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成育科ブログ

2020.02.05

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昨年11月に鹿児島市で開催された第64回日本新生児成育医学会最終日に同時開催の第29回日本新生児看護学会学術集会のランチョンセミナーで「新生児のフォローアップと支援 ~超低出生体重児から医療的ケア児まで~」と題して講演させていただいた内容が、協賛のパラマウントベッドさんのホームページにまとめが掲載されましたので、そのままご紹介します。
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フォローアップのスタート~まず感染に注意を!

私は現在、NICUから退院されたお子さん達のフォローアップや支援に関わる仕事を行っています。NICUからの退院にあたっては、最初に退院後早期の感染症予防に関してお伝えしています。一般的に赤ちゃんの肺胞数は成人の1/10と言われますが、早産で生まれた赤ちゃんの肺はさらに未熟です。在宅酸素になるような重症の慢性肺疾患のお子さんでも1~2歳頃には酸素が必要なくなることが多いように、肺の成長は肺胞数の増加でもありますので、成長の過程で重篤な呼吸器感染を起こさずにいることはとても大事です。一般的な呼吸器感染の原因となるウイルスは通常飛沫感染ですので、感染予防としては接触感染対策としての手洗いが大切です。特にショッピングセンターのかごやカートなど、不特定多数の方が触れるような場所は非常に危険で、一般的な呼吸器感染の原因となるウイルスがいったん付着すると数時間にわたって感染力を有しますし、続けて触れた場所、例えば車のハンドルなどにも次から次へと伝播されて行きます。こうした、接触感染対策にはアルコールによる手指衛生が有効で、こうした感染症の伝播方式と感染予防の基本をまずお伝えしています。
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一方で、「わが子を感染から守らなければ!」と神経質になりすぎてしまう怖れもあります。ですので、ある程度時間的な区切りも必要で、このお話をする際には「100日が一つの区切りになる」とお伝えしています。我が国では古来より「百日祝い」としてのお食い初めは現代の一般家庭でも行われますが、この「100日」という区切りは実はかつて乳児死亡率が高かった昔の時代から「ここまで育ってくればある程度は安心」と考えられていた名残なのではないかと考えています。この100日と言う区切りは、これは現代であっても例えば、夜間に発熱で救急外来を受診したとき、生後2~3ヶ月の赤ちゃんが高熱を出して受診したのと、5~6ヶ月になってかなり丸々と太ってから受診したのとでは、救急外来での対応が違うことは日常診療でもよく経験します。また、逆に、近くの公園等への外出に関してご相談を受けることもよくあります。NICUから退院して、授乳などの生活リズムがある程度整ってくれば、お天気のよい日にはお散歩することは問題なく、むしろ好ましいとお伝えしています。感染リスクになるのはあくまで人や人混みであって、決して天気のよい公園をお散歩中に何かのウイルスが宙を舞って飛んでくるわけではないこともお伝えしています。
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退院後のフォローアップ~1歳頃まで

さて、本題の退院後のフォローアップのお話に入りたいと思います。NICU退院後フォローアップでは、基本的に発育・発達は早産児の場合には月齢で評価し、唯一の例外は予防接種で、これだけが満月齢での実施となります。退院後まもなくの時期は、まずは体重増加や赤ちゃんの哺乳量、そしてお母さんの精神状態などが中心となります。

体重増加と言うとよく「生後早期の体重増加は30g/日必要」と言われますが、この値自体にこだわる必要はないと思います。特に、早産児でも在胎週数よりも小さく生まれたSGA(Small for Gestational Age)児の場合では、お母さんが「体重がなかなか増えなくて」と心配そうに訴えてきたものの、赤ちゃんを見てみるとほっぺたがぷっくり……ということも少なくありません。こうした時には、母子手帳の発育曲線をお見せしながら、同じ体重でも身長が低ければ体重が増えないのはある程度仕方がないこと、栄養自体がそれなりに摂取されていれば心配ないことをご説明しています。

