今日は新生児蘇生法講習会(NCPR)で初めてのSコースでした。SコースはこれまでNCPRを受講された方の文字通りスキルアップを目的に設定された講習会で、定期的に行う必要のある更新のための講習会も兼ねています。今日は今年初めて朝からの雪景色の中、県内外の施設から助産師さんを中心に10名の方が受講されました。
Sコースはプレテスト・ポストテストはないので、まずは授業から始まります。今日は矢本先生が講師でした。
今日は初めてのSコースと言うこともあって、各ブースに2名ずつのインストラクター体制で臨みました。
通常のAコースとは違って、すでにNCPRは受講済みの皆さんなので、今回のコースはより実践に即した講習を目指しました。新生児蘇生の実践では、講習会では常識となっている、例えば人工呼吸の換気回数とかもいざ実践で行うとなると、つい本来よりも速いスピードで行ってしまうことが多々あります。今日は参加された皆さんの人工呼吸や胸骨圧迫の早さを実際にストップウォッチで計測してみました。最初は皆さん、特に人工呼吸では速めのスピードの方が多かったですが、慣れてくると徐々に規定の回数の範囲内におさまるようになってきました。
今回の講習会では新兵器が登場しました。先日の日本新生児成育医学会のポスター発表を参考にして、聴診器にBluetoothイヤフォンを取り付けたものを作ってみました。今までであれば蘇生シナリオではインストラクターが「赤ちゃんの心拍数は○○回です」とみんなに伝えていましたが、これがあれば心拍数は聴診した人にしか分かりませんから実際の現場に近い状況を再現できます。
iPadにメトロノームアプリを入れて、その音を聴診器に飛ばします。
新生児蘇生法のホームページには赤ちゃんの泣き声の音声もあって、それも使うとなるとインストラクターの矢本先生の手元にはiPadとスマホで一杯一杯になってしまいました。この辺はまだ少し工夫の余地がありそうです。
Sコース終了後の集合写真です。
NCPR2015では早い段階での心電図装着が推奨されていますが、その普及はまだまだのようですので、実際の新生児蘇生の現場では、赤ちゃんの心拍数は聴診した人にしか分かりません。心拍数は何回であるかを評価するだけではなく周囲の人たちにも知らせる必要があります。今回のツールはより実際の現場に近い講習会を可能にできるように感じました。NCPR講習会用には高額なシミュレーターも販売されていますが、こうしたちょっとした工夫でまだまだ改善させることも可能なようです。本日参加された皆さんお疲れ様でした。
(文責 成育科 網塚 貴介)