8月2日には第1回の青森県医療的ケア児支援体制検討部会が開催され参加してきました。この会は文字通り青森県内の医療的ケア児の支援体制を検討する場で、県内各地から医療、看護、福祉、保育、教育などに加えて、実際の患者さんのご家族にも加わっていただいた会となっています。


会の最初には県の障害福祉課の担当の方から大筋の方向性に関してご説明があり、続いて青森県における現状の問題点や今後の課題に関するまとめをご説明しました。

医療的ケア児はこの10年で倍増しており、特に人工呼吸器を必要とするお子さんは10倍にもなっていると言われています。

従来の超重症児スコアは知的障害と身体障害の2軸で構成されていましたが、ここに3軸目として医療的ケアの重症度が加わると、医療的ケア児としては重度なのに障害としてはゼロ~軽度と判定されてしまうお子さんが増えていることに対して、社会の対応がまだまだ未整備な状態となっています。

また、制度上も高齢者では介護保険の枠組みがあるのに対して、小児では様々な支援の枠組みが存在するにもかかわらず、これらを統括する仕組みがないことが、医療的ケア児のご家族の大きな負担ともなっています。

次に、昨年青森県と青森県医師会で行われた医療的ケア児に関するアンケート調査の結果をご紹介した上で、青森県の現状を踏まえた上での今後の課題や方向性に関してもお話しました。

一般的な小児特有の問題に加えて、青森県もしくは地方特有の問題もあります。特に人口密集地の首都圏や関西などと最も大きく異なるのが、少ない患者数が広大な面積の県内に点在しているという点です。患者数の少なさは支援に関わる人にとっては経験値の少なさにもつながります。しかも、冬には豪雪が容赦なく襲ってきます。

医療的ケア児の支援体制構築には人材養成が欠かせません。これまで医療的ケア児の支援を担ってきた人材だけでは地域のリソースとして明らかに不足しています。支援体制を充実させるにはいかにして新規参入者を増やすかが鍵となります。

また、ただ人材を増やせばいいわけでもなく、しっかりとした地域での連携体制も構築していく必要があります。「連携」という言葉ほど簡単に使われながら、実をあげるとことの難しい言葉はないでしょう。よく行政の図などでいろんな施設が矢印でつながれた図をみかけますが、これが「絵に描いた餅」にならないことが何より大切です。そのためには、関係者間が顔の見える人間関係を構築していく必要があります。
図中に(参考:周産期シンポジウム)とあります。これはかつて青森県の乳児死亡率を改善させるためにはどうしたらいいか?と県が主催したシンポジウムです。ここで話し合われた内容もさることながら、地域も大学も異なり、それまで面と向き合ったことのない県内の周産期関係者が直接話し合うきっかけとしてとても重要な役目を果たしてきたと言う経緯があります。きっとこのときと同じように(とは言っても関係する職種・部門は遙かに多いのですが)、互いに顔の見える関係を構築することができれば、きっとうまく行くのではないかと思っています。

部会終了後にご家族の代表の方と県の担当者の方達と一緒に。

青森県内の医療的ケア児支援はまだこれが最初の一歩でしかありません。しかし、万里の道も一歩から。まだまだよちよち歩きどころかハイハイかも知れない一歩かもしれませんが、これが今後の大きな進展の最初の一歩となることを願っています。
(文責 成育科 網塚 貴介)

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先月末は院内感染対策研修会でICT(Infection Control Team)として感染対策の基本中の基本である手洗いとマスクに関してお話しさせていただきました。この日は仕事が終わった頃にあわせて1回30分の2部構成としました。



会場となった会議室は立ち見が出るほどの超満員でした。普段もあちこちでお話はさせていただいていますが、普段一緒に働きなれている方達の前でお話しするのはこれはこれれ違った緊張感があります。


まずは手指衛生に関しての基本中の基本から。


速乾性手指消毒薬での手洗いでは最後まで押し切って適量を撮ることが重要で、このポイントは日常のICTラウンドでもいつも注意しているポイントです。

今回は手洗いに加えて防護具である手袋に関しても一緒に取り上げました。手袋は1処置ごとに取り替えるのが大原則です。

院内各所をICTでラウンドしていますが、当院で最もしっかり手洗いできているのは何と言ってもNICUです。その徹底ぶりをこの機に院内でも紹介しようと実際の処置の様子を動画で紹介してみました(画像は加工してあります)。

院内感染対策はこれは実際に関わってみるとなかなか奥が深いものがあります。感染症の専門家でもありませんが、これからも地道に勉強を重ねて行きたいと思っているところです。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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この週末は院内の周産期センタースタッフを対象としたNCPR(新生児蘇生法)講習会(Aコース)を行いました。今月はこれで7月1日のNCPRフォローアップコース、7月21日の青森県立保健大学・青森中央学院大学合同NCPR講習会、7月22日の看護協会主催のNCPRスキルアップコースに続いて今月4回目のNCPRになります。これまで何度もNCPRをやっていますが、実は新しい講義用CDになってからAコースの講義をしたことがなかったので、今回初めて自分で講義してみました。

