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成育科ブログ

2015.09.03

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ステファニー (Custom)
先日、ステファニーの修理と部品要求提供を今月末で終了するとのお知らせがアトムメディカルさんからとどきました。とうとう来るべき時が来てしまったか!と言う思いです。
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ステファニーは新生児に対する比例補助換気(proportional assist ventilation;PAV)が可能な唯一の人工呼吸器としてドイツのステファン社で開発され、日本では2002 年10 月からアトムメディカルさんから販売が開始されました。PAVをはじめ、それを支える独自のバックアップ換気機構を備え,さらにHFOや呼吸機能計測も可能であるなど非常にポテンシャルの高い人工呼吸器で、当院の超低出生体重児の長期呼吸管理のほとんどは本機のPAVモードに依存していると言っても過言ではありません。

しかし、開始時にシステムチェックを要する、独自の加温加湿器を有する、回路内の凝結水に弱いなど、本機の使用に慣れないユーザーにとっては使用に際してハードルが高いという一面もあり、わが国では2009 年1 月に販売が終了してしまいました。PAVという、HFOに次ぐ新たな呼吸管理分野を形成し得る可能性を秘めた機種であっただけに国内販売終了は非常に残念な気持ちで一杯でした。

グローバルでは、お隣の韓国も含めて、既に現在我々が使用しているバージョンよりも新しいモデルが使用されており、それらでは上記の欠点のいくつかは改善されています。結果として、日本だけが新生児の人工呼吸管理分野において、PAVの導入では遅れをとってしまったことになります。

PAVの良さは、これは実際に使った経験のない人には恐らく理解できないのではないかと思います。一見、普通の陽圧換気に見えますが、通常のSIMVなどと比較するとはるかに低い最大吸気圧で十分な酸素化を得ることができます。PAVでは比較的CO2が高値になりやすい傾向がありますが、見方を変えると十分な酸素化を維持しながらも容易にPermissive Hypercapniaを実現できる換気モードとも言えます。CLDがあってもPAVにのせておくだけでそのうち良くなってしまいます。

これまでどれだけの赤ちゃんの肺を良くしてきてくれたか!本当に感謝しかありません。今後もステファニーは動く限りは使い続けますが、修理不能となってしまえば、次に故障すれば、それは即引退を意味します。すっかり「おばあちゃん」になってしまったステファニーですが、なんとか少しでも長生きして欲しいと願うばかりです。

2015.02.22

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今回の信州フォーラムではポスターセッションで「閉鎖式吸引カテーテルアダプタ一体型EtCO2アダプタの開発」と題して発表させていただきました。これは、今から遡ること約3年。EtCO2の測定には現在のようにいくらセンサーを小型化しても死腔量の軽減には限界があると感じており、それならば閉鎖式吸引カテーテルのアダプタ部分と一体化してしまえば大幅に死腔量が軽減できるのではないか?、そして最も患者さんに近い場所での計測が最も正確な呼気終末のEtCO2値となるのではないかと考え、日本光電の担当の方にかなりご無理を言って一体型のアダプタを開発していただきました。ただ、実際の患者さんでの測定は当院のような市中病院では難しいことから、札幌医科大学の小林正樹先生にお願いして倫理委員会でのご承認をいただいた上で臨床データを取っていただきました。
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総死腔量では従来型と比較して約1/3程度の改善に過ぎませんが、実際にセンサーを取り付ける計測部分までの死腔量として比較すると従来よりも約7割ほど死腔量を削減することが可能となりました。EtCO2の計測部位は挿管チューブとの接続部の直上に位置していますので、これ以上近くで計測するのは不可能です。これまで計測しきれなかった非常に体重の小さな赤ちゃん達で、しかも経皮CO2モニターを貼るのも憚られるほど皮膚が脆弱な時期にはかなりの威力を発揮するのではないかと期待しています。
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実際の販売までは多くのハードルがありますが、なんとか臨床現場で使用できるところまで行ってくれればと願っているところです。写真はポスターセッション終了後に日本光電の担当の方達と一緒に。
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2015.01.31

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Babylog8000は新生児用人工呼吸器として1989年に開発され、日本国内のNICUでも広く使われている代表機種です。1997年には現行のBabylog8000plusとしてバージョンアップされ、当院でも2台が現役です。