細かな運動発達のチェックの詳細はここでは割愛しますが、いわゆる定型発達との比較で、仮に遅れがあった場合にはどの程度の遅れなのかを意識しながら診ていきます。

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退院後のフォローアップ~満3歳頃まで

客観的な発達評価の必要性は1歳半ごろから高まります。1歳半ごろには発語や歩行状態を確認し、2歳ごろからは新版K式発達検査による客観評価を行っています。NICU退院前には今は必ず聴力のスクリーニング検査が行われますが、この検査で両側PASSしていたとしても、これはあくまでスクリーニング検査であって精度は100%ではありませんので、発語の遅れが明らかな場合には一度、耳鼻科による専門的な聴力評価が必要です。また、2歳も過ぎて言葉の遅れがある場合には療育も必要になりますが、そのリソースに関しては地域差もあるかと思います。まずは、その地域で可能な範囲での支援が届くよう務めたり、遅れが軽度で集団生活がまだ始まっていないお子さんの場合にはまずは保育園への入園を勧めたりもしています。

ただ、保育園に入園して集団生活がはじまると、慢性の滲出性中耳炎に罹患するお子さんがけっこういます。かなり昔の患者さんで、1歳半時点で発語が遅いなと思っていたら、実は滲出性中耳炎に気づくタイミングが遅れたことで中程度の難聴となり、その後も言葉の遅れに悩まされたお子さんを経験したこともあり、いつもご家族には「未熟児・保育園・中耳炎」とお伝えし、症状がある場合の耳鼻科受診をお勧めしています。

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保育園へ入園すると感染症罹患リスクを避けることはなかなか困難です。最近はほとんどのお母さんが働いており、中には育休が十分に取れずにNICU退院からまもなくの保育園入園・職場復帰を希望される方がいらっしゃいます。NICU退院後早期の保育園入園に関しては、これは非常に複雑な問題を含んでいます。それぞれのご家庭における経済状態や職場におけるお母さん達の立場は、これはまさに千差万別です。「早く仕事に戻らないとクビになってしまう」と言う不安定な立場の方もいれば、「私が戻らないと職場が回らなくて周りに迷惑をかけてしまう」と言う立場のお母さんもいます。1歳から1歳半も過ぎれば集団生活が発達に対する刺激も期待できますので、むしろお勧めしているぐらいですが、問題は乳児期早期の場合です。乳児期早期に感染症に罹患すると重症化する場合もかなりあります。例えば、呼吸器感染が重症化して入院してしまうと、大抵の病院では親の付き添いを求められますので、そこで仕事に穴を空けることになっても大丈夫なのかをお聞きしています。過去の患者さんのお母さんでも、せっかく子どもを入園させて職場復帰しても、「入院に付き添うため頻繁に仕事を休むことになり、退職せざるを得なかった」というお母さん達を何人もみています。無理に仕事に復帰しても、そんなことになれば元も子もありませんので、まずは職場の方とも十分にご相談されるように話しています。

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子どもにとっての時間の大切さ

3歳からは視覚認知機能に注意するようにしています。特に、新版K式発達検査の認知・適応の項目が相対的に低値の場合には視覚認知機能が低いことを疑い、眼科による視力評価をお勧めします。その上で、視力に問題がない場合には、療育センターで作業療法をお願いするか、もしくは青森市の場合であれば県立盲学校にあるロービジョンセンターへ相談に行ってみるなどをお勧めします。特に、注意したいのがPVL(脳室周囲白質軟化症)です。「PVL=下肢の麻痺」というイメージが強いですが、視覚認知に問題が生じたり、目と手の協応が弱く手先が不器用になったりすることがよくあります。PVL児に限らず。そもそも脳は、眼から情報が入ることで発達が促される器官です。脳の発達という観点からも、両方の眼からクリアな視覚情報が入力されることは極めて重要なポイントである一方で、早産児は屈折異常の率が高いですので、眼鏡が必要なのであればできるだけ早く眼鏡をかけ、必要に応じて訓練を受けてもらうことが大切です。

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発達全般に言えることですが、それぞれの発達には獲得できる期限があります。例えば、新生児期に聴覚スクリーニング検査を行いますが、これは3歳健診とかで「言葉の発達が遅いかもしれない」と指摘され、それから訓練し始めても十分な言語機能を獲得するにはもう遅いからです。「食べる」という機能の習得期間は想像以上に短く、離乳食の進み具合については注意深く聴き取り、必要に応じてしかるべき訓練を行うことが大切です。さきほどお話しした視覚認知機能も、最も伸びるのは未就学の時期と言われています。退院後の発達評価を行っても、その結果に応じた示唆がなければ意味がありません。発達の外来で、何の対策もなく「とりあえず様子を見ましょう」と伝えるのはNGと考えています。発達のフォローアップでは、客観的な評価を元にして、その時点でその子に何が必要なのかを常に考え、課題があれば時機を逸することなく適切な支援に結びつけることが最も重要であると考えています。

