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成育科ブログ

2015.03.19

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東奥日報夕刊の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」は今週が13回目です。今回は前回に続いて我が国の少子化対策に欠けていると常々感じている点に関して述べさせていただきました。言いたいことは本文に書かせていただきましたので、是非、ご覧いただければと思います。
第13回目 (Custom)

以下、13回目の原稿です。

以前、「出産年齢の上昇の原因は女性の側だけにあるわけではない」と述べました。これまでお読みいただいた方には、その答えが分かってきたかと思います。

一言で言えば、若年世代の経済・雇用環境の脆弱化やマタニティハラスメントの横行もあって、若いうちに子どもを持てるような社会的環境を整えることができなかったのが主因でしょう。

最近、首都圏を中心とした待機児童が問題視され、その解消が少子化対策の中で論じられています。特に核家族の多い都市部で大きな問題であることは論をまちません。しかし、これが少子化対策の中心として語られるのには、ちょっと首をかしげてしまいます。

仕事と子育ての両立は微妙なバランスで成り立っていて、そこに何らかの「非常事態」が発生すると一気に崩れます。前回紹介した子どもの入院付き添い問題も、子育ての「非常事態」への支援の問題の一例に過ぎません。この他にも
生まれてきた子どもに障がいがあったらどうなるのだろうか
親が失業したら育てて行けるのだろうか
と不安は尽きません。一般的に少子化対策と言った時、こうした家族にとっての「非常事態」への対処があまりにも手薄と感じます。

早産児のお母さんから、「あと1か月で職場復帰するように言われているが、保育所に入れても大丈夫ですか」と度々聞かれます。いつから保育所に入れてよいか明確には言えませんが、免疫機能が未熟なお子さんをNICUから退院後すぐに保育所にというのも心配です。しかし経済事情も各家庭で異なるので、一律に「乳児期はダメです」とも言えません。こうした時は「仮に早く職場復帰して保育所にお子さんを入れたとして、頻繁に風邪を引いて入退院を繰り返すかも知れません。その時、お母さんは付き添わなければなりませんが、それでもお仕事を続けられる職場ですか?」と尋ねます。冷酷かもしれませんが、無理をして職場に戻っても、お子さんが入退院を繰り返しては結局後悔するでしょう。ましてそのために職場に居づらくなってしまっては、何のために早期復帰したのかさえ分からなくなってしまいます。

こうした現状を間近で見ていると、わが国の少子化とは、女性あるいはカップルが自分自身の人生を生きていく上での「危機回避の結果」と言っても過言ではない気がしてなりません。

共働きの家庭にとって保育所は「あって当然のインフラ」です。これがないのは水道や電気がないようなもの。でも、水道と電気だけがあっても、そこに警察や消防がなければやはり住めません。危機に対処できないところには住む人はいないのです。

待機児童問題の解消は少子化対策としては最低限の対策です。これが議論の中心になっていること自体、危機的ではないかと思います。赤ちゃんが減ると結局、後になって社会全体が困るのに、どうしてもっと安心して子育てできる環境を作り出せないのでしょうか?

この連載でなぜ少子化の問題を取り上げるのか?それは子どもや子育て中のお母さんがこの日本社会の中で守られているとはとても思えないからです。社会が優しくないのに、そんなに都合良く子どもが増えるわけがありません。少子化対策と言うのなら、もっと根本的なところから見直すべきではないのか?こうした思いから、現状を少しでも多くの方に知っておいていただきたいと思っています。

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