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成育科ブログ

2014.01.16

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今朝の朝日新聞のオピニオン欄に子どもが入院した時の付き添いの問題に関して投稿しました。表題にはありませんが、少子化対策と言いながら、それが医療に及んでいないことが結果的に子どもを持つ家族を苦しめている現状の矛盾を訴えたものです。少子化対策の一環として病児保育が整備されつつある中、その先にある入院中の付き添いに関して少子化対策の中で全く議論されないことには不自然ささえ感じます。

(クリックすると拡大して表示されます)

日本では今後、急速に出産可能年齢の女性人口が減りますので、実は少子化対策と言っても時間はほとんど残されていません。仮に合計特殊出生率が上昇しても出生数が増えない時代がやってきます。それだけ深刻な状況ですが、我が国の少子化対策はいまだに有効な手立てを打ち出せていません。

今回の子どもの付き添い問題を考えた時、日本の少子化対策において最大の問題点は自分の人生の中で子どもを持とうとした時の「リスクマネジメントの欠如」なのではないかと考えています。

こどもが病気になって入院した時にどうしたらいいのだろう?
親が失業してしまった時にこどもを育てて行けるのだろうか?
産まれてきた子どもに障がいがあったらどうなるのだろう?

こうした家族にとっての危機に対して現在の少子化対策は有効な対策を打ち出せているのでしょうか?その意味で日本の少子化とは人生において子どもを持たないことが唯一のリスクマネジメントになってしまった結果なのではないかと言う気さえしています。

かれこれ10年ほど前、GCUにおける看護体制があまりにも手薄なため、結果として全国の過半数のNICUで入院中の新生児を抱っこして授乳させることができず「一人飲み」させなければならない現状を訴えました。診療報酬改定により現在は幾分改善しているのかも知れませんが、まだ根本的解決には至っていません。「一人飲み」と今回の付き添い問題いずれも、我が国の小児医療において極めて手薄な看護体制でも看護可能としている建前と現実の矛盾と言う点では根本は同じです。

医療費削減のご時世ではありますが、将来を担う子どもが減り続けては医療の持続性以前に社会の持続性が危うくなります。少子化対策として小児医療も含めた抜本的な対策がなされることを願ってやみません。

以下、全文です。

小児病棟に入院した我が子に母親が付き添う。ごく当たり前な光景だが、実は建前上は家族の付き添いは「不要」で、あくまで「家族の希望」として扱われていることをご存じだろうか。

病院側で対応できるという理屈だが、一般的な小児看護態勢では看護師1人あたりの夜勤担当患者数は10人を超える。「付き添い不要」が非現実的であることは明らかだ。この矛盾が今、働く母親を窮地に追い込んでいる。雇用情勢が大きく変化したからだ。

専業主婦が当たり前だった時代は終わり、今や多くの母親が働いている。しかも雇用は不安定で、女性の非正規雇用率は高い。働く母親にとって、子どもの入院に付き添うことは、時に失業と背中合わせとなる。

実際、私が担当の早産児でも、入院に付き添ったがために退職せざるを得なかった母親が何人もいる。ましてや障がいや疾患のある子どもで、入院が長期にわたる場合の母親の負担は想像を絶するほど大きい。

母親の失業は世帯収入の減少につながる。シングルマザーなら生活基盤の喪失を意味する。子どもの入院を機に経済的困窮に陥りかねないのだ。これが少子化対策を進めている国の現実とは、とても思えない。

問題は、小児看護の建前と現実の矛盾にある。「家族の希望」と言いながら、実のところ小児看護は主に母親の付き添いに依存してきたのだ。しかも、この問題はこれまで何の議論もなされてこなかった。建前上は問題が存在しないことになっていたからだ。

まずは、矛盾が存在することを認めるべきだ。この矛盾を解消するには、現状の小児看護態勢ではあまりに手薄だ。家族がどうしても付き添いできない場合に、病院側で何とか対応できる態勢をつくる必要がある。

たとえば、小児病棟のベッド数に応じて一定数の付き添い不要なユニットを設け、そこで家族の希望に対応できないだろうか。付き添いを不要とするには、看護師1人あたり乳幼児なら2人程度が上限だろう。母親が働く日中だけの申し出も考えられるので、夜間は日中の半分程度の配置でも間に合うかもしれない。

