2014.01.29
先日の高知での講演会のお話しの続きです。講演終了後の質疑で、当科が「神奈川方式」を導入したことに関連して、ある先生から「どうして神奈川方式を全面的に受け入れたのか?」と言うご質問がありました。
そこでお答えしたのが今日のタイトルである「四本足の椅子」のたとえです。
新生児医療では治療方針や成績には施設間差が大きいことが知られていますが、その一方でとても小さな赤ちゃんを対象にしていることから、ちょっとした治療方針の変更が大きな合併症につながってしまう可能性もあります。たとえ、ある施設で行われている治療方針がやや時代遅れ気味であったとしても、その施設での治療方針としてはそれはそれなりのバランスを保っていることが多く、逆に「これが最新の治療法です」と一部だけ変更すると逆に変なことになりかねない、そんな心配をしています。
四本足の椅子は、仮にその足が古い足でも、それまで使えていたならそれはそれなりですが、一本だけ新品に取り替えた途端、グラグラしてしまう、そんなイメージです。かと言って、治療方針が古いままで良い訳もなく、ならばいっそのこと全部新品に取り替えてしまえ、と言うのが基本的な発想です。
実はこのことは以前、このブログでもご紹介したことのある「ちいさなちいさなわが子を看取る - NICU「命のベッド」の現場から」の書籍の中で、当科におけるいわゆる「神奈川方式」への変更の取り組みが「医療スタッフ育成の成功例 ー神奈川+青森(p214)」として紹介されています。


この書籍の中でインタビューに答えている部分がありますが、まさに今回の高知での講演でのエッセンスが詰まっています。と言いながら、実は講演ではこの書籍のご紹介をするのをすっかり忘れてしまいましたので、改めてブログでご紹介させていただきました。