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最大の難関!~就学

4歳からは就学を意識して行く必要があります。極低出生体重児で早生まれのお子さんの予定日はたいてい4月以降ですので、早産によって「飛び級」することになります。発達評価のための知能検査も、早生まれのお子さんの場合、満6歳になった頃には、もう小学校も決まっていますので、教育委員会での検査を受ける必要があるかどうかの判断は、1年前倒しで行う必要があります。こうした就学のタイミングも考慮しつつ、どのように検査を進めていくのか事前にお伝えしておく必要があります。

就学においては、通常学級を希望するのか、特別支援学級を選ぶのかという問題もあります。入学時には通常学級で大丈夫だと思われた子どもが、小学校2年生以降に学習面で困難を抱えるケースは少なくありません。問題が発生した時点で適切な評価を受け、学級間の移動を早めに検討する必要があるでしょう。未就学の時期に適切な療育を受けられた子どもの保護者は、特別支援学級に対する抵抗をそれほど感じずに就学先を選べる傾向があるようですので、適切な時期に適切な療育を受けることは、子どもの進路選択にも影響を与えると感じています。

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NICUが困難を乗り越える「絆」を作る場に

これまでお話ししてきたように、NICUから退院したお子さんと言っても、その経過は本当に千差万別です。その過程では、例えばですが、すごく小さく産まれて、NICUから退院した頃はかなり心配していたけど、1歳半になって少しはお話しできるようになり、満3歳の新版K式発達検査でも合格点を取って少し安心していたら、その後に発達障害と診断されたとか、その逆に、退院して順調と思っていたら1歳半になっても発語がなくて、その後も言葉がずっと遅れ気味で心配していたけど、就学の頃には追いついてきたとか、保護者の方からすれば、病院で行う発達検査結果や診断を聞く度に一喜一憂して、悪い結果の時には落ち込むと言うことを繰り返される方がたくさんいらっしゃいます。

NICUにお子さんが入院したとき、緊急搬送され不安や緊張が著しい状態でお産に入るなど想定とは違った出産を経験した母親は「急な展開に心が追い付かない」状態になりがちです。出産後に母子分離され、赤ちゃんを産んだ実感が持てなかったり、強い自責の念に駆られたりする人も少なくありません。思い描いていた出産・育児像が崩れ落ちる経験をされた方は、立ち直ったように見えても、その後の子どもの経過によっては何度も同じような喪失体験を繰り返されます。しかし、こうした心理状況から再起を繰り返していく中で次第に「強さ(レジリエンス)」を獲得して行くことが多いようにも思います。

今回、鹿児島市で開催された日本新生児成育学会のテーマは「Intact Survival」で、この言葉はこれまで新生児医療に関わる全ての者にとっての合い言葉のようなものなのではないかと思います。しかし、退院後の支援をしていく中で、何が「Intact Survival」で何が「Intact Survival」ではないのかの線引きが困難になっているような気がしています。脳室内出血やPVLがなければIntact Survivalなのか?1歳半ぐらいで立って歩いて喋ることができればIntact Survivalなのか?満3歳の新版K式発達検査でDQ85以上あればIntact Survivalなのか?もはや、従来の「Intact Survival=健常児」と「障害児」は分離が困難であり、両者には「連続性」があるのではないか?そんな気がしています。

NICUから赤ちゃんが退院するとき、その子が「Intact Survival」で育つかどうかは退院時点だから分からないだけで、だけどその時点で実は決まっていると思ってはいないでしょうか?けれども、どんな子どもだって実際に育ってみなければどんな風に育つのか分からないように、「Intact Survival」だって育てられた成長の結果としてはじめて実現されるものなのではないかと考えています。

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NICUからの退院は、その後の長い人生のスタートです。その先には山あり谷あり、成長の過程では思い通りにならないことも数知れません。退院後に立ちはだかる「壁」に幾度もぶつかり、時には挫けそうになってもそれを乗り越え、Intact Survivalを目指すための家族の「絆」を作り上げる場こそNICUなのではないかと思います。そんな家族が育つためのNICUを皆さんには作り上げてほしいと心から願っています。

