今回の愛媛の学会ではスウェーデンのウプサラ大学でFamily centered care(FCC)で先駆的な取り組みをされているUwe先生が教育講演のために来日されました。そこで学会前日の夜に「 こどもかぞくまんなか 」チームの皆さんを中心にUwe先生を囲む会が開かれ、そこにお招きいただきました。翌日のUwe先生が教育講演で日本の現状を発表されるいわき共立病院の本田先生や聖霊浜松病院の大木先生など何人かの先生もご一緒でした。あろうことかUwe先生の目の前に座ることになってしまい緊張しましたがUwe先生は本当にとても気さくな方で、こちらの色んな質問にも丁寧にお答えいただきました。また 昨年の周産期医学9月号「周産期におけるPros, Cons」で「Late preterm児は母子同室で管理したほうがよい」 と言うタイトルで寄稿しましたが、この際にプサラ大学NICUの写真使用の許可のメールをお送りしたことを覚えていて下さいました。Uwe先生のFCCへの思いは強烈で「赤ちゃんと家族は一緒にいるのが当たり前」と言う強い信念に基づいていることが、拙い英語力の身でも十分に感じることができました。現在、既に69歳になられるそうですが、NICUではまだ現役で働かれており、夜間のオンコール対応やドクヘリ当番などもこなされているのだそうです。そのもの凄いエネルギーに圧倒されてしまいました。

話が弾む中、日本式の名刺交換にご興味を持たれたので、ここで突然名刺交換会が始まりました。Uwe先生は参加した皆さんからの名刺を日本式のやり方で次々に受け取られていました。


集合写真の後に「 こどもかぞくまんなか 」チームの皆さんとの1枚です。

二次会にも参加して下さり、二次会ではUwe先生と一緒に来られた人工呼吸器メーカーの担当者の方ともあれこれ人工呼吸器談義で花が咲きました。当科HPの英語ページで人工呼吸器の使い方をアップしているのをiPadでご紹介したところ、とても興味を持って下さいました。この機にもっとグローバルの方にうちの英語ページを見ていただければと思います。

翌日の教育講演の様子です。Uwe先生の後に本田先生が日本の現状として、当科での「直母外出」の取り組みもご紹介して下さいました。


今回も学会場内に「 こどもかぞくまんなか 」ブースが設置されました。前回よりも一段と広いスペースとなっており、各施設からのポスター数も少しずつですが増えてきているようです。前回同様に来場者にウプサラ大学での家族ケアの実際を体験してもらえるようになっていました。




教育講演の後、Uwe先生はしばらくここのブースで来場者からの質問に長時間応えられていたそうで、ちょうど帰り際にお会いすることができました。いつかウプサラ大学NICUをこの目で見学させていただきたいと思います。Uwe先生と直接お話しさせていただいたことは何ものにも代えがたい貴重な時間であったと思います。言葉では上手く言いあらわせませんが「ありがたい」と手を合わせたくなるような心境です。
今回のUwe先生のご講演と「 こどもかぞくまんなか 」チームの皆さんの頑張りが日本中のケアのあり方を変えていく原動力になっていくことを心から願っています。皆様、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。

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11月10日(月)から12日(水)までの3日間、愛媛県松山市で第59回日本未熟児新生児学会が開催され参加してきました。松山市へは 昨年6月に愛媛県立中央病院へ電子カルテの見学 に行って以来の2年連続となります。学会の前日に松山入りし、その夜は道後温泉まで足を運んでみました。昨年訪れているので、懐かしくちょっと不思議な感じでした。

写真は道後温泉本館です。

松山市内には路面電車が走っていて市民の足となっています。路面電車としてはややスピードが速い感じで、所要時間も短く、ホテルから会場への移動もとてもスムーズでした。この日はたまたま「 坊ちゃん列車 」にも出会うことができました。

学会場のひめぎんホールです。中心街よりもむしろ道後温泉の方が近くて、温泉の方に宿泊される先生も多かったようです。会場への移動を考えると道後温泉付近の方が正解だった気がします。


7時過ぎからの朝一番の会議を終え、今回の会長である梶原先生の会長講演を拝聴しました。ちなみにこの学会初日の6時半からも会議があったそうです。学会中の会議も段々病的な段階に突入している感じがしています。

第24回日本新生児看護学会も例年通り同日開催され、初日には先日、当院に NIDCAP(Neonatal Developmental Individualized Developmental Care and Assessment Program)の実技指導と青森県周産期講演会 のためにきて下さった森口さんの特別講演もお聞きしてきました。

学会初日の夜は、懇親会の後、恒例のオフミにも参加してきました。このオフミは新生児医療関係者のメーリングリストである「 新生児医療フォーラム 」のオフラインミーティングで、毎年100名近くの参加があり、主に全国から集まってくる若手の先生方の交流の場となっています。

神奈川県立こども医療センターの豊島先生や、来週、当院で開催される 周産期医療学習会 でご講演して下さる予定の埼玉医科大学総合医療センターの須賀さん達との1枚です。

学会2日目は、また早朝からの会議の後、聖隷浜松の大木先生が発表される国際シンポジウム「International Symposium on the Management of Well-babies」を聞いてきました。

