れない方も多いかと思います。「成育医療」を辞書で調べると「胎児にはじまり新生児・小児・思春期を経て、次の世代を生み育てる成人世代までの一連の過程における、身体的・精神的問題を扱う医療」とあります。つまり、周産期医療に始まり、そこで救命されたお子さん達のその後の発育・発達からその先の人生への橋渡しを担う医療と言い換えることができるかと思います。

かつて本県の乳児・周産期死亡率は全国最下位クラスでしたが、近年は劇的な改善を遂げました。最大の要因は1000g未満で出生した超低出生体重児の救命率の向上で、平成25年には年間死亡例数がついにゼロとなりました。

さてその一方で、救命された超低出生体重児のお子さん達が皆さん何ごともなく育ってくれれば良いのですが、そう簡単にはいきません。生死の境をギリギリのところで救命されたお子さん達です。それは救命センターに搬送されICUで集中治療をされた成人の患者さんが、皆さん何ごともなかったかのように普通に社会復帰できるわけではないのと同じことです。全国的な予後調査でも3歳時点の発達評価で正常範囲と言えるお子さんは超低出生体重児で半分弱、出生体重が1000g以上1500g未満のお子さんでさえ2/3程度に留まります。

未熟性に限らず周産期に起因する後障害は、脳性麻痺に代表される身体障害のほか、知的障害、視覚・聴覚障害、自閉症・多動症などの発達障害に加え、近年では医療的ケアを要する小児在宅医療のお子さんも増加傾向です。障害の程度や組み合わせは様々で、その支援もまたひとりひとりの状況に応じたものである必要があります。特に就学前の療育と支援は非常に重要です。支援の先には就学があり、就学後も様々な問題を抱えるお子さんが少なくありません。

支援の第一歩として当院では臨床心理士による定期的な発達評価を行っています。その結果を元にその時々でどのような支援が必要かを検討しますが、支援のリソースは地域によってもその事情が異なります。県内各地でどのようなお子さんにどのような支援が提供可能なのか、その全体像はいまだ把握し切れていません。介護保険の枠組みであればケアマネさんの担当でしょうが、後障害を持ったお子さん達にケアマネさんはいません。ご家族が少ない情報を頼りに必要な支援を探されているのが実情です。

そもそもこの分野は小児医療の中でもこれまであまり重視されることがありませんでした。また、患者さんが必要とする支援は年齢とともに変化し続けるため、患者さんからの「声」がまとまりにくいという特徴もあります。「成育医療」の先駆けとなった国立成育医療研究センターのホームページには「私どもは子どものためのアドボカシー(advocacy:自己主張できない存在の代わりになってその存在のために行動をおこすことをアドボカシーと言います)の理念を持つことが基本と考えます。」とあります。これまでも発達外来として退院後のフォローアップはしてきましたが、患者さんの「声なき声」を代弁するという意味においてはここで新たに独立した診療科を立ち上げる必要があると考えたことが「成育科」誕生の背景です。まだまだ手探りの状態ではありますが、退院後の生活への包括的な支援体制の構築のため、関係する各諸団体との緊密な連携も目指して行きたいと考えています。

青森県立中央病院総合周産期母子医療センター
成育科 部長 網塚 貴介

(文責 成育科 網塚 貴介)

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