付き添いの有無で看護態勢が明らかに異なるので、診療報酬上の区分けも必要となるだろう。いずれにしても看護師の増員と医療費増は必須となるが、これは避けて通ることのできない問題である。子どもの入院によって家族が窮地に立たされるような事態を許してはならない。少子化対策の一環と考え、素早い対応を求めたい。

(あみづかたかすけ 小児科医〈青森県立中央病院〉)

<おまけ>
ちなみに、この「一人飲み」問題もまたちょうど10年前の朝日新聞のオピニオン欄に掲載されています。日付も1日ちがいの2004年1月17日でした。

(クリックすると拡大して表示されます)

以下、2004年の原稿です。

入院中の新生児が窒息で死亡したとして、当時の担当看護士が昨春、注意義務違反で有罪判決を受けた。報道によれば、看護師は事故当時、15人前後の新生児を1人で看護していたという。しかし、看護師1人で15人もの新生児を安全に看護することが本当に可能なのだろうか?
 新生児の看護体制には大きく2通りある。新生児集中治療管理室(NICU)と、その他一般の新生児病室だ。前者は新生児3人に対し、常時、看護師1人を配置することが義務づけられているが、後者には、そうした義務づけがなく、事故さえ起きなければ、看護対象児は何人いても、法律上は何ら問題ない。
 厚生労働省の「周産期医療水準の評価と向上のための環境整備に関する研究」の報告書では、全国の中核施設でのNICUを除く新生児病室の夜勤帯における看護師1人あたりの担当患者数は平均で約10人とされており、私たち新生児医療連絡会が一昨年行った調査でも、夜勤帯に看護師1人あたりの担当患者数が15人以上の施設が11%にも達していた。
 しかし、健常児を預かる保育所や託児所でも、子どもの面倒をみるには相当数の人員が必要である。従って児童福祉法は、例えば保育所に対して、保育士1人あたりの収容児童数を1歳未満の乳児では3人、1歳から3歳児では6人までなどといった最低基準を定めている。
 児童福祉法は病院に適応されないが、それは、病院には看護師の「適正配置」を行う義務があるからである。「適正配置」を行わないのは病院の責任であり、建前上、問題自体が存在しないのである。しかし、現状でさえ、小児・新生児病棟は赤字であり、真の意味での「適正配置」を行うことは病院にとっては事実上不可能であろう。
 こうした問題は新生児病棟だけではない。一般小児病棟においても家族の付き添いを義務化する病院が普通である。その前提にない病室に付き添うのだから、患者家族にとって環境の劣悪さは言うまでもない。
 もの言わぬ赤ちゃんの命を脅かしている現状を改善することは、少子化対策ばかりではなく、何よりも赤ちゃんの生きる権利を守ることになる。未来の子どもの生命の安全と家族の幸せのためにも一刻も早い小児看護体制の法制度改革を望んでいる。

 

2014.01.13

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昨日(1月12日(日))、テレビ朝日系全国ネットで「SOS緊急出動! ピンチを救うプロフェッショナル」で、レスキュー隊などの紹介の中でNICUが取り上げられていました。取材先は神奈川県立こども医療センターNICUで、当院から神奈川県立こどもへ研修中の川村先生も少しだけ映っていました。こうして、全国放送で直接研修の様子を見ることができるのも嬉しいものです(なんか田舎の親戚みたいな感じですね)。

番組の最後に豊島先生が「NICUを退院できるというのをゴールにしちゃいけないと思っている」と言うのはまさにその通りと思います。外来に来たお子さんに手を振って見送っている豊島先生の笑顔がとても素敵でした。

豊島先生のブログでも紹介されています。
「SOS緊急出動! ピンチを救うプロフェッショナル」の報告と感想

一時期に比べると新生児医療がマスメディアに取り上げられる機会も大分減ってきたように思います。問題はまだまだありますので、今後もどんどん社会にアピールして行っていただきたいと思います。

 

2013.12.14

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昨年4月に発刊され、網塚が第1章の呼吸の章を担当している「イラストで学ぶ新生児の生理と代表的疾患 改訂2版」が、この度Medica eBOOKs版となって再登場しました。先日、著者宛に献本されたので、早速、「マイ本棚」を覗いてみるとありました!

