ここから本文です

成育科ブログ

2014.11.26

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

昨日、新型の小児・新生児用人工呼吸器ファビアン( エァ・ウォーター株式会社)のデモ器を見せていただくことができました。
DSC06381 (Custom)
この人工呼吸器は、少し前にフジテレビで放送されていた「 若者たち2014 」にも登場していました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

最新型ではありますが、どちらかと言うとハイエンドモデルと言うよりも従来機の「良いとこ取り」みたいな位置づけの機種のようです。色々ご説明を受けて、当初は正直なところあまり目新しさを感じなかったのですが、説明が終わった後も根掘り葉掘り細かいところまでお聞きしていると、実はこれまで待ちに待っていた機能が搭載されていることが分かりました。

CPAP+PSVと言うモードがあるのですが、このモードでは他の人工呼吸器と同様に無呼吸時間を設定して一定の無呼吸時間を経過するとバックアップ換気が働きます。これだけだと特に目新しさはなく、また無呼吸バックアップと言うのは赤ちゃんが「呼吸しているか?していないのか?」を正確に判断するにはある程度限界があって、特にPSVとの併用ではトリガー感度を鋭敏にすればするほど、無呼吸検知としては鈍くなると言うジレンマに陥ってしまいます。この辺のことは以前、 早産児の人工呼吸管理Part5 でかなり詳しく解説していますので、ご興味のある方はご覧いただければと思います。

以前もご紹介したのですが、SLE5000のPSVは「トリガーした時にはターミネーションによって吸気時間は可変、トリガーしなかった時には最大吸気時間を守る」と言う動きをするので、無呼吸時には比較的長い吸気時間によって肺のリクルートメント効果が期待でき、この点で非常に使いやすいと考えています。
スライド8 (Custom)

早産児が自発呼吸を維持するには機能的残気量の維持が重要な位置を占めます。このため無呼吸時に適切な肺リクルートメントをすることのできる機能がとても重要と考えています。
スライド1 (Custom)

この点でファビアンの場合、無呼吸時間の設定をオフにすると無呼吸時間が自動的にバックアップ換気回数の呼気時間に設定される、つまり、SLE5000と同じように自発呼吸をトリガーしなかった場合にはバックアップ換気回数を守りながら強制換気すると言う挙動となります。ここで、ファビアンは無呼吸時にはPSV圧とは別設定のバックアップ換気圧で強制換気できますので肺リクルートメント効果としては優れていることになります。

この写真はバックアップ換気中です。
DSC06382 (Custom)
こちらは自発呼吸が混ざった状態です。
DSC063842 (Custom)

人工呼吸管理中は同じ圧であれば自発呼吸時の方が無呼吸時よりも大きな換気量を得ることができますので、逆に自発呼吸と無呼吸を繰り返す新生児の場合、無呼吸時でもSpO2が下がらない設定では肺損傷の原因となってしまいます。このため「自発呼吸時には低い圧で、無呼吸時には比較的高い圧で」と言う動きをしてくれる人工呼吸器の登場をずっと待っていたのですが、当科で使用しているステファニーのCPAP+PAV+バックアップのモード以外、この条件を満足に満たしてくれる人工呼吸器がなかなかありませんでした。

実際に患者さんに使用してみてどうなのかはこれだけでは分かりませんが、大きな可能性を秘めた機種になるかも?と言う期待は持てる気がしています。

新生児、特に早産児は「無呼吸が当たり前」です。成人の人工呼吸器の仕様に準じて、無呼吸になる度にけたたましいアラーム音を鳴らす機種がありますが、早産児用の人工呼吸器では考え直して欲しいといつも思っています。人工呼吸器メーカーにはこうした視点からの人工呼吸器開発をお願いしたいと思っています。

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

2014.11.25

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

今朝の東奥日報朝刊で、新生児臨床研究ネットワーク(NRN)の2009年から2011年まで3年間の調査で当院が好成績だったことを一面で大きく取り上げて下さいました。

先日の INTACTワークショップ の記事でもご紹介しましたが、この3年間の調査期間で、当院NICUで死亡、慢性肺疾患、重症脳室内出血、未熟児網膜症など重篤な合併症を有さずに退院できた「合併症無き生存退院」の項目で全国85施設中6位、偏差値66と言う好成績をあげました。
合併症無き生存退院 (Custom)