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なお、少し先になりますが、2020年5月23~24日に「第45回ハイリスク児フォローアップ研究会in青森」を開催予定です。ご興味のある方は是非、青森までお越し下さい。

(画像をクリックすると第45回ハイリスク児フォローアップ研究会 in 青森 のご案内へリンクします。)

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(文責 成育科 網塚 貴介)

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2020.01.05

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毎週日曜日の朝6時半から放送されているATV『テレビ診察室』に1月12日(日)、1月19日(日)の2回に渡って医療的ケア児に関してお話しさせていただく予定となりました。前回2015年に少子化に関してお話させていただいて以来、4年ぶりになります。
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年明けのATV『テレビ診察室』では、この翌々週の2月2日(日)から2週続けて佐藤 秀平先生が喫煙と女性の健康や妊娠・出産に関して、さらにその翌週の2月16日(日)には齋藤 美貴先生が母乳育児と産科救急に関して、こちらも2週続けて出演の予定となっています。

こちらは番組冒頭でリポーターの千葉美佳さんが「皆さん、おはようございます」から始まるオープニングの撮影の様子を撮らせていただきました。
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今回はちょっと早口になってしまったかも知れません。ご興味のある方は是非ご覧下さい。
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(文責 成育科 網塚 貴介)

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2019.12.24

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11月23日(土)の船戸先生による生命倫理のご講演の前座的にあおもり母乳の会学習会で「少子化対策に欠けていた視点とその処方箋」と題してお話しさせていただきました。この内容は6月のあきた母乳育児をささえる会学習会で2時間ほどお話しさせていただいた内容を半分ぐらいに圧縮した感じになりました。

今日、出生数86万人に急減、初の90万人割れ 19年推計と言うニュースが飛び込んできたところでもありますので、そろそろここで先日の内容をまとめてアップしておきたいと思います。まずは当日のスライドの抜粋を一気にアップしてしまいます。きっと過去最多の枚数かと思います。

