昨日は「小さく生まれた赤ちゃんとそのご家族のつどい」で4歳以上のお子さんと対象とした今年度第1回目のつどいを市内の元気プラザ(青森市健康増進センター)で開催しました。今回は青森県内各地から24名のお子さんが参加して下さいました。
全体説明の後、保育士さんによるウォーミングアップから始まります。絵本を使って、みんなで歌を歌ったりします。


「風船さんは好きな人のところにチューをします」と言ってかり出されました。

ウォーミングアップの後は、青森県総合教育センター特別支援教育課の柿崎修子先生から「小学校入学までに準備したいことetc」に関して30分ほど講義していただきました。就学に際しての手続き関連や特別支援教育に関する資料、就学前からのお子さんの情報をまとめるための相談支援ファイルなど、たくさんの資料をご用意いただき、これらを使って分かりやすくご説明して下さいました。


ご両親はこの後、グループ別に別れて交流会で我々も加わってあれこれ色んなお話をします。この間、お子さん達はと言うと、保育士さんに臨床心理士さんや当院のスタッフにも加わってもらい、遊びの時間を過ごします。最初は身体を使った遊びや、集団での遊び、最後は首飾り作成にいどんでもらいました。



今回は4歳以上から小学校低学年までのお子さんが対象だったので、特に就学前の悩みが多く語られました。特に大きな後遺症のないお子さんでも早生まれで実質上の「飛び級」をしてしまっているお子さんも多く、ご両親の悩みは尽きません。今回のつどいが少しでもご家族のお役に立てばと願っています。今年の11月には4歳児未満を対象にしたつどいを予定しています。
先月末からの1ヶ月間、 札幌東徳州会病院 2年目研修医の佐藤逸美先生が当院へNICUの研修に来て下さいました。札幌東徳州会病院とは初期研修医の研修交流があり、今回で2人目となります。佐藤先生は小児科志望だそうですが集中治療系に興味があるようで、NICUでの診療にも興味を持って下さったようです。

先週は急遽、日本未熟児新生児学会の初期研修医向けセミナーにも参加することになり、神奈川県立こども医療センターの豊島先生のブログにも当日の様子が載っていました。

がんばれ!!小さき生命(いのち)たちよ~日本未熟児新生児学会 第1回初期研修医向けセミナーへリンクします
後日ご紹介しますが、今日はNICU退院児のつどいがあり、研修は昨日が最終日で今日は移動日だったのですが、札幌に帰る時間も最終便まで遅らせて今日のつどいにも参加して下さいました。この1ヶ月の研修が今後に少しでも今後のお役に立てばと思います。佐藤先生、1ヶ月研修お疲れ様でした!
東奥日報夕刊の連載2回目です。今回は産まれてきた赤ちゃんがどのくらいの確率でNICUに入院するのか?と言うあたりを中心に述べてみました。一般的にNICUに入院する赤ちゃんは33人に1人と言われていますが、軽症児を含めると実は1割以上の赤ちゃん達が入院しています。青森県周産期医療協議会で毎年出しているハイリスク新生児の統計でも、入院している赤ちゃんの割合は年々増加傾向です。今回の原稿に際して、ちょうど先月あった ビールの会 で全員に配布された“木陰の物語”の冊子に書かれていた一節が目にとまりました。
その人が
何かをしたからではない。
かといって、
何も努力をしなかったから
というのでもない。
理由などなく、
ただそういう現実だから、
そこから
スタートするしかない
巡り合わせの人がある。
本文中でも述べましたが、この一節はまさにNICUに入院している赤ちゃん達とそのご家族の状況そのものです。
「入院の可能性は誰にでもある」
前回の第1回目でも述べた「周産期医療は人ごとではないのだ」と言うことを、これからの連載でも言い続けていきたいと考えています。多くの方に「人ごとではない」と知ってもらうことから、周産期医療のその先にある結果的に何らかの後遺症を持つことになったお子さん達に対しても、その想いを拡げてもらえることを願いながら連載を続けて行ければと思っています。
以下は、今回引用させていただいた“木陰の物語”届ける!プロジェクトのFacebookページのリンクです。是非、こちらもご覧いただければと思います。