成績が良くなったのが事実とは言え、このように新聞紙上に大きく取り上げていただくのは本当にありがたいと思います。こうして取り上げていただくことが、これからの若い世代の方達に新生児医療に興味を持っていただくためのチャンスにできればと思います。
東奥日報1 (Custom)
以下、記事中の本文です。

主に1500グラム未満の新生児を扱う比較的大規模な全国のNICU(新生児集中治療室)の治療実績を調査しているNPO「新生児臨床研究ネットワーク」(東京都)によると、青森市の県立中央病院総合周産期母子医療センターNICUが「合併症のない生存退院率」(2009~11年)で、全国85施設中6位、偏差値66と高い位置にあることが分かった。今年で開設10周年の県病NICUはこれまで県内全域からハイリスク新生児を受け入れ、治療技術の高度化と人材育成を進めており、関係者は「その取り組みが結果として表れた」とみている。

調査は、09年から3年間の各施設の症例数と出生体重、治療リスクなどを勘案して比較。肺疾患、腸炎、脳出血といった合併症の有無、生存退院できたかどうかなどの指標で審査したところ、県病は各項目で平均を上回った。11年に限ってみると、対象となった77施設のうち県病が1位だった。
調査の結果は1日に県病で開かれた医療者のワークショップ「周産期医療の質と安全の向上のための研究」で発表され、県外の医療者から「リスクの高い低体重の赤ちゃんを多く受け入れているのに、合併症や死亡例が少ないのはすごい」と評価された。
04年11月に開設された県病総合周産期母子医療センターは、県内全域からハイリスクの母体や新生児を受け入れ、高度な治療を施すことで本県の周産期死亡率改善に貢献してきた。
11年度から、新生児治療で先駆的な取り組みを実践している神奈川県立こども医療センターの治療方針を取り入れたことにより、医師のレベルと治療の質がさらに向上。13年からこれまで、同院に入院した超低出生体重児(体重1000グラム未満)55人の救命に成功した。 網塚貴介・県病NICU部長は「直近の治療成績は、全国でもトップクラスになっているのではないか」と語った。

さらに今回は、当院NICUの卒業生である石田望美ちゃんとお母さんの取材もして下さいました。石田さんは先日、元気プラザで行った 「小さく生まれた赤ちゃんとそのご家族のつどい(4歳未満)」 の最後に青森県内の病児を持つ親御さんのためのサイト 「~kamekai~」をご紹介された方で、記事にもありますが、「~kamekai~」とはカメのようにゆっくりでも前に進もうとママ友同士で立ち上げたグループです。ご家族の支援はこうしたお母さん達の協力も加わるととても支援の幅が拡がる気がします。こうした記事でまた多くの方と交流が生まれることを願っています。
東奥日報2 (Custom)

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

2014.11.23

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

今週末は2年ぶりに埼玉医科大学総合医療センターの須賀里香さんをお招きしての nasalDPAP勉強会 を行いました。今回は11月22日(土)の周産期学習会のためにお越しいただきましたが、折角の機会なので前日にNICU内でのご指導をお願いしました。
2年前に来ていただいた頃は、nasalDPAPのプロングによる圧迫を恐れるあまり、プロングではなくマスク装着の多かった当院でしたが、

本来nasalDPAPはプロングで行うもの
マスクだから安全と言うことではなくプロングの正しい装着が重要
装着だけではなく、体位・固定も含めた総合的な視点が重要

と2年前に須賀さんにご指導いただいてから、このことに気をつけながら固定法の見直しを図ってきました。ただ、この2年間で元の状態とは言わないまでも、少しずつこうした指導が崩れているのでは?との心配から今回お越しいただきました。
まず、現在実際にnasalDPAP中の赤ちゃんへの固定法を見直していただきました。2年前に来た時とは全然違って、とても良くなっているとお褒めの言葉もいただくことができました。
CIMG3698 (Custom)
次に翌日の学習会の内容を一足早く講義としてお聞きしました。新生児の鼻腔・口腔内の構造と呼吸の仕方が成人とどう違うのか?、プロングの選択と装着方法、頭にかぶせるボンネットの装着方法、体位の取り方等々、かなり細かな部分まで教えていただき、ボンネットの装着方法は実演もして下さいました。
CIMG3699 (Custom)
CIMG3704 (Custom)
ここでこの日は一旦終了し、夜の部であれこれ呼吸談義に華が咲きました。
DSC06353 (Custom)
翌日の11月22日(土)は朝から周産期学習会となります。県内外から沢山の看護師さんを中心に参加していただきました。
DSC06354 (Custom)
DSC06363 (Custom)

