以前、今年3月にATVの「わっち!」で医療的ケア児の特集が組まれたことをご紹介しましたが、6月末に再び医療的ケア児に関しての特集をして下さいました。遅ればせながら、ここで改めてご紹介させていただきます。
医療的ケアを要するお子さんの場合、通常の保育園では預かってもらうことができず、お母さん達の就労継続が極めて困難であることは、これまでに何度もご紹介してきました。今回の「わっち!」の特集では、以前、東奥日報の連載「知ってほしい赤ちゃんのこと」の41回目「広がる優しさと『思い』」でもご紹介させていただいた十和田市の「小さな森こども園」で医療的ケアを要するお子さんを預かっていらっしゃることが紹介されました。
以下に特集の抜粋をお示しします。
当初青森市内で保育園を探しますが、全ての保育園で受け入れを断られてしまいます。
ここで、こうした場合の保育園探しは基本的にご家族が自力で探さなければなりません。おそらく10カ所以上には連絡したのではないかと思いますが、ことごとく断られているうちにまさしく「絶望」されるご家族をたくさんみてきています。せめてご家族が個別に探すのではなく、代わりに探してくれるような仕組みがあるだけでもいいのにといつも思っています。
「小さな森こども園」には以前から看護師さんが勤務されていたことから受け入れて下さいましたが、それでもこうへい君が医療的ケア児としては最初のお子さんだったそうです。
ただ、一方で、写真の宮本園長先生は実際に医療的ケア児を受け入れることの難しさも語られていました。やはり「命を預かることの怖さ」があり、その責任を果たすには看護師さんだけではなく保育士さん達の知識と理解を深めることが必要と仰います。そのため様々な勉強会や研修会を企画したり、またこうへい君の受け入れに際しては事前に保健師さんなど様々な職種の方達との話し合いもされたそうです。全国では今まさに医療的ケア児の支援のため様々な取り組みがされ始めたところですが、そんな枠組みができる以前に、ご自身達で必要な情報を得て、研修会も企画するなど、むしろこれからの支援体制を作っていく上でのお手本を示されたのではないかと感じました。
こうへい君はこの園に入ってから表情もよくなってきたそうです。こうした他のお子さん達との交流が育って行く上で大きな刺激になっているのでしょう。
この特集の後、先月の東奥日報の一面に医療的ケア児に関する記事が載りました。医療的ケア児の保育園入園は都道府県でも大きな差があるそうで、青森県には4名のお子さんが入園されているのだそうです。「小さな森こども園」での取り組みが今後、県内全域に少しずつでも拡がって行くことを心から願うとともに、私たちにできることも探って行きたいと思います。
(文責 成育科 網塚 貴介)