第61回日本新生児成育医学会 2日目の夕方からは 今年7月の富山での日本周産期新生児学会で発表した「一人飲み」発表 の続編で、「我が国の新生児医療機関におけるいわゆる「一人飲み」の実態調査~2006年と2015年を比較して」と題して発表させていただきました。
前回2006年の調査では回答施設が95施設でしたが、2015年の調査では143施設からの回答がありました。2度の調査で両方とも回答した施設が57施設、2015年に未回答だった施設が38施設ありました。
2015年に未回答だった38施設では、2006年時点で「一人飲み」を行っている施設が6割ほどあり、実態としては2015年の施行率よりももう少し高い可能性があると思われます。
2度の調査に回答して下さった57施設では、「行わない」とする施設の割合が大幅に増え、また頻繁に行う施設が減少傾向でした。
「一人飲み」状況に変化のあった施設では、特に「あり」から中止した施設では、GCUにおける看護配置がかなり改善していました。
また、「一人飲み」は中止できていなかったものの、施行頻度に改善の認める施設でもGCUの看護体制にやはり改善傾向がありました。
2回の調査で各施設におけるGCUの看護体制の変化を見てみると、GCU看護体制がかつて手薄だった施設ほど、その手薄さに比例して改善していることが分かります。
考察は以下の通りですが、2006年の調査ではGCU看護体制の手薄さが「一人飲み」に直結しているという結果でしたが、今回の調査では各施設ともGCU看護体制の改善が図られており、「人手が足りないから一人飲みをしている」という単純な図式ではなくなっていることがうかがえます。背景には、一度始めてしまった「一人飲み」は、その「伝承」も含めて、根絶が困難であることが推察されました。ただ、改善したとは言っても、諸外国と比べるとまだまだGCUの手薄さは否めません。夜勤看護師一人の受け持ち人数が6人でもまだ足りないともいえるかとも思います。諸外国並みの3-4人まで改善できれば「一人飲み」の根絶も可能なのかもしれません。
(文責 成育科 網塚 貴介)