前座で「早産児の人工呼吸管理」に関してお話しさせていただいてから、須賀さんの講義に移ります。
DSC06355 (Custom)
ちなみにこれは、人工呼吸器の基本構造を理解してもらうために手作りした「人工呼吸器モデル」です。
DSC06356 (Custom)
メインの須賀さんのお話が始まります。
DSC06369 (Custom)
nasalDPAPの基本はプロングであることが強調されています。
DSC06374 (Custom)
須賀さんとNICU前で集合写真です。
tDSC06352 (Custom)

須賀さんによると、今回のお話しはnasalDPAPが開発された際に本来想定されていた使い方そのものなのだそうで、国内に急速にnasalDPAPが拡がる中で各施設で我流が生まれては様々な問題が発生してしまったような気がします。こうして、常に自施設で行っていることを客観的に評価し修正していくことこそが、その施設の治療水準向上につながるものと思います。nasalDPAPは全国どこでも使われていますので、須賀さんの今回のお話はもっと多くの施設の方達に聞いていただきたいと感じました。
須賀さん、遠路青森までお越し下さいましてありがとうございました。

2014.11.20

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週が6回目です。今回は青森県の周産期医療の背景に関して述べてみました。これまで全国的な周産期医療・新生児医療の傾向に関して述べてきましたので、今回と次回で少し青森県内の状況をご紹介して行きたいと思います。

第6回目 (Custom)

以下、6回目原稿です。

前回まで、全国で低出生体重児の出生数が増加していることを述べてきました。その理由をお話しする前に今回は青森県の周産期医療の背景を少しご紹介してみたいと思います。
本県の周産期医療で着目すべきは乳児死亡率・新生児死亡率・周産期死亡率といった各死亡率指標の悪さです。図に都道府県ごとの周産期死亡率を5年間の平均値とした全国順位の推移をグラフでお示しします。図では上位ほど死亡率が低く、周産期死亡率では特に平成以降の順位が下位に低迷しています。乳児・新生児死亡率も同様に常に全国の下位にあり青森県は歴史的にみても周産期関連死亡率の高い県であると言えます。
特に本県では乳児・新生児死亡の原因として、1000g未満で出生した超低出生体重児の死亡率の高さが大きく影響しています。平成11・12年は2年連続で全国ワーストでしたが、当時、在胎28週未満の超早産児の赤ちゃんの半分以上が亡くなっています。十数年前とは言え、当時の全国での死亡率は2割未満でしたので、かなり高い死亡率であったと言えます。県内では当時、1000g未満の小さな赤ちゃんは7つの医療機関で分散して診療され、各施設の年間入院数のほとんどが一桁でした。問題なのは個々の医療機関の医療水準よりも、こうした特殊な治療を要する患者さんが分散されていた点にあります。
こうした状況を打破するため、今からちょうど10年前の平成16年11月に県病に総合周産期母子医療センターが開設されました。同時に県病を本県の周産期医療の拠点とし、さらに八戸市民病院、弘前病院、青森市民病院、むつ総合病院を地域周産期母子医療センターとして、患者さんの重症度に応じた役割分担や搬送体制などを定める「青森県周産期医療システム」が構築されました。県病では現在、青森県内で出生する1000g未満の超低出生体重児のほぼ全てを診療しており、年間入院数は約30名前後となっています。その多くが出産前に搬送される母体搬送によって県内各地から運ばれ、県病で生命に関わる急性期の治療を終えると、その半数以上が地域周産期母子医療センターのある地元へ戻り(これを後搬送と言います)退院します。
重症な患者さんを専門に診療する医療機関を決め、そこに集めた方が治療成績が上がることは他の医療分野でも知られており、これを「集約化」と言います。県内の医療機関の協力による「集約化」が功を奏し、本県の平成25年までの周産期死亡率の5年平均値は、上から16位とようやく上位群に仲間入りすることができました。また昨年の各死亡率は乳児死亡率が3位、新生児死亡率が4位、周産期死亡率が3位という過去にない好成績でした。
ただ、我々医療従事者や行政・マスメディアはどうしてもこうした「数字」に目を奪われがちです。しかし、こうした数字の背景には一人一人亡くなられた赤ちゃんとそのご家族がいらっしゃいます。そのことを忘れてはならないことを、これは自戒の念も込めてここに書き留めておきたいと思います。さらに、救命されたとしても、様々な後遺症で悩まれている方たちも沢山いらっしゃいます。こうしたことも今後の連載の中でご紹介して行きたいと思います。

