先日もご案内しましたが、10月第2週の週末には令和元年度青森県医療的ケア児支援シンポジウムが青森県立保健大学講堂で開催されました。今回は基調講演として今年2月に視察させていただいた岐阜県の寺澤大祐先生をお招きし、岐阜県における医療的ケア児支援の取り組みに関してお話ししていただき、また今回のシンポジウムでは県内で実際に医療的ケア児支援に関わられている皆さんからは「医療的ケア児の支援者が抱える現状と課題」をテーマとしてお話ししていただきました。
会場の青森県立保健大学講堂です。
寺澤先生のご講演が始まります。
寺澤先生のご講演の冒頭です。
「救ったいのちを 救いっぱなしにしない」
これは特に新生児医療に関わって来た身としてはやはり共通の思いです。明確なメッセージが伝わってきます。
それにしても岐阜県の予算規模の大きさには驚かされました。
寺澤先生は岐阜県における重症心身障害児支援に関して今日に至るまでの過程を細かくお話しして下さいました。岐阜県ではものすごく多くの支援事業が立ち上げられていますが、そこに至る過程では、やはり地域における患者さんと資源の調査に始まり、地域作り・人作りと、各事業の開始年度を見ていると、そうした支援体制の進展が非常にわかりやすく感じました。
基調講演に続いて、シンポジウムでは県内各地の支援者の皆さんからのご発表になります。
シンポジストは
龍崎 洋子さん(幼保連携型認定こども園サンフラワー保育園園長)
一戸 由佳さん(特定非営利活動法人ありんこ理事長)
南 輝美さん(青森県訪問看護ステーション連絡協議会副会長)
島貫 玲奈さん(青森県立浪岡養護学校看護師)
蝦名 美穂さん(七峰会総合福祉相談支援センタービリーブ相談支援専門員)
の5名の皆さんです。
今回のシンポジウムでは医療的ケア児の支援者の皆さんが抱える課題や困難さを中心にお話ししていただきました。龍崎さんと一戸さんは事業こそ違いますが、同じくお子さんを預かるご施設です。ご両者とも、医療的ケア児を預かる使命感でここまで頑張ってこられている熱意が伝わる一方で、経営面は非常に厳しく、逆にえばその熱意なくして施設の維持が極めて困難であることを明確にお話しされていました。以前から経営の大変さは伺ってはいましたが、実際は想像を超えており、何らかの補助なしでは今後の医療的ケア児への支援拡充は困難だとも感じたご発表でした。
ちなみに、今回のシンポジウムでちょっと気がかりなことが・・・。
これまで、医療的ケア児シンポジウムや主たる会議も含めて地元のメディアの方が必ずどなたか参加されていましたが、今回は何と地元メディアとしては一カ所も取材参加がありませんでした。医療的ケア児支援の充実はその事実が県内に広く周知されてこそ実現が可能なはずです。メディアからの注目が薄れていくことに対しては非常に強い危機感を抱きました。
シンポジウム後には寺澤先生を囲んでの懇親会を開きました。コーディネーター養成研修会でご一緒した皆さんなど、現在、県内で医療的ケア児支援に関わっている主立った皆さんとゆっくりお話しする機会ともなりました。
こちらは懇親会の二次会です。寺澤先生とのお話は尽きることなく非常に勉強になった一日でした。寺澤先生、参加された皆さん、お疲れ様でした。
(文責 成育科 網塚 貴介)