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成育科ブログ

東奥日報連載14回目 子の障がいと母の就労

2015.04.09

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東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週が14回目です。以前、3月5日(木)の東奥日報に 「医療措置必要な我が子 どう育てていけば・・・」「受け入れ施設なく 母苦悩」と題した記事 が掲載されたことをご紹介しましたが、今回はこの記事に関連して、お子さんに障がいがあった場合のお母さんの就労に関して取り上げてみました。
お子さんに障がいがあった場合のご家族への支援はまだまだ足りません。こうした現状を少子化対策の観点から眺めていると「コストをかけずに社会にとって都合よく子どもだけ増えてほしい」と言う意図がどうしても透けて見えてしまいます。少子化対策をすると言うなら、一定の確率で生じうる病気や障がいのあるお子さんを持つご家族への支援抜きの対策などあり得ないのではないかと考えています。
第14回目 (Custom)

以下、本文です。

「この子を育てながら私は働き続けることができるのでしょうか?」
障害のあるお子さんを持つお母さんから、このように問いかけられたことがあります。上のお子さんたちを大学まで行かせるには、お父さんだけではなくお母さんも働き続けなければならないと言うのです。

3月5日の東奥日報に「医療措置必要な我が子 どう育てていけば・・・ 受け入れ施設なく 母苦悩」と題した記事が掲載されました。先天性疾患を持った子のお母さんが出産後に復職しようとし、医療的ケアが必要な子どもを引き受けてくれる施設がなくて困っている現状が報じられました。

 お子さんに病気や障がいのあるご家族の肉体的・精神的負担は計り知れません。さらに近年では経済的問題が重くのしかかります。これまでも、女性が働き続ける理由は単なる「女性の社会進出」ではなく、収入面でも、リストラされた場合のリスクを軽減するためにも、必要に迫られて「夫婦二人で働かざるを得ない」状況があることを述べてきました。

それはお子さんに障がいがあっても同じことです。しかし、健常児であれば当たり前の保育所も医療的ケアを要するお子さんとなると突然、そのハードルは上がります。

以前も紹介したように、小児医療や福祉など、子どもに関わるあらゆる制度が専業主婦世帯中心の時代に作られたものばかりで、共働き世帯が中心となった現在、実態とかけ離れつつあります。そろそろ制度自体を時代に即して変えていく必要があるのではないかと思います。

一方で、「病気の時ぐらい親がいてあげないと子どもがかわいそう」とか「子どもに病気や障がいがあるなら親が頑張らなくてどうするの」と言う声もよく耳にします。しかし、そんな言葉を当事者でもない第三者が言えるほど、今の社会は病気や障がいのあるお子さんとそのご家族に十分なサポートを提供しているとは思えません。

少子化が進むことによる将来の日本社会への影響は極めて深刻です。だからこそ国も出生数を増やそうと少子化対策を講じているわけですが、ただ、こうしたご家族に接している立場から少子化対策を見ていると「コストをかけずに社会にとって都合よく子どもだけ増えてほしい」と言う意図がどうしても透けて見えてしまいます。

周産期センターでは出生前診断されたご家族や、切迫早産で母体搬送されたご家族とお話しする機会が頻繁にあります。ご家族がお子さんの将来を案じるのは当然ですが、近年ではそれに加えて、お子さんに障がいがあって現在の生活が維持できるのか、経済的な心配をされるご家族が増えてきた印象があります。これもまた以前に比べて、子育て世代の就労環境・経済的環境が厳しくなってきている背景を物語っているのでしょう。

子どもが生まれると言うことは、一定の確率で病気や障がいのお子さんを持つと言うことと同義です。いつ誰がその当事者になるのかは誰にも分かりません。

お子さんに病気や障がいがあっても働き続けなければならないお母さんがいると言うことを、子どもに関わる医療従事者だけではなく、福祉・教育関連も含め、社会全体がもっと重く受け止めなければならない時代になったのではないかと思います。少子化対策も、病気や障がいのあるお子さんを持つご家族への支援抜きの対策などあり得ないのではないでしょうか? こうした視点から今一度見直してほしいと願っています。

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