学会中はとにかく会議が多くて昼食は毎回同じお弁当です。美味しいのですが毎日だとちょっと・・・と言う感じです。

3日間の学会を終え、観光する時間もなかったので、最終日のプログラムが終わってから飛行機の時間までの間に三上先生と一緒に松山城に向かってみました。

ところが天候が次第に怪しくなり、リフトに乗ると、それまで小降りだった雨が本格的に降り出してきました。

ここから松山城まで歩いてすぐと言うところまで来ながら、傘もないのでそのままロープウェイで戻ってきてしまいました。二人でVサインしていますが、びしょ濡れです。

松山城を断念して、空港に向かう車の窓から撮った松山城です。そう言えば、昨年の出張の時も見学翌日に行こうと思っていたら、やはり雨になってしまい諦めているので、これで松山城には2回ふられたことになります。

学会3日分をダイジェストしてみましたが、今回、最も楽しみにしていたウプサラ大学のUwe先生とお会いできたお話しは次でまとめたいと思います。

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当院の総合周産期母子医療センターが開設されたのが平成16年11月。実は昨日でちょうど開設10周年を迎えました。当院は「 周産期医療の質と安全の向上のための研究 」に参加しており、昨日は当院でそのワークショップが行われました。このワークショップでは、全国でこの研究に参加しているNICU施設の診療上の様々なパラメータの平均値に対して県病NICUがどのような位置にありどこが強みでどこが弱みなのかの客観的データを示した上で、その改善のために何をしたら良いのか、中央の事務局の先生方も交えて意見交換を行います。またこの研究では2施設をペアにして互いにワークショップに参加し合うという形を取っていることから、今回は一昨年、 電子カルテの見学 でお世話になった国立長崎医療センターの小形勉先生がお越し下さいました。またこの他、山形の下風先生、秋田の新井先生も看護師さん3人を連れて参加して下さいました。
スタッフがワークショップの準備中です。

まず最初はNICUの見学からです。今回のテーマは栄養管理と感染対策です。見学もそうした視点からの見学となります。



司会は国立成育医療研究センターの森臨太郎先生です。

当院から神奈川県立こども医療センターへ国内留学中の川村先生も今回はチューターとして参加して下さいました。

次に東京女子医科大学の西田先生から当院の診療プロフィールが紹介されます。これは全国のデータベースと比較した当院の診療成績や施設規模・スタッフ数などが紹介されます。
今回の調査対象は2009年から2011年までの3年間の極低出生体重児の診療成績が対象になります。当院の患者さんの分布は、参加施設の平均像と比べて出生体重・在胎週数ともにやや小さめの赤ちゃんを扱っていることが分かります。

新生児科医師数はやはり全国でも少ない方で、医師1人に対するNICU病床数は全国平均が1.7~1.8であったのに対し当院は2.4と多めでした。医師の労働時間は3年間の集計で、ほぼ全員が過労死との因果関係が高いと言われる週57時間以上を軽く超えていました。

様々なデータが紹介されましたが、中でもNICUで最も重要視される「合併症のない生存退院率」が参加85施設中6位で偏差値66と言う好成績でした。当院は神奈川県立こども方式を導入しており、今回のデータはその移行期間でしたので、恐らく直近3-4年間の方がもっと良いはずですが、いずれにしてもこうした客観的な指標で評価されると言うことはありがたいことだと感じました。ちなみに2011年に限っては死亡率(=死亡例数/入院数)が参加77施設中なんと1位でした。

次に当院の診療状況に関して、当院スタッフから現時点で感じている問題点を示していきます。



次に神奈川県立こども医療センターの豊島先生から診療ガイドラインに関しての説明していただきました。まずはその前に神奈川県立こどもと当院との研修連携に関してご紹介して下さいました。


そしていよいよ本格的にワークショップが始まります。ワークショップでは今回のテーマである「感染管理」と「栄養管理」がどうやったら改善するかを3グループに分かれてディスカッションします。

まずは、参加者全員が思いつくままにそれぞれのテーマに関して思いつくままに色んなアイデアを出していきます。それを各グループのチューターの先生が意見を補ワートボードに貼り付けながらいくつかに類別していきます。



最後に各グループの意見が発表されていきます。今回のワークショップでの提案がどのくらい具体化されるかはともかくとして、こうした手法自体が組織内の問題意識の共有に非常に有効と感じました。同様のワークショップをスタッフ間で繰り返し行っていくことで、現存する様々な問題が解決できるのではないかと言う気がしました。

朝から夕方遅くまで、昼休みもほとんどない状態でのワークショップでした。森先生、豊島先生をはじめとしたINTACT事務局の先生方はこれをこれまで何度となく全国中で行ってこられたというご努力に心から敬意を表します。当院の総合周産期母子医療センター開設からちょうど10年の記念日に、これから先の10年のあり方に関するヒントをもらった気がします。ワークショップの終了後は宿泊して下さった先生方を囲んで飲み会です。

参加して下さった皆さん、ありがとうございました。丸1日大変お疲れ様でした。

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