2015.10.28
学会3日目は先日も「 日本新生児成育医学会でランチョンセミナー対決! 」でもご紹介したように、お昼の教育セミナーで「HFOによる人工呼吸管理~基礎から応用まで」と題して講演させていただきました。
今回の教育セミナーでは「HFOはなぜ肺に優しいか?」と言う点を中心にお話しさせていただきました。特に強調したかったのは「HFOだから肺に優しいのではない」と言う点です。HFOにも適応があり、またしっかりしたMAPをかけるいわゆる「open lung」を意識した管理をしないと、例えば「HFOは7cmH2O以上で」と言う言葉を鵜呑みにしていると、実際には全然圧が足りなくて肺実質や気道を損傷している可能性を考えなければならないと言う点をお話ししました。
では実際にどの程度のMAPが適正なのか?と言うことが問題となりますが、その答えの鍵は酸素の使い方にあると考えています。これはCMVにおけるPEEPも一緒なのですが(と言うよりもこのスライドがHFO用に修正しただけです)、大事なのは「酸素濃度を最低限にできるMAPが適正なMAPである」「酸素濃度を上げなければならない時はMAPが十分であることが前提となる」と言うことなのではないかと考えています。これはCMVでも抜管後のnasalCPAPでも考え方は一緒です。ただし、MAPやPEEPは循環との兼ね合いがありますので、「肺の事情」と「循環の事情」は異なるので、実際の臨床では循環動態との相談でMAPが決定されることになります。しかし、「肺には肺の事情がある」と言うことをしっかり意識して管理することがHFOを使いこなす上で重要なのではないかと思います。
今回の教育セミナーは池田先生のaEEGの発表と同じ時間帯だったので聴衆の皆さんが入ってくれるか心配していましたが、立ち見も出るほど大勢の方が聞きに来て下さってとてもありがたく感じました。今回のお話しが日常臨床に少しでもお役に立つことができればと思っています。
学会3日目はこの教育セミナーに続いて同じ会場で倫理問題検討委員会主催の「『重篤な疾患を持つ家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン』をもっと活用しやすくなるように多職種で話し合おう」と言うシンポジウムがあり、そこで青森から石田さんと野田さん、当院心理士の齋藤さんが参加して下さいました。
全日程が終了して帰路につく青森組です。
皆さん、3日間の学会大変お疲れ様でした。