今回は8名の受講者でしたので1ブースでもよかったのですが、最初の基本手技のところはみっちり実習した方がいいので、2ブースで行いました。


今回インストラクター補助にきてくれたNICUの石岡さんは、バッグがしっかり密着しているかどうかを確認するのに、口ではなくてまずお腹にあててみると分かりやすいということでやってみて下さいました。これは伊藤先生から教わった技だそうです。

シナリオでは尾崎先生が赤ちゃんの泣き声とかの再生を担当して下さいました。

今回もシナリオ演習ではチェックリストによるデブリーフィングを行います。やはりこれはなかなか役に立ちますね。

そしてこちらはいつものblutooth付き聴診器による心拍数評価の様子です。今回は前回の反省を元に、最初の段階で心拍数を何度か再生して、ペースによる心拍数評価を瞬時に行う練習も加えました。

今回インストラクター補助のお二人とインストラクターの三上さんです。シナリオ演習前に入念な打ち合わせをされています。

NCPR終了後の集合写真です。

今月はフォローアップコース・Bコース・スキルアップコース・AコースとNCPRの全てのコースに関わる1ヶ月となりました。NCPRは何度やっても新たな課題が見つかります。これからもこちら側のスキルアップに務めていきたいと思っています。参加された皆さん、お疲れ様でした。
(文責 成育科 網塚 貴介)

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昨日の青森県立保健大学・青森中央学院大学合同NCPR講習会に続いて今日は青森県看護協会主催のNCPRスキルアップコースでした。青森県看護協会でも毎年NCPRを開催して下さっていますが、今回は初めてのスキルアップコースでした。会場はつい先月青森県訪問看護ステーション連絡協議会研修会でもお邪魔した県民福祉プラザでした。


今回の最初の講義は矢本先生にお願いしました。

今回はかなり手厚く3ブース体制で。基本手技は各人かなりの時間をかけて実習できたはずです。

そして、シナリオ演習ではもう十八番的になっているBluetooth聴診器セットです。ただ、昨日の学生さん対象の演習でも同じだったのですが、iPadのメトロノーム音をBluetooth聴診器で音を聞かせても、こちらで設定した心拍数と、実習生の皆さんがカウントした心拍数の値が微妙に異なることが今回の悩みになりました。NCPRでの心拍数評価は6秒間の心拍数を10倍するのですが、6秒間カウントする時に、おそらくは最初の一拍目か最後の一拍の片方もしくは両方が一つ多めにカウントされてしまうことによる誤差のような気がしました。きっと心拍数の設定をもっと判断しやすい心拍数にしておく必要があるとは思いながらも70~80回程度でも100程度と判断されてしまうのが難しいところでした。正しくは6秒間での実際のカウントよりも、心拍数のペース自体を体感で覚えてもらった方が良いのではないかとも思いました。この辺は次回以降の課題のように感じました。

スキルアップコース終了後の集合写真です。NCPRの認定更新は3年ごとになりスキルアップコースで更新するしかなくなるので、今後はスキルアップコースをどんどん開催していく必要があります。今回受講された皆さんの中からも是非インストラクターを目指して下さる方がいればいいなと思いました。皆さん、お疲れ様でした。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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この週末はこれまで何度も新生児の講義を担当している青森県立保健大学と青森中央学院大学の助産コースの学生さんを対象に、授業の一環としてNCPR講習会を開催しました。以前から助産コースの講義の一環としてNCPR講習会を行う案は出ており、またどうせ開催するなら両方の講義を担当している2大学が合同で開催できたらとも以前から考えておりましたが、今年度ようやく実現しました。会場は当院近くの青森県立保健大学で行いました。

会場は実習室で、人数的には1ブースでも足りそうでしたが実技演習はしっかりしておいた方が良いことと、幸いインストラクターを持っている先生もいらっしゃったので2ブース設置しました。実技には1つのブースには流量膨張式バッグによるCPAPと人工呼吸を、2つめのブースには自己膨張式バッグを設置して、2チームが途中で交代して両方のバッグでも実習できるようにしました。

また今回のシナリオ演習では先日のスキルアップコースでもその使い方を練習したチェックシートも使いましたが、さすがにこれはデブリーフィングには非常に便利でした。そして、絶賛自画自賛中(^^;)のBluetooth聴診器セットも使って、より実践に近い実習を目指しました。

講習会(授業)終了後に青森県立保健大学と青森中央学院大学の先生方との集合写真です。今後も同じように実習兼授業を行えたらと思います。

(文責 成育科 網塚 貴介)

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