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まずは日本の総出生数と合計特殊出生率の推移から。このグラフが将来予測をする上での全ての「鍵」となります。
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合計特殊出生率は「加速度」みたいなもので、夫婦2人で子どもが2名でほぼ人口が均衡する水準である人口置換水準を大幅に割り込む状態が続くと、出生数減少・総人口の減少もどんどん勢いが増していくことになります。
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次に少子化進行の社会的・経済的背景に関して少しまとめてみました。
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本来であれば第3次ベビーブームの親世代となるはずだった団塊ジュニアからそれに続く就職氷河期と、この世代はおそらくは子育て以前に家庭を持つどころではなかった人たちがかなりの割合に上ったと言うことなのでしょう。
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日本は女性の労働力率がM字型であることが知られていますが、この「鍋の底」が近年どんどん浅くなっており、これが「女性の社会進出」と捉えられているようです。
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しかし、その内実を雇用形態で分けてみると、M字カーブの「鍋の底」を浅くしているのは出産を過ぎてからの非正規雇用の増加によって支えられていることが分かります。一方、正規雇用は一括雇用の段階でいったん上昇しますが、その後は下降線にあり、これは妊娠・出産・子育て期を経て、どんどん正規雇用から脱落している結果を見ているのだと思います。
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次に、育児と仕事の両立で立ちはだかる壁に関して。
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医療的ケア児は近年どんどん増加中で、そのお母さん達が仕事を続けるのが困難な様子は日常的に目にしています。
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以前、地元紙である東奥日報で連載をしていた頃、「東奥日報連載14回目 子の障がいと母の就労」と言うタイトルで紹介したことがあります。
「この子を育てながら私は働き続けることができるのでしょうか?」
この問いに答えることができずして少子化問題を語ることはできないのではないかと思います。
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入院すると親の付き添いを余儀なくされる場面は多々あります。必要な部分はあるとしても、長期入院の場合など、親への負担があまりにも過度な場合も多々あります。なにより、親の付き添いが「なかったこと」になっていること自体が問題と考えています。
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保育園問題もなかなか難しい問題です。早産児など、NICUから退院して間もないようなお子さんを保育園に預けたいと相談されることは度々あります。
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一方、子どものことで仕事が継続できず退職してしまった場合の試算がこちらになります。母親が仕事を続けられないことは、今の共働き時代では世帯としての経済問題となってしまいますし、これがシングルマザーでは一気に貧困問題にまで陥ってしまいます。
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以上をまとめると、結局のところ、子どもが増えない最大の原因は子育て世代を取り巻く「不安定さ」になるように考えています。
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そして、少子化対策していると言いながら、実のところは子どものことで困っていても全然助けてくれないと言うのが少子化が止まらない最大の原因なのではないかと考えています。
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結局のところ、現代の日本社会で子どもを持とうとすると、それはリスクになってしまっていて、言い方を変えると、少子化の進行とは子育て世代による人生のリスクマネジメントの結果なのではないかと考えています。
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ここで少し日本における雇用環境に関してまとめておきます。
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日本の雇用形態は主にメンバーシップ型雇用が多いと言われています。
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しかし、この雇用形態で子育て中の女性が同じトラックで競争しようとすると、もはや女性の方は障害物競走みたいになってしまっているので、これはやる気もなくなるのは当然でしょう。
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空間的・時間的に無制限もしくはプライベートを排除して働けることを「能力」に置き換えて評価される社会であるがゆえに、子育て中の女性は本来の能力を問われることなくその競争からどんどん退場させられ、結果として男性中心の片肺飛行になっているのがこれまでの日本社会と言えるのではないかと思います。
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かくして、様々な女性のキャリアは、今話題の「食品ロス」さながらに無駄に棄てられてしまっていると言うように言えるのではないでしょうか?
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昔から「銃後の守り」という言葉があります。一家の中に家庭を守る存在(=かつての専業主婦)がいてこそ、夫はこれもかつての高度成長期に「24時間働けますか?」とばかりにモーレツ社員として働いていた時代がありましたが、とっくの昔に共働き世代が逆転してしまっている今、夫も妻も一緒に同じように働くことにはそもそも無理があるように思います。
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本来であれば、人が生きて行く中での生老病死には必ず「ケア」が必要となります。男女問わず、この総量はリスクも含めれば全ての人がスタート時点では同じのはずです。この「ケア」に対するコストがこれまでの経済政策の中でパラメータとして見積もられなかったことこそが、経済成長を目指しながら、結果として少子化から経済縮小を余儀なくされる未来を迎えることになってしまった原因なのではないかと思います。
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以上を一言で言ってしまうとこんな感じになるかと思います。
「男は仕事、女は家庭」
「子どもは家族の責任で育てる」
言えば言うほど子どもも人口も減っていく!
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ただ、そうは言うものの「子どもの権利」はやはり最優先に考える必要があります。
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そう言いながら、入院中の看護体制とか保育園の基準とか、その辺はまるで無頓着なところもあったりします。これもまた「子どもは親が育てるもの」と言う哲学が諸制度の根底に流れているからなのでしょう。
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それではこれからどのようにしていけばいいのでしょうか?
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その大前提となるのが「子どもを社会で育てる」と言う考え方に変えていくと言うことに尽きるように思います。「子どもを社会で育てる」とは以下の3つあるように思います。
1)子育てで母親や家族を困らせない仕組み作り
2)育児を母親だけに押しつけない社会の仕組み作り
3)子育て上で生じた不利益を親に負わせないルール作り
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1)の母親や家族を困らせない仕組み作りのためには、まず考え方として、子どもを持てばそれは当然いろんなことが起こりうるわけなので、子育てにおいては誰もがある日突然弱者になり得ると言うこと、を前提とする必要があると思います。その前提の上で、「誰も子どものことで困らせない」仕組み、それはきっと究極的には「保険」のような仕組みが必要なのではないかと考えています。
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育児を母親だけに押しつけないためには、父親が家庭で戦力となる必要があります。これは、一つの考え方として、例えば、病院は看護師さんなど女性が働く最たる場ではないかと思いますし、医師の世界で言えば、小児科・産婦人科などは近年女性医師がどんどん増えています。ここで、夫が企業勤務、妻が看護師とします。夫は長時間労働で家庭のことをする暇もなく日々仕事に明け暮れる、方や妻の看護師は家事育児の負担をせざるを得ない。ここで個別ではなくマクロの視点に立ってみると、組織として社員に長時間労働をさせている企業は、産休・育休を取得する職員がたくさんいる組織に比べて、子育てに関する負担が組織単位で少なくて済むことになってしまいます。しかし、「子どもを社会で育てる」と言う考え方に立てば、長時間労働をさせている企業は社会全体に対して子育て負担と言う点で「ただ乗り(フリーライド)」していると言えるかと思います。こうした考え方を、例えば税制などに取り入れたりすることで、結果として男女が等しく働けるようになる社会が形成されるのではないかと期待しています。
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さらに、子育てしていく上でどうしても親でなければならない局面h当然あるはずなので、その時には、仮にそこで休んでも子育てに関する休職に関して不利益を与えない仕組みと言うのも今後検討されるべき課題なのではないかと考えています。
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そして、部下が妊娠したけどどうしよう、ではなく、素直に皆で心から祝福できる社会こそが正常な姿なのではないかと思います。
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(文責 成育科 網塚 貴介)

