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成育科ブログ

2015.11.19

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東奥日報夕刊の連載 「知ってほしい赤ちゃんのこと」 は今週月曜日が25回目でした。今回も授乳中の薬剤投与に関して述べてみました。

第25回目 (Custom)

以下、本文です。

すべての医薬品には、注意書きとして「医薬品添付文書」があり、約7割には「内服中には授乳を避けるべき」との記載があります。この文書を含め、薬剤を認可しているのは厚生労働省ですが、同じ厚労省からは2007年に「授乳・離乳の支援ガイド」という文書が作成され、そこには授乳中の母親に対して「薬の使用による母乳への影響については、科学的根拠に基づき判断の上、支援を行う」との記載があります。つまり、厚労省としても「医薬品添付文書」と「科学的根拠」との間に乖離が生じていることを認めているのです。

それでは「科学的な判断」とはどのようなものでしょうか?

授乳中のお母さんへの薬剤投与を考える際、具体的には、

①本当にその薬が必要か?
②同じ効果で授乳に適した薬はないか?
③母乳中の薬剤濃度を下げる方法はないか?
④栄養はすべて母乳栄養なのか、混合栄養なのか?

といった点がポイントとなります。
例えば、ちょっとした風邪で病院に行くと、一般的には何種類かの薬を処方されるでしょう。しかし、授乳中の場合、本当に困っている症状を軽くするための薬に絞れば、影響は軽減されます。

赤ちゃんに対する影響で考えると、絶対に使ってはならない薬から、日常的に小児科医が赤ちゃんに投与するような薬もあります。例えば、細菌感染に対して抗生物質を投与する時でも、通常小児に使用可能なものであれば、多少母乳中に分泌されても赤ちゃんへの影響は無視できます。

母乳中の薬剤濃度を下げる工夫が有効な場合もあります。例えば解熱剤は、薬を飲む直前に授乳することで、薬剤の血中濃度が高い時間帯の授乳を避けることができ、次の授乳時にはある程度血中濃度が下がった状態になります。
さらに母乳栄養とは言っても、母乳のみなのか、人工乳との混合栄養なのか、つまり赤ちゃんがどの程度の量の母乳を飲んでいるのかも問題となります。混合栄養で人工乳の比率が高い場合であれば、授乳を絶対避けなければならないものでない限り、薬を内服中のおっぱいをまるで「毒」のように考える必要はないのです。

持病に対する日常的な投薬がある場合などは別ですが、健康なお母さんが風邪などにかかって薬が処方されたとしても、授乳を続けられることがほとんどです。少なくとも「科学的に」授乳可能な薬を選択することは可能なはずです。

そうは言われても、授乳中の方が何かお薬を処方されて、ご自身で判断することは難しいと思います。最近はインターネット上にも代表的な薬であれば、授乳可能かどうかが掲載されています。例えば国立成育医療研究センターは「ママのためのお薬情報」として「安全に使用できると思われる薬」の一覧を掲載しています。また、「あおもり母乳の会」のホームページでも相談コーナーを設けてありますので、是非ご利用いただければと思います。

授乳中の投薬は、処方する医師の側の問題でもあります。私はかれこれ10年近く、弘前大学の医学生に対して新生児の講義をしています。たった2コマの授業ですが、ここで必ず、授乳中のお母さんへの薬剤投与に関しての話をします。すべての薬剤に関して知ることは不可能でも、それぞれが将来選んだ専門分野で頻繁に処方する薬剤に関しては、授乳可能であるかどうかを医師の責任において知っておくべきである。このことを強調しています。

今すぐには無理かも知れませんが、医師もお母さんたちもお互いに薬剤投与中だからと簡単に授乳をあきらめず、授乳中のお母さんへお薬が処方される際には必ず「科学的」な判断が当たり前となる世の中がやってくることを願っています。

参考リンク:
国立成育医療研究センター「ママのためのお薬情報」
あおもり母乳の会ホームページ

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