昨日は「小さく生まれた赤ちゃんとそのご家族のつどい」で4歳以上のお子さんと対象とした今年度第1回目のつどいを市内の元気プラザ(青森市健康増進センター)で開催しました。今回は青森県内各地から24名のお子さんが参加して下さいました。
全体説明の後、保育士さんによるウォーミングアップから始まります。絵本を使って、みんなで歌を歌ったりします。


「風船さんは好きな人のところにチューをします」と言ってかり出されました。

ウォーミングアップの後は、青森県総合教育センター特別支援教育課の柿崎修子先生から「小学校入学までに準備したいことetc」に関して30分ほど講義していただきました。就学に際しての手続き関連や特別支援教育に関する資料、就学前からのお子さんの情報をまとめるための相談支援ファイルなど、たくさんの資料をご用意いただき、これらを使って分かりやすくご説明して下さいました。


ご両親はこの後、グループ別に別れて交流会で我々も加わってあれこれ色んなお話をします。この間、お子さん達はと言うと、保育士さんに臨床心理士さんや当院のスタッフにも加わってもらい、遊びの時間を過ごします。最初は身体を使った遊びや、集団での遊び、最後は首飾り作成にいどんでもらいました。



今回は4歳以上から小学校低学年までのお子さんが対象だったので、特に就学前の悩みが多く語られました。特に大きな後遺症のないお子さんでも早生まれで実質上の「飛び級」をしてしまっているお子さんも多く、ご両親の悩みは尽きません。今回のつどいが少しでもご家族のお役に立てばと願っています。今年の11月には4歳児未満を対象にしたつどいを予定しています。

当院NICUは2001年4月に開設され、早いものでもう丸13年になります。NICU開設以来の私の当直回数を調べたところ、昨夜がどうやら1000泊目のようです。1000泊達成までに13年と1ヶ月(≒365日×13年+30日=4775日)ですので、これを1000日で割ると平均して約4.8日に1回の割合でこの13年間当直していたことになります。
大学からの医師の引き上げをはじめ、本当に色んなことのあった13年でしたが、職業病とも言える不眠症などに悩まされたことはあったものの、それでも大病を患うこともなくこれまで何とかやってこれたことには素直に感謝したいと思います。
しかしこれからを考えると、もうこんな馬鹿げた勤務体制は我々の世代でそろそろ終わりにしなければとも思います。労基法どころか過労死基準さえ軽くクリアするような勤務条件に辛うじて支えられるような医療に持続性などあるはずがありません。少なくとも当科に関しては、計画的な人材育成によって将来的に安定性のある医療提供体制をしっかり構築してから、次世代にバトンを渡したいと考えています。
ちなみに、このまま順調?に行くと、来年の秋頃には当直回数が丸3年(365日×3年)に達するのではないかと思います。その際にはまたこのブログ上でもお知らせしたいと思います。

昨夜の検食です。昔はこの量では全然足りなかったのですが、最近は食事の量も減ってきて、この検食でちょうど良くなってきました。
【2015年5月10日追記】
2014年夏から青森県内の地元紙である東奥日報で 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 と題した連載をしています。 上記の表題をクリックすると連載一覧にリンクします。 是非、ご覧いただければと思います。

新年あけましておめでとうございます。
また新たな1年の幕が開けました。
昨年は1年間で出生体重1000g未満の超低出生体重児が30名、1500g未満の極低出生体重児としては49名の入院がありました。
特に4月は双子を含めて23週の赤ちゃんが3名入院したりとかなり大変でしたが、なんとかみんなの頑張りで乗り切ることができました。昨年後半にはNICUのベッドが足りなくなり、一時はオーバーベッドになりそうでしたが、地域周産期センターへちょっと早めの後搬送をお願いしたり、その後、新規入院が減ったお陰で何とか乗り切ることができました。
今年は春からNICUが現在の12床から15床へ増床されます。これまでも平成16年に総合周産期センターになった際に6床から9床へ、平成22年には9床から12床へそれぞれ増床してきました。NICU増床のタイミングではいつも、NICUベッド不足が続いて「もう限界!」と言うあたりで何とか増床で切り抜けると言うことを繰り返してきましたが、今回も同じようなタイミングであると感じています。
また気持ちも新たにこの1年に向かっていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年も残すところ僅かとなってきました。
昨日に続き、今年の10大ニュースをまとめてみました。
1位 三上先生が来てくれました!
今年はドクヘリが大きな話題ではあるのですが、実はその前に重大なできごとがありました。後述するように、今年の春から松尾先生、川村先生が国内留学に出ました。ただ、実は彼らの欠員分のあてがない状態で研修の決定を優先させていました。このため、今年の春からの医師体制は当直要員としては4名のみで臨む可能性が高かったのですが、そこに救世主として現れてくれたのが三上先生でした。