(ドレーゲルのWebサイトより引用、クリックするとドレーゲルのサイトへリンクします)

(ドレーゲルのWebサイトより引用、クリックするとドレーゲルのサイトへリンクします)

当院のBabylog8000plusは、実はかなり歴史が古く、写真には「4東未 8.9.13」とありますが、これは2008年ではなく平成8年、つまり1996年に購入されたもので、20年近いベテラン選手です。私が当院に赴任したのが2000年、NICU開設が2001年で、このNICU開設の際、当院のBabylog8000を現行のBabylog8000plusへバージョンアップして現在も使用しています。
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実はこのBabylog8000には浅からぬ因縁があります。まだ青森に赴任するとは夢にも思っていない頃、当時当院に勤務していた先生から突然電話がありました。「今度、新生児用の人工呼吸器を購入する予算が下りたのですが、何かお勧めの機種はありますか?」と言うものでした。当時の青森県知事であった木村守男知事が、当院の未熟児室を見学して下さった際、「県として何かできることはありませんか?」とたずねられ、急きょ予算が下りたのだそうです。

Babylog8000は当時の最先端の人工呼吸器ではありましたが、操作には階層が深めで、また旧バージョンはチューブリークのアラームがうるさくて看護師さんには不人気な機種でした。しかし、トリガー感度は非常に鋭敏で、グラフィックも搭載すると呼吸管理の勉強にも有用であり、何より自分自身がこの呼吸器で勉強したこともあって、迷わずBabylog8000をお勧めしました。

この電話をもらった時にはまさか自分が青森で働いて、この人工呼吸器を自分で使うことになるとは夢にも思っていませんでした。それから4年ほどして急きょ青森に赴任することとなり、以降、かれこれ15年近く苦楽をともに過ごしてきた愛機となっています。

人工呼吸器では、よくバージョンアップによって大化けする機種が時々ありますが、この機種もその一つです。Babylog8000はBabylog8000plusへのバージョンアップに際して、それまで最大の弱点だったチューブリークの補正機能が大幅にアップし、その後に登場した新型機種の追随を長きに渡って許しませんでした。結局、この機種を上回るリーク補正機能を持った機種は、後継機であるBabylogVN500まで現れませんでした。

Babylog8000plusを最初に使ったのは、前任地の北海道立小児総合保健センターの時でした。超低出生体重児のCLDⅢ型でどうにもならないほど機種が増大してしまった患者さんをなんとかしようと、Babylog8000plusをお借りしてPSVを試した時の効果は今でも忘れられません。

Babylog8000plusは今でも超低出生体重児の入院時には第一選択の人工呼吸器で、これは第一にPEEPが0.1cmH2O刻みで設定できること、基本モードがリーク補正機能も含めて極めて正確であることが、その最大の理由です。急性期の超低出生体重児は鎮静されていることが多く、それほど多くの機能は必要としません。むしろ安定的かつ正確に作動してくれることが第一優先ですので、その意味では後継機のVN500より優れているかも知れません。

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長年連れ添ったBabylog8000plusですがそろそろ20年にもなりますし、後継機にその座を譲る日も近いのかも知れません。Babylog8000の登場が1989年、私の卒業も1988年とほぼ同期です。「Babylog8000とともに始まり、Babylog8000とともに終わるのかな」と、この20数年間を思い返しながら、その思いを書き留めておきたいと思います。

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2014.12.22

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周産期医学12月号 の特集は「最新版 新生児呼吸管理」で「呼吸管理の実際 VGとMMV」について執筆させていただきました。
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これまで、このホームページでも新生児の人工呼吸管理に関してはあれこれ書いてきましたが、中でも今回の内容は 「早産児の人工呼吸管理Part6」 「第50回日本周産期・新生児学会~ステファニー編」 の中でご紹介させていただいた内容をブラッシュアップしたものになっています。

