先日の特別支援学校における医療的ケア基本研修に続き、8月19日(日)には青森県医療的ケア児等支援者養成研修及び コーディネーター養成研修会が開催され、この日は講師として参加してきました。会場は先月、看護協会主催のNCPRスキルアップコースも開催した県民福祉プラザです。
講師のトップバッターは昨年3月に開催された周産期学習会「みんなで考えよう!青森県の小児在宅の今、未来」でもご講演いただいた淑徳大学の谷口由紀子先生です。
会場の大勢の受講者が。
谷口先生に続いて総論と医療面のことに関して2時間近くお話ししました。
これはいつも必ずお話しする、お子さんに異常が指摘された時のご家族の心情に関してのスライドです。このような段階を経て再起に向かうとされていますが、その後の経過の中で、例えば状況が悪化したりした際にはこの家庭を何度も繰り返します。これはお子さんの経過に限らず、例えば保育園探しの場合にも同じようなことが起きます。現状では医療的ケア児のお母さん達が保育園探しする場合にはご自身でそれぞれの園に直接連絡しなければなりません。それぞれの園に連絡すると言うことは、それはそのお子さんがどのような経過で医療的ケア児になったのか、今はどのような状態なのかを毎回毎回説明すると言うことです。医療的ケア児を受け入れてくれる保育園などほとんどなく、そのような状況で例えば10件以上の園に同じ説明をしているだけでも、気持ちが落ち込むであろうことは容易に想像できるかと思います。今回は医療的ケア児等への支援者研修会でしたので、こうしたコーディネーター的な役割の人がいないことの大変さを強調してお話ししました。
今回の研修会のもう一つの主目的は医療的ケア児の医療的側面に関してです。
細かいところよりも、まずは医療的ケア児と一口に言っても基礎疾患は様々です。基礎疾患によってその後の経過も異なります。しかも、医療的ケアを要するだけではなく「発達する存在」であると言う点が極めて重要になります。例えば、基礎疾患自体としては知的障害のないお子さんでも、医療的ケア児と言うことで他のお子さんが得られるはずの経験が得られなければ、二次的な障害の可能性が生じます。こどもが発達するには、例えば何の発達はいつまでにできるようにならないと生涯を通してできない状態となってしまう可能性が高くなると言う側面があります。こどもにとっては「時間」がとても大切です。
研修会はこの日だけではなく翌日以降も続きました。受講者の皆さんも大変だったと思いますが、こうした研修会が行われることで、少しでも多くの方達に医療的ケア児の支援に関わっていただければと思います。
(文責 成育科 網塚 貴介)