学会2日目のシンポジウム「小児科医に明日はあるのか」でも興味深い話題が数多く取り上げられていました。
中でも富山大学小児科の田中先生の女性医師たちが自分たちで考えた働き方ルールに関してのご発表が印象的でした。富山大学小児科では少し前に医局内の女性医師の「空前絶後の(抄録まま)」ベビーブームを体験され、田中先生もその中のお一人だったそうです。これを機に妊娠出産後の働き方に関して当事者の女性医師たちが意見を出し合って自身のキャリアアップも考慮した働き方のルールを作成し、その実践をご紹介されました。
富山大学と言えば、2年半ほど前に同じ富山大学産婦人科の米田哲先生が同じくワークライフバランスに関してご講演されていたことを思い出しました。
2015.10.12 富山大学産婦人科の女性医師キャリア形成と「最後の授業」
小児科と産婦人科で科の違いはあっても、「女性が働く」と言うことに対する考え方がここまでしっかりしているのは地域性もあるのかな?とも感じました。まさに富山大学恐るべし!ですね。
2015年の記事の最後にカーネギーメロン大学教授で2006年に自身が膵癌の末期症状にあることを知って「最後の授業」を行われたランディ・パウシュ氏の言葉をご紹介しました。この「最後の授業」の時、当時まだ1歳半だった末娘のクロエちゃんに送った言葉です。
大きくなったら、僕のある女性同僚の言葉を知ってほしい。すべての若い女性にふさわしい言葉だ。僕が聞いてきたなかで、いちばんいい助言でもある。
「ずいぶん時間がかかったけれど、ようやく気づいたの。自分に言い寄ってくる男性がいたら、気をつけることは簡単。彼の言うことはすべて無視して、彼のすることだけに注意すればいいの」そのとおりだよ、クロエ。
各科をローテーション中の研修医や学生さん達はあちこちの診療科から勧誘を受けることと思います。医局や病院に勧誘する時には良い話しかしないものですが、そこで思い出して欲しいのがこの言葉です。自分を勧誘してくる医局の先生がどんな話をしてくるかではなく、特に女性医師の場合、すでにそこで働いている女性医師がどのような働き方をしているのか?その医局としてどんな具体的な取り組みをしていて実績があるのかをしっかり見極めて欲しいと思うのです。
なので、ランディ・パウシュ氏の言葉を借りれば、
自分を勧誘してくる医局があったら(教授がいたら)、気をつけることは簡単。彼(教授)の言うことはすべて無視して、彼の医局がこれまでやってきたことだけに注意すればいいの
皆さん、いかがでしょうか?
(文責 成育科 網塚 貴介)