第1章の構成は
第1章 呼吸器系の生理と代表的疾患

1 胎児期の肺(肺の発生)
2 肺サーファクタント
3 胎児呼吸様運動
4 肺胞液の役割
5 胎児ヘモグロビンとヘモグロビン酸素解離曲線
6 呼吸の開始と新生児の呼吸調節
7 機能的残気量とは?
8 早産児の呼吸調節の特徴と無呼吸発作
代表的疾患1 呼吸窮迫症候群
代表的疾患2 新生児一過性多呼吸
代表的疾患3 胎便吸引症候群
代表的疾患4 慢性肺疾患

となっており、当科での呼吸管理の基礎となる考え方をまとめたつもりです。
表紙のイラストも呼吸の章からの抜粋となっています。
ご興味のある方は是非、ご覧いただければ嬉しいです。

 

2013.12.07

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今年のシーズン・日本シリーズを通じて大活躍だった巨人の村田修一選手が、今年も神奈川県立子ども医療センターのNICUを訪問されたと、一昨日のニュースZEROで紹介されていました。

村田選手と豊島先生のツーショット

村田選手は長男の閏哉くんが早産のため712グラムで生まれ神奈川県立子ども医療センターに入院したご経験から、「ささえるん打基金」プロジェクトとして1打点につき1万円の寄付やNICU卒業生を観戦に招待して下さるなど、新生児医療の支援活動を続けられています。



村田選手が書かれた「がんばれ!!小さき生命たちよ―村田修一選手と閏哉くんとの41ヵ月」は学生さんや研修医の先生方にいつも紹介しています。

豊島先生のブログでは村田選手を囲んだ集合写真で、村田選手のすぐ後ろに当科から神奈川県立子ども医療センターへ国内留学中の川村先生も写っていました。
2013.04.13 神奈川こどもで川村先生が頑張っています!

「がんばれ!!小さき生命たちよ―村田修一選手と閏哉くんとの41ヵ月」で村田選手も書かれていましたが、新生児医療は普通に生活しているとその存在すら全く意識することのない医療分野であると常々感じています。救急医療体制や夜間小児医療体制が危機的であるとメディアで報じられると心配になる人は多いと思いますが、新生児医療が危機的であると報じられて不安になる人は少ないのではないかと思います。赤ちゃんがNICUに入院することになったご家族は、お子さんがNICUに入院するとは夢にも思わなかった方がほとんどです。その意味で、村田選手のような著名人が継続的な支援活動をされていることは非常にありがたいと感じています。

ニュースZEROの最後で、来年は日本一を奪回してまた神奈川県立子ども医療センターに来たいと決意を語っていました。村田選手の来期のますますの活躍を祈っています。
 

2013.09.22

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周産期医学の9月号「周産期におけるPros, Cons 新生児編」に「Late preterm児は母子同室で管理したほうがよい」と言うタイトルで原稿が掲載されました。今回の特集は新生児医療分野で結論の出ない問題をいくつかピックアップして、互いに相異なる双方の立場からの意見を紹介すると言う企画で、他にもたくさんの興味深い論点が紹介されています。
(上の写真をクリックすると周産期医学9月号の紹介ページにリンクします)

今回の特集では、今回の論点そのものである「NICUに入院しては母子同室できないと言う前提が間違いである」と言う立場から、冒頭にウプサラ大学NICUでのFamily centered careを紹介し、母乳育児の必要性が高いのに吸啜が弱いなど母乳育児確立へのハードルが高いLate preterm児だからこそ母子同室が必要であること、更にNICU・MFICUとそれぞれが独立して発展してきた我が国の周産期医療を、エストニアの小児科医Levinが提唱するHuman Neonatal Care Initiativeにある「母と子をひとつの閉鎖的精神身体系(closed psychosomatic system)」として今一度捉え直す必要性を論じました。そして、分娩後の産科病棟での入院期間が他国よりも長い我が国の特長を活かし、母子をともに入院患者として同じ病室でケアするユニットとしてFCCU(family centered care unit)の設立を提唱しました。
本原稿作成に際してはウプサラ大学見学チームの皆様に大変お世話になりありがとうございました。この場をお借りして御礼いたします。この機に、我が国におけるFamily centered careが少しでも前進することを願っています。

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