昨日の東奥日報夕刊の明鏡欄に「産みたくても踏み切れぬ実情」と題した投稿が目にとまりました。

(画像は投稿記事を切り貼りしてまとめたもので実際の紙面とは異なります)
「子供1人につき教育費が最低1千万円かかる時代です」
「いつリストラが我が家に降りかかるかも分かりません」
「家族をつくりたくても仕事が安定しなければ、かなわない夢なのです」
切実な声だと思います。
今年1月、朝日新聞のオピニオン欄に子どもが入院した時の付き添いの問題に関して投稿したことをこのブログでもご紹介しました。この時のブログでは「我が国の少子化対策において最大の問題点は自分の人生の中で子どもを持とうとした時の「リスクマネジメントの欠如」なのではないか」と書きましたが、この明鏡欄の投稿もまさにその点を指摘されたものだと感じました。
こどもが病気になって入院した時にどうしたらいいのだろう?
親が失業してしまった時にこどもを育てて行けるのだろうか?
産まれてきた子どもに障がいがあったらどうなるのだろう?
こうした家族にとっての危機に対して有効な対策を打ち出せていないことが、
人生において子どもを持たないことが唯一のリスクマネジメント
と言う結果を招いてしまっているのではないかと思います。
この投稿の最後に
「国や自治体は、産みたいと思う人が安心して産み育てられる環境をつくることにお金を使ってほしいと願います」
とありますが、この「安心」の実現こそ今後のキーワードであり、それには単なる支援のオンパレードではなく家族・世帯に対するリスクマネジメントとしての視点が必要なのではないかと考えています。
昨日、平成25年の人口動態統計が発表されました。今回は乳児死亡率が良い方から3位、新生児死亡率が4位、周産期死亡率が3位と、各指標とも大幅に改善しました。かつては悪い方からそんな順位ばかりだったことを思うと、常々こうした指標は単年では評価できないと言い続けてはきましたが、地域医療としての実力が向上していることは間違いないと思います。以下に今回の各死亡率と都道府県順位を示します。

(注:昨夜アップした時点で神奈川県の各死亡率に間違いがありましたので修正しています。大変申し訳ございませんでした。)
地元の東奥日報でも今朝の朝刊で大きく取り上げていただきました。

今回の記事では特に当科での神奈川県立こども医療センターへの国内留学による人材育成の成果を大きく取り上げて下さいました。当科での人材育成に関しては「高知県周産期医療人材育成プログラム講演会」で紹介させていただいたいますので是非ご覧下さい。

Web版の記事はこちらでもご覧いただけます。
10数年前は全国ワースト…青森県の乳児死亡率が大幅改善、13年はベスト3に
こうした施設としての人材育成や診療の質の向上が県全体の人口動態統計指標に直接的に影響を及ぼすことができることは青森県のような地方の医療ならではの醍醐味なのではないかとも感じています。周産期医療に限らず、地方で医療を行うことの魅力を医学生や研修医にも伝えていくことができればと思っています。
ちなみに今回のデータから平成25年までの5年平均値を各指標に関してまとめてみました。周産期死亡率はついに5年平均値でも上から16番目にまで達することができました。しかし乳児死亡率・新生児死亡率は下位に位置しています。まだまだ課題はありますので、また地道にやっていきたいと考えています。(クリックすると拡大表示されます)


