2018.09.25
またしばらくアップが滞ってしまいました。9月中のことを少しまとめてアップします。
9月16日(日)~9月17日(月)の2日間、災害時小児周産期リエゾン研修のために東京に行ってきました。災害時小児周産期リエゾンと言うと、聞き慣れない方も多いかと思いますが、「コウノドリ」の21~22巻で紹介されていたので、そこで初めて知った方も多いのではないかと思います。
周産期医療の枠組みの中では、産科同士の母体搬送やNICUへの新生児搬送など、周産期医療の搬送システムが全国各地で整備されています。しかし、これらのシステムはあくまで平時のシステムであり、いったん災害が起こると機能しなくなってしまう恐れがあります。一方、災害時には災害派遣医療チーム(DMAT)等の仕組みが整備されてきましたが、これら災害医療に関わる医療従事者の多くは小児・周産期医療に関しては不得意な場合が多いと言われています。そこで、災害時においても妊産婦や新生児・小児の搬送が円滑に行うことを目指して誕生した新たな連携体制が災害時小児周産期リエゾンです。災害時小児周産期リエゾンでは、こうした搬送のみならず、例えば避難所における妊婦さんや生後間もない赤ちゃん達への目配せもその守備範囲となります。
朝の新宿です。
会場は最近話題になった東京医科大学です。
あれこれ道に迷いながらようやく会場に到着。
会場には全国から大勢の参加者が。小児科医・産科医だけではなく看護師・助産師に加えて行政の方が参加されている地域もありました。
初日の研修が終わった後の参加者懇親会です。そこで全国の皆さんやリエゾン研修の講師の皆さんとあれこれお話しする機会がありました。中には新生児科で顔見知りの先生も何人もいらっしゃいました。
懇親会が終わった後、東京都庁の横を通りかかりました。実物を見るのは今回が初めてなのかも知れません。なにやらラスボスでも召喚されてきそうな雰囲気です。
研修会の2日目はより実践的なシミュレーションが中心となります。実際に災害が起こったと想定して、自ら県庁に出向き、災害時小児周産期リエゾンである旨を本部に申し出るところから始まります。講義でもまずリエゾンの机を用意するのが最初の仕事と言われていました。
今回は新生児搬送担当リエゾンと言うことで役目をいただきましたが、結局、病院間の道中の道路状況を把握しきれず時間内に搬送を終えることができませんでした。やはりなかなか難しいものです。
研修会の最後には新生児医療連絡会事務局長で災害関連もご担当されている聖隷浜松病院の大木先生から新生児医療連絡会のシステムにかんしてのご紹介もありました。
これまで災害医療に関してはまとまった研修を受けたことがありませんでしたので、今回の研修会は非常に新鮮で勉強になりました。今回の研修会でどの講師の先生も口とそろえて訴えていたのが「平時からの備え」です。「備え」と言ってもいろいろあるのですが、実際にその場に際して最も大切なのが連携です。ただ、いきなり初対面同士で連携しろと言われても、簡単にうまく行くはずがありません。つまりここで言う「備え」とは、日頃からの訓練を通じての顔の見える関係であり、それがあってはじめてさらに進んだ「備え」ができると言うことを今回の研修会全体を通して感じました。この研修会だけで終わらせず、地元に戻ってからの活動が何より大切と感じた2日間でした。参加された皆さん、お疲れ様でした。
(文責 成育科 網塚 貴介)