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2019.12.15

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12月12日(木)には山梨周産期医療懇話会で山梨県立中央病院にお招きいただきました。実は山梨県は人生初上陸でした。2014年に信州フォーラムの帰りに大雪に見舞われ、長野県の大町市から車で東京を目指して遭難しかけたことを書きましたが(2014年2月 信州フォーラム旅日記 番外編)、その時に到達できなかったのが山梨県でした。
甲府に向かう特急の車中から富士山山頂のあたりが顔をのぞかせていました。もうほぼ夕暮れでしたので山頂部分だけほのかに赤みが差していました。
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今回お招きいただいたのは山梨県立中央病院の内藤先生で、今年6月に自治医科大学で開催されたハイリスク児フォローアップ研究会で、たまたま同じグループになったのがご縁で意気投合して今回のお話となりました。
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今回は「新生児医療のその後を支える」と題してお話しさせていただきました。
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最初に青森県の周産期医療のこれまでをご紹介した上で、超低出生体重児のほとんどが救命されるようになって一方で、様々な後遺症を持ったり、後遺症と言えるかは別として様々な支援を要するお子さんがたくさんいる中で、それは医療的ケア児も含めて、どのように支えて行くのかをあれこれお話しさせていただきました。

特に最近、思うのが「Intact Survival」とは?と言う点です。
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今回の鹿児島の学会のメインテーマも「Intact Survival」で、この言葉はこれまで新生児医療に関わる全ての者にとっての合い言葉のようなものなのではないかと思います。しかし、退院後の支援をしていく中で、何が「Intact Survival」で何が「Intact Survival」ではないのかの線引きがもはや困難になっているような気がしています。
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私たちは「Intact Survivalか否か?」を心のどこかで切り分けようとしていたのではないか?そんな気がしてきています。
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脳室内出血やPVLがなければIntact Survivalなのか?1歳半ぐらいで立って歩いて喋ることができればIntact Survivalなのか?満3歳の新版k式発達検査でDQ85以上あればIntact Survivalなのか?そんなことを自問自答してきました。
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そこで辿り着いてのが、従来の「Intact Survival=健常児」と「障害児」は分離が困難であり、両者には「連続性」があるのではないか?「Intact Survival」は成長の結果としてはじめて実現されるものであり、「Intact Survival」の実現には「適切な時期」に「適切な環境(療育・支援)」が必要だと言うことを述べさせていただきました。
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そして、このことを足がかりにして、医療的ケア児支援まで考えを拡げると、医療的ケア児支援こそがおそらくはNICU退院児支援の最難題であり、その支援体制構築が、おそらくはその他のお子さん達への支援にもつながるのではないかと言うのが最近考えています。本当はこの間に医療的ケア児支援構築のための家庭がごっそりあるのですが、これはまた別の機会にご紹介したいと思います。
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懇話会が終わり、山梨県立中央病院を後にします。
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懇親会での集合写真。手に持っているのは、今回記念にいただいた甲府の伝統工芸である「印伝」による名刺入れです。
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とても高級な革細工で、これまで持っていたアルミケースの名刺入れとは比較になりません(^^;)
実は、ホテルがこの印伝の本店と近かったので、早速お財布も買ってきました。こちらは根本先生の名刺入れとおそろいの柄にしました。
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翌朝はその後に武田信玄ゆかりの武田神社にお参りしてきました。
内藤先生、根本先生、山梨県の皆さん、ありがとうございました。
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(文責 成育科 網塚 貴介)

