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成育科ブログ

2015.02.19

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東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週が11回目です。今回は少子化対策がなかなか功を奏すことのない現状に関して述べてみました。

第11回目 (Custom)

以下、11回目の原稿です。

前回、少子化の背景として経済・雇用面の問題をご紹介しました。男女雇用機会均等法が施行されたのが1986年。時代はバブルに向かっており、その3年後の1989年には栄養ドリンクのコマーシャルで「24時間戦えますか?」が流行語大賞を取るような時代でした。当時、男女の雇用は表向き平等にはなったものの「24時間働く」ことが前提の世界へ女性もそのまま放り込まれ、結果として女性は「仕事か?家庭か?」の二者択一を迫られます。

1992年の「平成4年版国民生活白書」に「少子」と言う言葉が登場して以来、社会的にも少しずつ少子化に対する懸念が表面化し始めます。その後、様々な少子化対策が一応は実施されますが、その効果が結果的に乏しかったことはこれまでご紹介してきた出生数や出生率の推移の通りです。なぜ、なかなか効果が出ないのでしょうか?

かつて「寿退職」という言葉がありました。今やほとんど死語なのではないかと思います。事実、統計上も結婚と同時の退職は実数として急減しています。しかし、一方で妊娠・出産に際しての退職は未だに大きな割合を占めています。

ここに興味深いデータがあります。図は第1子出産前後の妻の就業変化の推移を見たものです。過去と比較して、育児休業利用による就業継続率は年々上昇傾向なのですが、一方で出産退職の割合も増えているのです。これは少子化対策の多くが、正規雇用を中心とした層には一定の効果があるが、近年増加している不安定な雇用環境にいる若年女性に対しては手薄であることを示しています。もはや従来の少子化対策では対処できないところにまで至っており、制度が実態に追いついていないと言えるのでしょう。

さらに正規雇用の女性も安泰とはとても言い難い現状があります。女性の正規雇用就労率は20歳代後半までに50%前後へ上昇しますが、30歳代からは一方的に下降傾向となり、30歳代後半で正規雇用・非正規雇用の率が逆転します。これは正規雇用であっても妊娠出産を機に退職する(せざるを得ない)女性が多く、出産後は非正規雇用として復職している女性が多いことを意味します。

昨年の流行語大賞のトップテンの一つに「マタニティハラスメント(マタハラ)」が選ばれました。マタニティハラスメントとは一般的には、働く女性が妊娠・出産を機に職場で受ける精神的・肉体的な嫌がらせやプレッシャーを含むハラスメント(嫌がらせ)と定義されます。少子高齢化が大きな社会問題となり、少子化対策の必要性が叫ばれているにもかかわらず、マタニティハラスメントが流行語大賞とは皮肉としか言いようがありません。子どもを産み・育てることが社会全体の中でいまだ権利として理解されず、少子化対策と言いながら現実社会との間に乖離があることの証左かも知れません。だからこその少子化とも言えるのでしょう。

ようやくこのマタニティハラスメントに対して先月、厚生労働省は法律の適用を厳格にして企業への指導や監督を強めるよう全国の労働局に通達を出すことを決めたとのことで、今後その効果に期待したいところです。

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2015.02.12

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先日、 第60回 日本新生児成育医学会・学術集会のご案内 をしましたが、昨日は会長の堺先生のクリニックでThe Team TOHOKUの打ち合わせで仙台まで行ってきました。東北各地の先生が集まって学術集会のプログラムについて色々と話し合ってきました。
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さかい先生 (Custom)

特別講演、教育講演、シンポジウム等々、学術集会の日程・プログラムも徐々に形になり始めてきています。全国学会の学術集会の企画にここまで深く関わったことはこれまでなかったので、とても勉強になります。今年の学会は例年より早い10月の開催なので準備は更に大変です。演題締め切りも例年より大分早くなりそうです。何とかできるだけ多くの方に参加していただけるような学会になればと思います。
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2015.02.10

