2017.06.07
NICUケアワークショップ2017 in Korea その1
NICUケアワークショップ2017 in Korea その2
NICUケアワークショップ2017 in Korea その3
と、韓国でのワークショップの様子をご報告してきました。今回のワークショップとSon先生のNICUを見学してひとつ大きく感じたことは、人工呼吸器モードとしての「PAVはまだ死んでいない!」ということです。
以前、 悲運の人工呼吸器~ステファニー物語 として、日本においてステファニーの定期メンテナンスが切れたことをご紹介しました。ステファニーは日本で唯一、PAV(proportional assist ventilation)が可能な人工呼吸器でした。しかし、日本での販売もメンテナンスも今は終了してしまっています。
しかし、広い世界の中で、たまたま不運に遭ってしまった日本一国での出来事でしかないのもまた事実です。現にお隣の韓国では新型のステファニーが活躍し、さらに先日のように人工呼吸器のワークショップでPAVに関しての活発な議論もされているのです。
日本国内では、すでにNAVAを導入する施設も増えて来ており、あたかもPAVは時代遅れのように捉えられている感がありますが(実際、学会の演台でもPAVの発表は当院を除けばほとんどありません)、特殊なセンサーを要するわけでもなく、ランニングコスト的にもNAVAより優れた点は多々あります(本当はもっとたくさんの利点がありますがここでは割愛します)。
それよりも、これからの人工呼吸器の方向性として、恐らくは様々なメーカーからPAVを搭載した機種が登場してくると考えた方が現実的なのではないかと言う気さえします。そして、グローバルでは、これからどんどん改良されたモデルも登場するのでしょう。現に、今や主力の人工呼吸器となっているBabylogVN500にもPAVと似たPPSと言うモードが搭載されています。
こんなことをなぜ突然書き出すのかと言えば、これからしばらくして日本国内でPAVの搭載された新型の人工呼吸器が登場したらどうなるのだろう?とふと思ったからです。今や日本国内のNICUでPAVを主力の呼吸器モードとして使っているのは当院ぐらいでしょう。新型の人工呼吸器にPAVが搭載されたからと、そこで慌ててPAVの勉強を一から始めて上手く使いこなせるのかとても心配です。とはいえ、当院ではまだまだ現役のステファニーも、いくら大事に使っていてもいずれ使えなくなるときが来るかも知れません。日本国内でPAVの臨床経験を積むことができるのもあとわずかなのかも知れません。このPAVに関する経験知がこのまま青森の地で埋もれてしまうのはとても勿体ない気がしています。そんなことを、今回の韓国でのワークショップに参加していて感じました。
と言うことで、当院では新生児科医師を常時募集していますので、ちょっとご興味があるだけも結構ですので、お気軽にご連絡いただければと思います。下のバナーをクリックすると当院のリクルートサイトに移動します。
(文責 成育科 網塚 貴介)