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2019.11.30

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11月の最終週は日本新生児成育医学会で鹿児島に行ってきいました。
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会場は2014年に講演のため、今回の学会長である鹿児島市立病院の茨先生にお招きいただいた際に宿泊した城山観光ホテルです。
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学会もいろいろありますが、中でもこの学会が一番忙しく、今回もあれこれたくさんミッションを抱えての参加です。まず初日は医療安全委員会主催のシンポジウムの座長から。
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最初は東京女子医科大学東医療センターの長谷川久弥先生からNICUにおける母乳の取り違い防止システムに関してのご発表です。母乳は赤ちゃんにとっては栄養ですが、一方で体液でもあるため、別のお母さんの母乳が与えられることは感染症のリスクとなってしまいます。母乳の取り違い防止システムは、まだ大手電子カルテでは標準装備されていないシステムなので、各施設でNICU部門システムを導入して対処している施設が増えてきているようです。おそらく国内で最初にこの母乳の取り違い防止システムを導入したのが当院で、各所で発表したのを聞きつけて以前はかなり多くの企業の方も見学されていました。しかし、今回の長谷川先生のご発表をお聞きしていると、そろそろ追い抜かされてきているのかな?とも感じた非常に先進的な取り組みでした。
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参考:第31回日本母乳哺育学会in盛岡 その2

続いて、国立病院機構九州医療センターの佐藤和夫先生からはNICUでのスマホ使用―医用電子機器への影響とマナーの問題と題して、倉敷中央病院の渡部晋一先生からは人工呼吸器回路など純正ではない器材を使用した際の注意点に関してお話いただきました。
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会場を歩いていると、こどもかぞくまんなかのブースがありました。毎回、学会の度にブース出展され活動されていますが、今回は学会場のメイン通りに面していました。
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夕方からはハイリスク児フォローアップ研究会に参加してきました。来年5月に青森市でハイリスク児フォローアップ研究会を開催する予定もあり、そのアナウンスもさせていただきました。
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続いて新生児医療連絡会へ。今回は成田赤十字病院の戸石先生が今年の台風での千葉県の被害に関して、訓練と実際の違いに関してお話しして下さいました。
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翌朝は、こちらも毎回学会の時に恒例となっている新生児医療フォーラムの管理人会です。打ち合わせ後に桜島をバックに集合写真と思いましたが、ちょっと逆光が強かったようです。
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この日の午後からはポスター発表でした。タイトルは「新生児科医師の勤務状況と医師育成・供給に関 する調査―働き方改革対策の観点からの再考察」です。本学会の診療委員会で以前、全国の新生児科医を対象に勤務時間や当直回数のアンケート調査を行ったのですが、昨今の働き方改革を動きを踏まえて再検討したのが今回の発表です。結果から言えば、全国の新生児科医師は現在の医師数に加えて76.2%の増員が必要との結論になりました。

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2日目の夕方は、鹿児島県内の今給黎総合病院が新しくなるのに伴ってファミリーセンタードケアを重視したNICU設計の展示があったので見てきました。
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非常に正確に手作りされた模型で目を見張ります。
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近くによって写真を撮るとミニチュアとは思えない精度です。
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それでも後ろに立っている人と比較すると大きさの違いが分かります。開院はまだ先のようで、今回の学会には間に合いませんでしたが、とても楽しみな施設だと思います。
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学会と言えば、朝も早いですが夜の部も。初日の夜は新生児医療連絡会主催の懇親会へ。全国の気の知れた先生方との語らいもまた学会の大きな楽しみのひとつです。懇親会もそろそろお開きと言うことで事務局長の大木先生がお開きの合図をして、最後に早川先生が万歳の音頭を取るところです。
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2日目の夜は札幌医大の後輩の先生達とご一緒に。
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最終日はお昼にランチョンセミナーがあり「新生児のフォローアップと支援 ~超低出生体重児から医療的ケア児まで~」と題してお話しさせていただきました。
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ランチョンセミナーも終えて一息ついたところで桜島の方を見るとようやくくっきり見えました。
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と思っていたのもつかの間、急いで帰路に就きました。毎度ですが怒濤の3日間でした。
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(文責 成育科 網塚 貴介)

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