周産期医学の9月号「周産期におけるPros, Cons 新生児編」に「Late preterm児は母子同室で管理したほうがよい」と言うタイトルで原稿が掲載されました。今回の特集は新生児医療分野で結論の出ない問題をいくつかピックアップして、互いに相異なる双方の立場からの意見を紹介すると言う企画で、他にもたくさんの興味深い論点が紹介されています。
(上の写真をクリックすると周産期医学9月号の紹介ページにリンクします)
今回の特集では、今回の論点そのものである「NICUに入院しては母子同室できないと言う前提が間違いである」と言う立場から、冒頭にウプサラ大学NICUでのFamily centered careを紹介し、母乳育児の必要性が高いのに吸啜が弱いなど母乳育児確立へのハードルが高いLate preterm児だからこそ母子同室が必要であること、更にNICU・MFICUとそれぞれが独立して発展してきた我が国の周産期医療を、エストニアの小児科医Levinが提唱するHuman Neonatal Care Initiativeにある「母と子をひとつの閉鎖的精神身体系(closed psychosomatic system)」として今一度捉え直す必要性を論じました。そして、分娩後の産科病棟での入院期間が他国よりも長い我が国の特長を活かし、母子をともに入院患者として同じ病室でケアするユニットとしてFCCU(family centered care unit)の設立を提唱しました。
本原稿作成に際してはウプサラ大学見学チームの皆様に大変お世話になりありがとうございました。この場をお借りして御礼いたします。この機に、我が国におけるFamily centered careが少しでも前進することを願っています。