VGは患者の呼吸努力と人工呼吸器から供給される圧との関係でみると、呼吸努力に比例した圧を供給するPAVやNAVAとちょうど真逆の動きをする換気モードと言えます。PAV・NAVAは呼吸努力が乏しくなる時に弱点があり、VGはその逆に呼吸努力が強すぎる時に弱点があります。
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こうした観点からMMVを捉え直すと、MMVは呼吸努力に乏しい時にはVGで作動し自発呼吸が十分ある時には通常のPSVになるので、その意味ではMMVはVGの弱点を補う呼吸モードと言うことができます。
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一方、最新型のステファニー(現在、日本国内では販売されていません)では、minimumVGと言う機能があって、自発呼吸が乏しい場合に最低限の換気量を補償してくれます。このように一口にVGと言っても、実はその先の進化型が既に世の中に出回っていると言う見方ができるのではないかと考えています。
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2014.11.26

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昨日、新型の小児・新生児用人工呼吸器ファビアン( エァ・ウォーター株式会社)のデモ器を見せていただくことができました。
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この人工呼吸器は、少し前にフジテレビで放送されていた「 若者たち2014 」にも登場していました。
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最新型ではありますが、どちらかと言うとハイエンドモデルと言うよりも従来機の「良いとこ取り」みたいな位置づけの機種のようです。色々ご説明を受けて、当初は正直なところあまり目新しさを感じなかったのですが、説明が終わった後も根掘り葉掘り細かいところまでお聞きしていると、実はこれまで待ちに待っていた機能が搭載されていることが分かりました。

CPAP+PSVと言うモードがあるのですが、このモードでは他の人工呼吸器と同様に無呼吸時間を設定して一定の無呼吸時間を経過するとバックアップ換気が働きます。これだけだと特に目新しさはなく、また無呼吸バックアップと言うのは赤ちゃんが「呼吸しているか?していないのか?」を正確に判断するにはある程度限界があって、特にPSVとの併用ではトリガー感度を鋭敏にすればするほど、無呼吸検知としては鈍くなると言うジレンマに陥ってしまいます。この辺のことは以前、 早産児の人工呼吸管理Part5 でかなり詳しく解説していますので、ご興味のある方はご覧いただければと思います。

以前もご紹介したのですが、SLE5000のPSVは「トリガーした時にはターミネーションによって吸気時間は可変、トリガーしなかった時には最大吸気時間を守る」と言う動きをするので、無呼吸時には比較的長い吸気時間によって肺のリクルートメント効果が期待でき、この点で非常に使いやすいと考えています。
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早産児が自発呼吸を維持するには機能的残気量の維持が重要な位置を占めます。このため無呼吸時に適切な肺リクルートメントをすることのできる機能がとても重要と考えています。
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この点でファビアンの場合、無呼吸時間の設定をオフにすると無呼吸時間が自動的にバックアップ換気回数の呼気時間に設定される、つまり、SLE5000と同じように自発呼吸をトリガーしなかった場合にはバックアップ換気回数を守りながら強制換気すると言う挙動となります。ここで、ファビアンは無呼吸時にはPSV圧とは別設定のバックアップ換気圧で強制換気できますので肺リクルートメント効果としては優れていることになります。

この写真はバックアップ換気中です。
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こちらは自発呼吸が混ざった状態です。
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人工呼吸管理中は同じ圧であれば自発呼吸時の方が無呼吸時よりも大きな換気量を得ることができますので、逆に自発呼吸と無呼吸を繰り返す新生児の場合、無呼吸時でもSpO2が下がらない設定では肺損傷の原因となってしまいます。このため「自発呼吸時には低い圧で、無呼吸時には比較的高い圧で」と言う動きをしてくれる人工呼吸器の登場をずっと待っていたのですが、当科で使用しているステファニーのCPAP+PAV+バックアップのモード以外、この条件を満足に満たしてくれる人工呼吸器がなかなかありませんでした。

実際に患者さんに使用してみてどうなのかはこれだけでは分かりませんが、大きな可能性を秘めた機種になるかも?と言う期待は持てる気がしています。

新生児、特に早産児は「無呼吸が当たり前」です。成人の人工呼吸器の仕様に準じて、無呼吸になる度にけたたましいアラーム音を鳴らす機種がありますが、早産児用の人工呼吸器では考え直して欲しいといつも思っています。人工呼吸器メーカーにはこうした視点からの人工呼吸器開発をお願いしたいと思っています。

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

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