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昨日は八戸市民病院の周産期センターを見学させていただきました。
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八戸市民病院にはこれまでも何度も見学させていただいていますが、今回は昨年4月に増床工事され、病院とは別棟で新たに建築された新しい周産期センターと、一緒に稼働し始めた産科の情報システムを見学させていただくのが目的です。産科の情報システムは既製のシステムにかなり手をかけてカスタマイズされており非常に使いやすそうでした。

新しい周産期センターは新築なのでさすがにとてもきれいでした。八戸市民病院の分娩数は年間1300例もあり、周産期センターとしての分娩数はかなり多い方なのではないかと思います。
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分娩室には畳のスペースもあり、フリースタイルの分娩にも対応できるようです。
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見学の後は、八戸市民病院の小児科・産科の先生方と懇親会でご一緒させていただきました。CIMG3739 (Custom)
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当院に総合周産期センターができてから10年経ち、県内の周産期医療体制が確立していく中で八戸市民病院は重要なパートナーですが、これまではゆっくりお話しする機会がなかなかなかったので、今回は色々なお話しをお聞きすることができて、また一段と距離が近くなったように思います。医師・助産師をはじめとするスタッフ不足の問題はどこも同じですが、これからも一緒に頑張って行ければと思いました。

八戸市民病院の先生方、ありがとうございました!

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2015.02.05

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東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週が10回目です。今回は日本の少子化の経済的背景に関して述べてみました。
第10回目 (Custom)

以下、10回目の原稿です。

我が国の少子化のその背景にはさまざまな問題が複雑に絡み合っています。今回はその中でも経済的観点から考察してみたいと思います。

わが国の総出生数と合計特殊出生率は、団塊ジュニア世代を過ぎた1970年代なかば頃から右肩下がりとなり、これが少子化の初期段階でした。一般的に「女性の社会進出」が少子化の原因として、ある意味「枕詞」的に用いられますが、確かに1986年の男女雇用機会均等法制定へと続くこの頃は「女性の社会進出」の影響を受けていた時期と言えるのでしょう。

しかし、1990年台に入ると若い女性を取り巻く環境が一変します。バブル崩壊により雇用環境が悪化し、平均年収も低下します。さらに悪いことに、バブル崩壊と団塊ジュニア世代の大学卒業が重なってしまうのです。

図は大卒者の就職率を示したものですが、かつて80%程あった大卒者の就職率が1990年台に急降下し、95年に60%台へ、2000年には50%台まで落ち込み、いわゆる就職氷河期を迎えます。

結果として、若年者の失業率や未婚率が上昇し、経済的に子どもを産む余裕のない状況が生み出されました。既婚世帯においても、専業主婦世帯より共働き世帯が上回るのがこの頃です。

経済のグローバル化、雇用の規制緩和、金融危機など、バブル崩壊後の様々な変化が、団塊ジュニア世代以下の若年層に押し寄せ、この世代の経済基盤を脆弱化させてしまったことが、結果的に少子化の進行に拍車をかけてしまいました。団塊ジュニア以下の世代がそれ以前の世代と比べて、男女問わず苛酷な社会的環境におかれたことがうかがえます。

これはもはや、単なる「女性の社会進出」と言う言葉だけで片付けることはできないのではないでしょうか? むしろ、所得の低下と雇用の不安定化から、女性が「働かざるを得ない」状況になってしまったのです。

ちなみに青森県は「できちゃった婚」の比率が全国でも指折りに高い県です。この「できちゃった婚」の比率は宮城県を除く東北5県で高いのですが、東北地方は出生数の低下も激しいことを以前ご紹介しました。つまり、東北地方では「できちゃった婚」以外での出生率はとてつもなく低下しているのです。この現象もまた、東北地方の若者の経済的基盤の弱さを示すものなのかも知れません。

バブル崩壊以降の90年代は「失われた10年」とも呼ばれます。これは少子化対策にも当てはまり、団塊ジュニアを中心とした人口の多い世代からの出生数を増やせなかったことこそが、まさに少子化対策における「失われた10年」であり、しかも経済とは異なり、もはや取り返しの付かない10年であったと言えます。

前回、「少子化対策は時間との闘い」と述べましたが、これからの少子化対策はこの「失われた10年」が15年、20年にならないようにするためにも「時間との闘い」なのです。

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