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

2014.11.15

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

4歳以上を対象とした「小さく生まれた赤ちゃんとそのご家族のつどい」 を今年8月末に開催しましたが、今日は4歳未満のお子さんを対象にしたつどいを市内の元気プラザ(青森市健康増進センター)をお借りして開催しました。今日も雪がちらつく寒い中、県内各地から20名以上のお子さんが参加して下さいました。
DSC06274 (Custom)
最初はいつも参加して下さる青森県保育連合会の方達によるアイスブレーキングから始まります。色んな歌や遊びで参加者の皆さんの緊張を解きほぐして下さいます。
DSC06282 (Custom)

DSC06298 (Custom)
お子さん達を保育士さん達に預かっていただいている間に、ご家族の方達との交流会に続きます。交流会はご家族同士の今後の交流や保健師さん達のバックアップも考えて地域別に3グループに分かれます。今回は初参加のご家族も多かったようです。お子さん達が生まれた頃の心情や不安、今のこと、これからのことなど、それぞれお話ししていただきました。NICUに入院したばかりの頃のお話になると、こちらもついもらい泣きしそうになってしまいます。でもやはり周囲に同じような環境のお子さんが少ないので、皆さんからはやはり横のつながりの希望が多く聞かれました。
DSC06301 (Custom)
つどい終了後の集合写真です。
DSC06317 (Custom)
写真の後、えこのママさんから青森県内の病児を持つ親御さんのためのサイト 「~kamekai~」 のご案内がありました。今はSNSもあるので、色んな形でのサポートができそうですね。
DSC06320 (Custom)
ご家族が帰られた後、スタッフで反省会です。今回は4歳未満の小さなお子さん達が多く、特にまだ保育園に入っていないお子さん達も多かったことから、交流会中にもご両親の元に戻ってくるお子さん達も多かったので、次回以降はもう少しお子さん達が遊びに集中できる環境を作るための工夫が必要かな?という点などが次回への反省点となりました。
DSC06331 (Custom)
今回の開催が11月になってしまい、特に遠方の方は大変だったことと思います。次年度はもう少し早い時期に開催したいと思います。今回のようなつどいが少しでもNICUから退院されたご家族への何らかの支援につながればと思います。皆様、今日はありがとうございました。

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

(画像をクリックするとリクルートページへリンクします)

1 / 212

ブログ更新情報

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
2017.08.11
特別支援学校医療的ケア基本研修
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
2017.08.07
ねぶた祭り2017
IMG_0149-2 (Custom)
2017.08.01
小さく生まれた赤ちゃんとご家族のつどい(4歳以上)
CIMG5223 (Custom)
2017.07.24
看護協会主催の新生児蘇生法講習会
IMG_8781 (Custom)
2017.07.19
第53回日本周産期・新生児医学会学術集会in横浜
DSC00052 (Custom)
2017.07.17
日本呼吸療法医学会~HFOVフォーラム
DSC09979 (Custom)
2017.07.13
埼玉県立小児医療センターを見学させていただきました
IMG_8658 (Custom)
2017.07.02
ITvision誌~タブレットPCを活用したNICU部門システムの概要と将来的展望
DSC09908 (Custom)
2017.06.27
聖隷浜松病院NICUを見学させていただきました
DSC09964 (Custom)
2017.06.26
ハイリスクフォローアップ研究会in浜松~ハイリスク児の教育現場
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
2017.06.07
韓国でPAVに思いを馳せる~PAVはまだ死んでいない!
DSC09797 (Custom)
2017.06.06
NICUケアワークショップ2017 in Korea その3

カレンダー

2014年11月
« 10月 12月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930