彼は今年3月まで八戸市民病院に勤務されていて、昨年の青森県周生期医療研究会の広域搬送に関するシンポジウムでは八戸市民病院の代表として発表されています。ちょうどこの日に初めてお話しする機会があり、そこからこの春の着任となった次第です。この1年を乗り切れたのも彼の助けと頑張りあってのことと本当に感謝感謝です。
2位 松尾先生、川村先生の国内留学

これまでも何度も紹介しましたが、今年の春から松尾先生が倉敷中央病院へ3年間、川村先生が神奈川県立子ども医療センターへ2年間の予定で、それぞれ国内留学へ旅立ちました。こうして、若手の研修を最優先にしていかないと、当院のような地方の施設で人材育成するのは難しいと考えています。何とかそれぞれ立派になって帰ってきてくれる日を心待ちにしています。
3位 ドクターヘリによる新生児搬送開始!

今年10月から搬送用保育器を用いたドクターヘリによる新生児搬送を開始しました。現時点で既に約10件ほど八戸市民病院への後搬送を行っています。開始までの経緯はこれまでもこのブログで何度もご紹介してきました通りです。今は後搬送だけですが、こうした体制を組んでおくことによって真の緊急事態に対処できるようにしておきたいと考えています。
4位 三浦先生が仲間入り
この4月から弘前大学小児科から三浦先生が来てくれました。彼は小児科とNICUの兼務でとても大変な日々なのですが、毎日頑張ってくれています。
5位 専属MEさんの配属
同じくこの春からNICUへ専属のMEさんが配属になりました。第一号は矢本さんと言う若手で、毎日のドクターカンファにも毎回ついてくれて、その中でME関連の色んな問題を一緒に考えてくれています。今年の日本未熟児新生児学会では人工呼吸器の精度に関する発表もしてくれました。当科は多種多様の人工呼吸器があり、その他にもNO・脳低温・ドクヘリ&ドクターカー関連等々、とても助かっています。今後、ますますの活躍を期待しています。
6位 新生児聴覚スクリーニングを生理検査の方が実施してくれるようになりました
産科病棟の新生児聴覚スクリーニングを院内で誰が担当するか、これまでなかなか調整が付かず、約1年ほど網塚が全部行っていましたが、今年の2月からようやく正式に生理検査の方が実施して下さるようになりました。これは本当に助かりました!生理検査の皆さん、今後ともよろしくお願いいたします。
7位 新型ドクターカー

従来のドクターカーは設計時点で重装備にしすぎてしまい、加速にかなり難がありましたが、今回は装備も可能な限り軽量化し、車両のパワーも大きくなってとても軽快な走りになりました。酸素と空気のボンベも東京まででも走って行っても大丈夫なぐらい搭載しています。
8位 NICUスタッフの研修
今年はNICUの看護スタッフの研修も積極的に行いました。昨年に続き神奈川県立子ども医療センターの大山先生の元でWHO/ユニセフ母乳育児支援20時間コース研修で2名のスタッフが、また秋からは4ヶ月かけて埼玉医科大学総合医療センターNICUで8名のスタッフが研修させていただきました。年明けには大阪の高槻病院での研修も予定されています。研修先の諸先生ならびにスタッフの皆さんには大変お世話になり、ありがとうございました。医師だけではなく、看護スタッフも一流施設の良いところを学ぶことでNICUとしての水準を更に高いレベルとするように勤めていきたいと考えています。
9位 弘前大学6年生のクリニカルクラークシップ
今年、6月・7月と2ヶ月続けて弘前大学6年生が、小児科とは別にNICU「だけ」でそれぞれ1ヶ月ずつクリニカルクラークシップの実習にきてくれました。これはその前々年の学生さんから「県病の小児科の実習は希望しても倍率が高く、NICUの実習を希望してもなかなか希望が叶わない」とのリクエストから、NICUを小児科から独立させたことによるもので、今年度が最初の年となりました。ちなみにその時の学生さんはこの春から当院の初期研修医として採用されています。きっと近いうちにNICUへ研修に来て下さることでしょう。
10位 新スタッフユニフォーム
昨日のアクセスランキングでも紹介した通り、今年は「NICUにかわいいユニフォームを!」と言うスタッフ達の長年の願いがやっと叶いました。
こうして振り返ってみると色んなことのあった1年でした。そして、色んなことがあっただけではなく、施設として着実に前に向かっていることを実感できた1年であったとも思います。医師の育成・スタッフの養成を通じて組織として「変化」して行くことが、組織としての強さにつながると信じています。ある意味、生物の進化も組織の進化も元のところは一緒のなのかも知れません。また来年はどのように変化していくことができるのか楽しみにしながら来年を迎えたいと思います。来年もまたよろしくお願いいたします。