(画像をクリックすると“木陰の物語”届ける!プロジェクトのFacebookページにリンクします)
以下、2回目の原稿です。
先日、ある会合でファミリーセラピストの団士郎さんが被災地支援の一環として始められた「〝木陰の物語〟届ける!プロジェクト」の活動として、「木陰の物語 ─Side by Side─」と言う小冊子が配られました。この中で、あるお子さんが児童相談所で経験したことの回想を元に団士郎さんが書いた「貝殻」と言う物語の冒頭部分が目にとまりました。
その人が
何かをしたからではない。
かといって、
何も努力をしなかったから
というのでもない。
理由などなく、
ただそういう現実だから、
そこから
スタートするしかない
巡り合わせの人がある。
この一節は「いつ誰が当事者になるか分からない」と言う一点において、まさしく私たちが診療している赤ちゃんたちとそのご家族の状況と重なります。
「NICU」という言葉をご存じでしょうか?一頃、大都市圏で急変した妊婦さんの受け入れ先がなかなか見つからず、その原因がNICU不足にあるとメディアで取り上げられた時期がありましたので耳にしたことがあるかも知れません。NICUとは「新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit)」の略称で、産まれたばかりの赤ちゃんたちに何らかの問題があった場合に入院し治療するところです。
NICUに入院する原因は大きく分けて3通りあります。1番目が予定日よりも早く産まれる早産児または低出生体重児、一般的には未熟児とも呼ばれます。2番目は分娩(ぶんべん)時に仮死状態や呼吸障害などの症状が見られた赤ちゃん、3番目は生まれつきに何らかの病気を持って生まれてくる赤ちゃんです。
ではどのくらいの割合で赤ちゃんはNICUに入院するのでしょうか?厚生労働省科学研究によると、NICUには33人に1人が入院するとのデータがありますが、これはあくまで集中治療を要する赤ちゃんの割合なので、比較的軽症な赤ちゃんも含めればもっと多くの赤ちゃんが入院します。青森県では毎年ハイリスク新生児調査を行っており、その集計では平成23年には年間9531人の出生に対して、何らかの医療を要する赤ちゃんが1173人と、約12.3%もの赤ちゃんが入院したとされています。
一般的に全出生のうち2500g未満の赤ちゃんの出生率は約9.5%で、さらに双子以上の多胎では約75%が2500g未満で出生し、約1割は1500g未満で出生します。また、出生体重に関係なく生まれつき心臓に疾患のある先天性心疾患の赤ちゃんは100人に1人出生すると言われています。
近年、NICUに入院しなければならない赤ちゃんが増えてきています。一方、日本では少子化の進行が将来の国の基盤を揺るがしかねないとして大問題となってきています。少子化がこれだけ進行しているのにNICUが足りないとは不思議な気がしませんか?その理由はこれからの連載の中で詳しくお話ししていきたいと思います。

(この画像は当該ページに限って東奥日報社が利用を許諾したものです)
先日、某書店で何気なく池上彰さんの「池上彰の新聞活用術」と言う本が目にとまり立ち読みしていたところ、なんと!以前、当院の医師不足を取り上げていただいた朝日新聞の「 ルポにっぽん 」の記事のことが書かれていました!

(画像をクリックするとAmazonへリンクします)

以下本文より引用です。
“11月23日の朝日新聞朝刊2面「ルポにっぽん」に、神奈川県立こども医療センターと青森県立中央病院の新生児集中治療管理室の医師の奮闘ぶりが描かれています。”
“いつも満杯のベッドと、少ない医師。新生児科医の苛酷な仕事ぶり。それでも医師は働き続けます。「医師がもっといれば、もっと良い医療ができるのに」「悔しい」とつぶやく医師。”
基本的な内容は、当時首相だった麻生さんの「新聞を読まない」発言に対して、新聞を読まないと社会的常識が身につきませんよ、と言うことですが、何はともあれ、こうして池上彰さんの目にも触れて取り上げていただいたことは素直に喜びたいと思います。
「見てくれている人は見てくれている」
そんなことを実感させられた日常の一コマでした。
できることなら、この2008年当時の窮状を乗り越えた現在の当科の姿もどこかで取り上げて欲しいと思っています。
なお本著のこの部分に関しては、既に Google検索 で閲覧可能なので、その記事部分をご紹介しておきます。


以下は2008年11月23日の朝日新聞の記事です。
