2018.01.20
この週末は三重県の新生児クリティカルケアフォーラムにお招きいただき三重県津市にお邪魔しました。三重県では以前より厚生労働省の小児在宅事業を実践されており、中でも 三重大学小児トータルケアセンター の岩本彰太郎先生が精力的にお仕事をされています。折角の三重県訪問ですしこのような機会はなかなかありませんので、岩本先生にご無理を言って三重県の小児在宅医療に関してのお話しをうかがってきました。
津駅前です。実は人生初の三重県上陸です。
三重大学は駅から車ですと比較的近く感じました。
岩本先生は今回の訪問にあわせた資料を作成しておいて下さいました。スライドの1枚目からびっくりです。
青森県との人口の比較も一緒にして下さっています。実はこれ以外にも特別支援学校における医療的ケア児調査の結果なども青森県と三重県を比較した資料をご用意下さっていました。
三重県ではかなり昔から毎年新たに医療的ケアを要するお子さんの人数調査もされているそうです。青森県では死亡例調査はこれまでもかなり一生懸命やってきましたが、これは乳児死亡率の高かった時代の名残のようなもので、そろそろこの枠組みからは青森県も脱しなければと思いました。
三重大学の小児トータルケアセンターは三重県における小児在宅医療の要としてご活動されており、チームとしても岩本先生以外にも兼務の医師や複数の看護師・MSWや事務担当の方など多職種のチームで構成されています。少なくとも現状の青森県ではあり得ないほどのチーム構成です。
活動も多岐に渡り、NICUや小児病棟からの退院支援にとどまらず、小児在宅医療全般の生活支援やそれを実現するための多職種連携・地域連携の構築や、その他、様々な相談を受けたり、地域などへの教育活動もされています。
三重県庁内には小児在宅医療推進ワーキンググループがあり、県庁内の部門横断的に担当者が月1回は集まっているそうです。
小児在宅医療に関する研究会も盛んに行われており、年2回の開催で毎回150名前後の参加があるのだそうです。
さらに遠隔地では研究会に参加しにくい方も多いですので、地域出向での研究会も行われているそうです。
三重大学病院には患者さんやご家族のためのゲストハウスが整備されています。「 ハーモニーハウス 」と言うこの施設では、大人が1泊1350円で宿泊可能なのだそうです。当院にも同じような宿泊施設である「 ファミリハウスあおもり 」がありますが、これよりも安くて広くでこれはこれとして羨ましく思いました。
この他、在宅人工呼吸管理中のお子さんで特別支援学校にも通学できないお子さんの場合、訪問授業になることが多いのですが、こうしたお子さん達を実際の学校に連れて行って他のお子さん達と一緒に授業をうけてもらう「スクーリング」と言う事業も行われているそうです。特別支援学校には専属の看護師さんが配置されてはいるのですが、学校の看護師さんは訪問授業対象となるお子さんのケアは指示書がなければ行えないので、それを補うために看護師さんが一緒に自宅への出迎えから移動、授業中も含めてその場にいる必要があります。こうした先駆的な事業も行われていることにはただただ驚くばかりでした。
資料はまだまだ沢山あってご紹介しきれませんが、とにかく三重県と青森県の違いをまざまざと見せられた思いでした。周回遅れどころか何週遅れているのか分からないぐらいの差があると感じました。青森県もまだまだこれからですので、次は青森県の関係者も連れて、もう一度お話しを聞かせたいただいたり、実際のカンファレンスの様子なども拝見してみたいと思いました。
最後に岩本先生や小児トータルケアセンターの皆さんと一緒に集合写真を撮らせていただきました。岩本先生ならびに小児トータルケアセンターの皆さん、ありがとうございました。
(文責 成育科 網塚 貴介)