これまで早産児の人工呼吸管理にはPEEPの設定が重要であると述べてきました。
今回は適切なPEEPの設定に関する考え方について述べたいと思います。
PEEPを適切に設定する鍵は酸素の使い方にあると考えています。
過去3回で述べてきたことをまとめると、早産児では機能的残気量(FRC)が不安定であること、自発呼吸維持にはそのFRCの維持が重要であること、さらに肺に優しい呼吸管理にも結局、FRCの維持が重要であることを述べてきました。全ては適切なPEEP設定にかかっています。
ここでくどいようですがPEEPの意義をおさらいしておきます。PEEPの設定値は一般的には4~6cmH2O程度とされていますが、後述するように必要に応じてもっと高い値が必要になる場合もあります。問題は循環との兼ね合いのみです。
人工呼吸管理におけるPEEPの作用は多岐に渡ります。
ここで実際の患者さんを想定してみたいと思います。
このような患者さんがいた時、どの設定を選択されるでしょうか?当科であれば答えは③か⑤です。CO2の値にもよりますが、CO2が許容できるなら、この場合abovePEEPとしてはむしろ1cmH2O下げたことになります。平均気道内圧は上がりますが、これで仮にPEEPを7cmH2Oまで上げてもPIPがそのままなら、ある意味、weaningできていると言う見方さえ可能です。
それは極端としても、PEEPの設定は酸素の使い方と密接な関係があります。
以下に当科における酸素の使い方のコツを列挙してみます。
これが全てと言っても過言ではありません。
さらに細かくなりますが、当科における人工呼吸管理設定の考え方を列挙します。
多少異論があるとは思っています。特に高いPEEPは必ず下げられるのか?と言う点に関しては、これは経験則でしかありません。ただ、不十分なPEEPで高い酸素濃度で管理するよりはベターなのではないかと言うのが当科としての考え方です。
次回からは、こうしたコンセプトを実現させるために必要な新生児用人工呼吸器に求められる機能について述べてみたいと思います。