青森県は歴史的にも全国で最も乳児死亡率の高い県でした。乳児死亡率のような統計指標は青森県のように人口の少ない県では単年ではかなり上下するため、5年間のように複数年で評価しなければ真の姿を知ることはできません。図のように青森県は戦前から近年に至るまで5年平均値が全国平均より上に行くことはなく、全国で最も乳児死亡率の高い県であると言えます。
【都道府県別乳児死亡率5年平均値と順位】
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このような事態を改善すべく、平成13年に青森県立中央病院にNICU6床が整備され、更に平成16年には総合周産期母子医療センターが開設されました。NICUは9床へ増床され、同時に青森県の周産期システムも整備されました。
図では県内各施設から総合周産期母子医療センターへ患者さんが一方的に搬送されているように示されていますが、実際には搬送されてきた患者さん(赤ちゃん)はある程度全身状態が落ち着いた時点で地元の地域周産期センター(主に八戸市民病院、独立行政法人弘前病院)へドクターカーによって後搬送されています。これは患者さんの予後の改善だけではなく、総合周産期母子医療センターの受け入れ機能維持にも極めて重要な意味を持っています。
このような県内全体の取り組みによって、5年平均値は周産期死亡率に限ってですが、昨年までの5年間でようやく全国の上位クラスにまで食い込むことができました。乳児・新生児死亡率はまだまだ下位が続いており安定的な改善までには更なる努力が必要です。
【都道府県別周産期死亡率5年平均値と順位】