2020.02.15
この週末は山口県新生児研究会にお招きいただき「青森県における新生児医療の集約化~その成果と今後の課題」と題してお話しさせていただきました。
東海道新幹線ではなかなか見ることの叶わなかった富士山の勇姿を今回は間近で眺めることができました。
実は山口県も今回が人生初上陸となります。到着した 山口宇部空港にはヤシの木が。なんか南国な感じでした。
会場の新山口駅前に到着。真っ青な空と風が爽やかでした。
今回は、最初に青森県の周産期医療の背景と集約化の実際に関してお話しして、次に今後の新生児医療の方向性に大きな影響を持つ少子化の進行と医師の働き方改革の話題に関してお話しした後、最後に成育科としての現在の状況などをご紹介させていただきました。
特に出生数に関して青森県と山口県を比べると、2000年頃までは青森県の方が少し出生数が多かったぐらいでしたが、2000年を過ぎてからは青森県の出生数がどんどん減っていって、2000年当時に13000人ほどの出生数があったのが、今やその6割にまで減ってしまいました。
1995年の出生数を基準に、全国と各都道府県の出生数の推移を比べてみると、やはり宮城を除く東北5県と山梨県がその中に混ざって急減しており、山口県はそれよりも減少は急激ではないですが、2010年を過ぎたあたりから他の県も出生数が急減し始めているのが分かります。おそらく東北以外の地域でも出生数の減少が少し遅れて急下降してくるのだと思います。
医師の働き方改革に関しては、これは昨年11月の鹿児島での日本新生児成育学会で「新生児科医師の勤務状況と医師育成・供給に関 する調査―働き方改革対策の観点からの再考察」として発表しましたが、ここで新生児科医師の長時間労働は今さら言うまでもないのですが、その中でも特に時間外勤務時間の長い北海道・東北地方と中国・四国地方では女性医師の平均年齢が他の地域よりも低い傾向にありました。このことは、長時間労働が求められるほど、働くことのできる医師が限定され続け、医師不足がさらに進行する悪循環に陥っている可能性があることを示唆しているのではないかと言うこともご紹介しました。
医療の集約化はそれぞれの地域において様々な事情がありますので簡単には語れないとは思いますが、これから本格的な少子化の波が押し寄せることは間違いなく、またそこに働き方改革や女性医師のキャリアなどの諸問題も重なり、あたかも多項連立方程式の様相を呈しています。ここで最適解を探ることが今を支える私たちの世代の役割なのではないかと言うことをお伝えしました。
研究会と懇親会終了後に座長を務めていただいた山口大学小児科の長谷川俊史教授と、山口大学の高橋一雅先生、山口県立総合医療センターの長谷川恵子先生とご一緒に。少しでも今後のお役に立てばと思います。長谷川先生、ならびに山口県の諸先生、ありがとうございました。
(文責 成育科 網塚 貴介)