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成育科ブログ

新生児科医師の勤務状況に関する論文が日本小児科学会雑誌に掲載

2020.12.27

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昨年11月に鹿児島市で開催された第64回日本新生児成育学会で発表した「新生児科医師の勤務状況と働き方改革の観点から考察した医師供給に関する調査」の論文が日本小児科学会雑誌の12号に掲載されました。
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この論文は、現在進行中である医師の働き方改革において、働き方改革法案により医師の年間総時間外勤務上限が960時間(月80時間)と明記されたことを受け、この時間外上限を守るためには全国の新生児科医師がどのくらい不足しているのかを定量化することを目指して検討したものです。
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NICUでは医師が年中無休24時間体制で常駐しなければなりません。このためどうしても時間外労働時間が多くなりがちで、一般的な勤務医と比べても長時間労働は常態化しているのが実情です。
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当直回数も地域差はあるものの月5回程度は普通にこなしており、月の時間外労働時間も働き方改革で示されているような時間内に収まるのはむしろ少数です。
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この現状のままで、もし働き方改革による時間外労働時間制限をかけることになれば医師不足は明白です。ただ、明白と言いながらもこれまでは明確な数字が存在しませんでした。今回、働き方改革によって時間外労働時間の上限が定められたことにより、逆に不足医師数の計算がしやすくなったとも言えます。

もし時間外労働時間の上限が定められたら何人ぐらい・何割ぐらいの医師が不足するのか?そして、新生児科医師と言えども、全ての医師が時間外労働時間の上限まで働けるわけではありませんので、不足医師数の計算に際してはその割合も考慮して補正したところ、現在の医師数に加えて75.4%の増員が必要であると考えられました。
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見方を変えると現在の全国の新生児医療は本来必要とされる医師数のたった5割強(57.0%)のマンパワー(北海道・東北地方や中国・四国地方に至っては半分以下!)で辛うじて維持されていることになります。現状を変えることなく働き方改革が進行すれば、現時点ですでにぎりぎりの状態で維持されている全国の新生児医療・周産期医療において多大な混乱が生じることは想像に難くありませんので、施設集約化や新生児医療に関わる医師の実数を増やすための具体的な方策を平行して遅滞なく進めることが必要と考えられる、と言うのが本論文の主旨です。

またこの論文をまとめるに当たってもうひとつ興味深い点がありました。それは男女の働き方に関してです。
新生児科医師のほとんどは当直業務に就いていますが、当直をしない新生児科医師も少数ながら存在します。しかも、それには地域差が大きく、北海道・東北地方では男女を問わず当直をしない新生児科医師はほとんどいませんでした。
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このことは「時間外労働時間上限を超えてまで仕事ができないと『戦力』とみなされない」労働環境であることを意味しているのではないでしょうか。それが端的に分かるのが新生児科医師の男女別の平均年齢です。過重労働が著しい北海道・東北地方および中国・四国地方では他の地域に比べて女性医師の平均年齢が若いことが分かります。「時間外労働時間上限を超えてまで仕事ができないと『戦力』とみなされない」労働環境は子育て中の女性医師が活躍する場としては極めて厳しい環境であることは明らかです。ここからは推測ですが、女性医師の平均年齢が若いと言うことは、子育て中の女性医師がこうした地域では途中で諦めざるを得ないがゆえの結果を見ているのではないかと思います。でもなぜそんなに過重労働しなければいけないのか?と言えばそれは医師が不足しているからなのですが、その一方で医師不足と言いながらも過重労働できない医師を切り捨てざるを得ないジレンマが存在すると言えるのでしょう。
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まだまだ厳しい労働環境にある新生児医療ですが、働き方改革と言う新たな「風」が吹き込むことで、もっといろんな立場の医師達が力を合わせることのできる職場環境に変わることと、この論文がそうした変化に少しでもお役に立てることを願っています。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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